1月25日より期間限定上映を開始したVシネクスト『ビルドNEW WORLD仮面ライダークローズ』(監督:山口恭平、主演:赤楚衛二)の大ヒットを記念して、仮面ライダーグリス/猿渡一海を演じる武田航平が単独で大ヒット御礼舞台挨拶を敢行。「武田航平ナイト2」と銘打たれたトークイベントでは、全国のファン待望のVシネクスト『ビルドNEW WORLD仮面ライダーグリス』の製作が決定したという大ニュースが公式に発表された。
MCを務めたのは、『仮面ライダービルド』のチーフプロデューサー・大森敬仁氏。大森プロデューサーの呼び込みで、今回の主役にして自ら"仮面ライダーの申し子"だと豪語する武田航平が登場した。
『仮面ライダービルド』のテレビシリーズ最終回の"その後"が描かれたVシネクスト『仮面ライダークローズ』でも大活躍を見せた猿渡一海。最初に『クローズ』出演の知らせをうけたときの心境を尋ねられた武田は「あれ? おれ(が主演)じゃないんだ!」とグリスをメインにしたストーリーでないことに少しひっかかりつつ、「今回はクローズの赤楚(衛二)くんが主演ということで、みんな気合いを入れながら頑張って撮影しました。でも、撮影時期は暑すぎてね~。(水上)剣星さんなんて、ずっと"TikTok"やっていましたよ(笑)」と、撮影が行われたのが記録的な猛暑日の続く2018年の真夏だったことの苦労話と、仮面ライダーローグ/氷室幻徳を演じた水上剣星の撮影合間の一面を明かした。
『クローズ』では幻徳のスーツ姿を見て、他のキャストが笑ってしまって演技にならなかったのが印象的だったと話す大森プロデューサーの言葉に対し、武田は「僕なんて、スーツを着て来た剣星さんに"東京無線"って言っちゃいましたからね。あまりにもタクシーの運転手さんぽかったもので(笑)」と、テレビシリーズ後半の幻徳とはイメージの異なる、ダンディなスーツ姿への違和感を振り返った。
ここで、『クローズ』および『仮面ライダービルド』テレビシリーズ、劇場版すべてのシナリオを手がけた脚本家の武藤将吾氏が登壇。武藤氏といえば、現在日本テレビ系で放送中のドラマ『3年A組-今から皆さんは、人質です-』のシナリオを執筆しており、特に2月10日に放送された第6話では、特撮テレビ番組のスーツアクター役で『ビルド』でも活躍した前川泰之(石動惣一/エボルト役)が出演し、ドラマファンのみならず特撮ヒーローファンからも熱い注目が注がれた。
武田は武藤氏を前に、「犬飼(貴丈)と赤楚が『仮面ライダージオウ』の第1、2話に出たとき、"武藤さんの脚本じゃないからセリフが覚えられない"とキレていましたよ。俳優さんみたいなことを!」と、武藤脚本の醍醐味である「キャラクター同士の濃厚なかけあい」の面白さがいかに重要だったかを改めて説明。その中での「俳優さんみたいな」に反応した大森プロデューサーからすかさず「俳優ですよ!」と絶妙なツッコミが入ったことも特筆しておきたい。
話題が『クローズ』の企画の成り立ちに移ると、大森プロデューサーは「ビルドの後日談として『クローズ』をやろうということには迷いはなかった」と、企画がスムーズに進んだことを明かした。脚本の打ち合わせについて武藤氏は「ほとんど大森さんの無茶ブリから始まっている。最初に"こんなのどうですか"と出された3行ぐらいのアイデアに書かれていた内容が"相棒はエボルトで"というもの。でもエボルトはテレビ本編(最終回)で滅びたんじゃないの、と話をしたら"そこをなんとかするのが脚本家じゃないですか"なんて返された(笑)」と、大森プロデューサーの"無茶ブリ"にドラマとしての整合性や説得力をもたらすための苦労を強いられたことを苦笑まじりに話した。
『クローズ』では、赤楚の演じる仮面ライダークローズ/万丈龍我に憎しみを抱く女性・馬渕由衣(演:永尾まりや)が登場するが、これについて武藤氏は「テレビシリーズの撮影現場で"女性ゲストが少ない"という声があったので、じゃあヒロインの話を書かなきゃな、と思った」と、現場の強い要望によって女性キャラクターを迎えたという経緯を話した。大森プロデューサーは「永尾さんは現場でとても評判がよかった」と永尾の好演を称え、武田も「永尾さんをいちばん気に入っていたのは剣星さん。僕ら一緒に飲んでいるときでも、剣星さんが"まりやを呼ぼうよ"って言うんだけど、連絡先みんな知らないって(笑)」と、男性キャストから永尾が絶大な人気を集めていたことを明かした。
