第12回朝日杯将棋オープン戦の準決勝、決勝が2月16日((土)、東京都千代田区「有楽町マリオン」で行われます。
今期ベスト4に勝ち残ったのは渡辺明棋王、行方尚史八段、藤井聡太七段、千田翔太六段。準決勝の組み合わせは渡辺棋王―千田六段戦、行方八段―藤井七段戦となっており、その勝者同士で決勝戦が行われます。
激戦を勝ち抜いた4棋士による戦い いよいよスタート
優勝のゆくえは神のみぞ知るところですが、もし1人だけ候補を挙げなければならないとすれば、4人のうち唯一のタイトルホルダーである渡辺明棋王でしょう。
現在、第68期王将戦七番勝負に挑戦者として、第44期棋王戦ではタイトル保持者として、並行して2つのタイトル戦に臨んでいて、スコアは王将戦が3-0、棋王戦が2-0といずれも奪取、防衛まであと1勝と迫っています。今期、順位戦B級1組では開幕から9連勝、3戦を残してA級への復帰を決め、昨年11月からは上位棋士ばかりを相手に公式戦15連勝、明けて1月29日に行われた第4期叡王戦本戦準決勝で菅井竜也七段に敗れ連勝は止まりましたが、今期通算32勝8敗、勝率を[0.800]としており、今もっとも充実している棋士と言えるでしょう。
タイトル戦は移動日が設けられ、特に王将戦は2日制ということで過密スケジュールが懸念されるところでしたが、王将戦の次戦第4局は2月24、25日の両日、棋王戦の次戦第3局は3月10日と、比較的余裕があるところも渡辺棋王にとっては幸運、好材料です。
世間の注目を一身に集める藤井七段には連覇が懸かります。達成すれば、本棋戦においては羽生善治九段(※第7回から第9回まで3連覇)に次ぐ2人目の快挙となります。
また、今のところ年度勝率を38勝7敗の[0.8444]としていて、1967年度に中原誠十六世名人(当時五段)が樹立した歴代1位の記録、47勝8敗の[0.8545]を更新する可能性を残していますので、そのためにも2勝を挙げたいところです(※年度内に4勝以上し、1敗もしなければ記録更新)。逆に、年度があとひと月半で終了することを考えると、敗退すれば更新は困難になります。
第1回の優勝者である行方八段、2016年度、プロ4年目でタイトル戦初出場を果たした有望株、千田六段も優勝を虎視眈々と狙っていることでしょう。前回は藤井七段(当時五段→優勝により六段に昇段)の棋戦初優勝という将棋界を越え日本中に衝撃が走る結末となりましたが、今回はどうなりますでしょうか。