アメリカンスポーツアパレルブランドのチャンピオンは2月20日、国内のeスポーツ市場に参入することを発表した。練習から試合、移動中にも着用できるeスポーツウェアを2月28日から発売開始するという。

ウェア開発にあたってチャンピオンは、オフィシャルチームウェアパートナー契約を締結したプロチーム「Team GRAPHT」に所属するプレイヤーの声を聴いて、海外ツアーやプレイシーンなどゲーマーニーズを研究。それに、スポーツブランドとして培ったノウハウをあわせることで、eスポーツ用のアイテムを生み出した。

新たに発売されるのは、「GAMING JERSEY」「GAMING SHORTS」「GAMING HOODIE」「GAMING HALFZIP PANTS」の選手着用モデルと一般モデル、加えて「5P CAP」「LAYER LONG T-SHIRTS」「LONG TIGHTS」だ。

今回販売開始されるウェアのラインアップ

ウェアの特徴として同社は「最大限集中するための吸汗・速乾や抗菌・防臭機能」「静電気軽減効果のある縫製糸を採用」「シリコンプリントでコントローラーの滑り止め効果を発揮」「パスポートや携帯電話を収納するファスナー付きポケット」「長時間の移動やプレイのストレスを軽減するストレッチ機能」「UVカット機能も搭載した冷房対策のための上下レイヤー」「集中力や没入感を高めるゲーミングフードのカッティング」を挙げた。海外遠征やツアー、長時間の試合など、過酷な環境でプレイするeスポーツ選手が、いかに快適にプレイできるか考えて設計されたとのことだ。

なかでも目玉は、シリコンプリントによるアーケードコントローラーの滑り止め効果だろう。格闘ゲームの選手は、アーケードコントローラーを膝の上に置いてプレイすることが多い。そのため、激しい操作をした際にも、しっかりとコントローラーが安定していることが大事なのだ。

ウェアを着用した2名のプロゲーマーが着心地を語る

今回、発表に先立って、「Team GRAPHT」に所属するプロゲーマー、GLLTY選手、MOV選手、Dora選手に、ウェアを着用してもらい、2月15日から3日間、福岡で行われた「EVO Japan 2019」の試合に臨んでもらったという。発表会にはGLLTY選手とMOV選手が登壇し、ウェアについての感想を述べた。

MOV選手「滑り止めがついているので、そのおかげで安心してプレイできました。また、今年のEVO Japanは福岡だったのでそこまで暑くはなかったのですが、東南アジアなどの地域で、しかも半屋外のようなジメジメした場所で大会が開催されることもあるので、吸汗・速乾機能は助かります。『将来プロゲーマーになりたいんです』という子どもたちと接するときに、汗臭かったら幻滅されそうですが、このウェアを着ていたら安心してファン対応できるでしょう」

GLLTY選手「スポーツウェアとして非常に洗練されたデザインだと思います。プロゲーマーとして活動していくうえでは、スポンサーのロゴ表記が欠かせません。このウェアであれば、どこにロゴを付けても絵になるのではないでしょうか」

発表会では実際にウェアを着用してデモプレイを行ったMOV選手(左)とGLLTY選手(右)。「GAMING SHORTS」のシリコンプリントが、アケコン滑り止めの役割を果たす
シリコンプリントは車椅子バスケットボール日本代表向けウェアの技術を応用したものだという

また、ウェアのポケットはすべてチャックが付いており、海外遠征時でもパスポートや現金、スマホなどを常に入れておけるようになっている。

MOV選手は「相手のデータを確認したり、急な呼び出しに対応したりといった事態も想定されるので、スマホを試合直前までポケットに入れておけるのはありがたいですね」と満足している様子だった。

まだまだプロプレイヤー以外の選手が「ウェアを身にまとって大会に参加する」というシーンは想定しにくい状況だ。しかし、アケコン滑り止めなどの機能に注目した選手が徐々に着用していけば、将来的にはバスケやサッカー、野球のように、eスポーツをする際の一般的な練習着として専用ウェアを着用するようになっていくのかもしれない。

(安川幸利)