今回の強敵・キルバスの人間態を演じた進藤学の印象を問われた武藤氏は「檀黎斗のにおいがすごくしましたね。さすがは山口(恭平)監督。監督の演出にかかると、ああなっちゃうんだなあと」と、『仮面ライダーエグゼイド』の仮面ライダーゲンム/檀黎斗(演:岩永徹也)を例に挙げ、キャラクターのテンションをシナリオより高めに演出し、インパクトを強める山口監督の演出カラーに言及。武田は進藤の強烈なキャラクターについて「タイトな撮影でみんなが疲れている際、映像ソフトの特典用に"進藤さんとキャストが全員で踊ってほしい"と頼まれていたことがあります。映画の撮影スタッフとかがピリピリしている状況で、進藤さんも疲れまくっているのにカメラが回ると"イエ~"とノリノリな顔を作って……」と、どんなにハードな状況にあってもハイテンションの"オチョ"ダンスを披露する進藤のプロ根性を称えた。
ネットアイドル「みーたん」こと石動美空(演:高田夏帆)に心酔する一海の"ドルオタ"描写を、どんどん過剰に演出していった山口監督について武藤氏は「アドリブが多いって言われるけれども、シナリオを無視するんじゃなくて、シナリオに書いてあるセリフはぜんぶ(登場人物に)しゃべらせてくれている。それにプラスアルファでセリフを乗せてくる」と、山口演出と武田のアドリブによってシチュエーションがどんどん膨らんでいったと感想を語った。さらに「山口監督の場合、セリフを"盛られるな"と思っているので、シナリオ段階では若干控えめで書いている。それでオンエアを観ると、ちょうどいいあんばいになっている(笑)」と、武藤氏が監督の演出タッチに合わせてシナリオを書いていることを説明した。
トークが盛り上がってきたところで、今回「武田航平ナイト2」が開催された"理由"のひとつでもある"重大発表"が行われた。それは、ファンの念願でもあった武田航平の"主演"作品『ビルドNEW WORLD仮面ライダーグリス』の製作が決定したというニュースである。
製作決定を示すスペシャル特報映像では、第46話「誓いのビー・ザ・ワン」で一海が"最期の変身"の際に放った「Are you ready?」「……できてるよっ!」というセリフが効果的に使われており、客席のファンを歓喜にふるわせた。
『仮面ライダーグリス』の特報には「最終章、始動」の文字があり、『仮面ライダービルド』シリーズとしてのラストを飾る作品になることが予想されている。これを受けて武田は「僕がビルドを締めくくりますよ!」と、早くも主演作品にかける意気込みを見せた。
脚本はもちろん武藤氏、監督は『ビルド』第17話「ライダーウォーズ開戦」第18話「黄金のソルジャー」を演出した中澤祥次郎氏が務めることも明らかとされた。
武田は、本日会場に来ていた"三羽ガラス"のひとり・キャッスルハードスマッシュ/赤羽役の栄信をステージに上げ、「『グリス』は僕と栄信が上野で飲んでいて"こういうこと(作品)やりたいね"と話して盛り上がり、大森さんにLINEを送った」と、『グリス』実現に向けての強い熱意があったことを改めて語った。大森プロデューサーは「企画実現には、『クローズ』がおかげさまで大成功したことが大きく作用していますので、やはり観に来てくださったお客様のおかげです!」と、多くのファンの支えによって"新作"が今また生まれようとしていると説明し、改めてファンの応援に感謝を示した。
武田は最後のあいさつで「応援してくださるみなさん、脚本の武藤さん、プロデューサーの大森さんはじめたくさんのスタッフ、報道してくれるマスコミの方々……。多くの人たちの力がなければ、僕らが作品を生み出すことはできません。ほんとうに心から感謝しております。『グリス』観てね!」と、作品の内外に携わっている多くの人々と、熱い声援を送ってくれるファンたちに再度感謝の言葉を述べ、武田航平ナイト2を見事に締めくくった。
Vシネクスト『ビルドNEW WORLD仮面ライダーグリス』は2019年秋期間限定上映予定。Blu-ray&DVDソフトは劇場で先行販売されるほか、11月27日に通常販売が開始する。初回生産限定「DXグリスパーフェクトキングダム版」も発売される。
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