2月14日は平成最後の「バレンタイン」です。夫婦や恋人がいる人にとっては、誕生日、クリスマスと並ぶ大切な日だと思いますが、なかには「最近ちょっとマンネリ気味……」と、パートナーとの関係に思い悩む人もいるのではないでしょうか? そこで今回、映画パーソナリティであり、映画で恋愛心理分析や心理テストの作成も手がける伊藤さとりさんに、パートナーの大切さをきっと再確認できる「愛を深めたくなる」を5本厳選してもらったのでご紹介しよう。

  • 映画パーソナリティの伊藤さとりさん

    映画パーソナリティの伊藤さとりさん

愛を深めたくなる映画5選

『光をくれた人』(2016年米)

この映画がきっかけで恋人同士になり、結婚したマイケル・ファスベンダーとアリシア・ヴィキャンデル共演の究極の愛の形。灯台守となった男が文通を経て、妻をめとり、2人はオーストラリア西部にある孤島で夫婦生活をスタートさせる。子供を切望するも流産、死産を繰り返していたある日、島に男の死体と生まれて間もない赤ちゃんを乗せたボートが流れ着く。子宝に恵まれない夫婦の元に、育てる親がいそうもない赤ちゃんが現れたらどうするだろうか? もし自分が同じ立場になったらどうするだろうか? この映画は心優しい夫婦の元に訪れた幸せの贈り物による運命を綴りながら、何が正しいのかを観客に問う作品。妻を愛で包み込み、愛しているからこそ決断する夫の姿に、究極の愛とは、どんなことがあろうとも「あなたを守る」ということかもしれないと強く思った一作。

『私の頭の中の消しゴム』(2004年韓国)

こんなに泣けて、夫を、妻を、愛おしく思える映画はそうないかもしれない。韓国でも大ヒットを記録し、日本でも多くのカップルや夫婦が観に行った恋愛映画。若年性アルツハイマーになった妻を渾身的に支える夫。2人の出会い方も愛おしく、最初は不器用な夫に、茶目っ気いっぱいに愛を伝える妻の関係が、記憶障害が発覚した辺りから立場が逆転していく。夫役のチョン・ウソンの不器用だけれど男前な姿と、妻役のソン・イェジンの透明感ある美しさが、儚さに変化していく姿に涙が止まらない。何より「アイシテル」という言葉を伝える大切さを痛感できる夫婦愛の傑作。マンネリ化したカップル、夫婦関係に一石を投じる男女共に満足できる純愛映画をパートナーと観れば、互いに“大切な存在”だと気付かせられるはず。目から涙が溢れて止まらない一本。

『きみに読む物語』(2004年米)

現在公開中『ファーストマン』主演のライアン・ゴズリングと、ラブストーリーの鉄板ヒロイン、レイチェル・マクアダムズ共演の不朽の名作。物語が進むほど、胸がキュンとなり、恋がしたくなり、恋する喜びを疑似体験できる。ラストはパートナーの渾身的な姿に、泣けて仕方がないという無敵の純愛映画。ひとりの青年が一目惚れをし、猛アタックを開始。それは意表をついていて、無邪気で、時に子供っぽくもあり、とびきりロマンティックなアプローチ。念願叶って恋に落ちるも階級が違うと親から反対されてしまい、その後も2人の前には幾多の壁が出現する。長年付き合っていると相手の粗ばかりが目につき、感謝の言葉さえ忘れてしまいがち。そんな時、パートナーと一緒に観れば、小恥ずかしい初体験のシーンに当時を思い出し、再熱して盛り上がれるはず!?

『初恋のきた道』(1999年中国)

中国の巨匠チャン・イーモウ監督作。後にハリウッド映画にも出演し、『SAYURI』では渡辺謙らと共演、『2046』では木村拓哉とも共演した中国を代表する女優、チャン・ツィイーのデビュー作。父が町で突如亡くなり、遺体をトラックで運ぼうとする村人の反対を押し切り、伝統通りに棺を担いで村まで帰ると言い張る母。そんな母の姿を見ていた息子は、父と母の馴れ初めを初めて聞くことに。それは母が18歳の時、村にやってきた若い教師に一目惚れをした初恋の思い出だった。まだあどけなさが残る田舎臭い乙女が初恋をし、想いを伝える代わりにせっせと彼のためにお弁当を作る姿が可愛らしくて健気。彼女の作る餃子はとても美味しそうで、この映画の魅力の一つ。身分違いの恋だと分かっていても諦めない少女の姿に、言葉では言い表せない愛の深さを学ぶ。

『シェイプ・オブ・ウォーター』(2017年米)

こんなに美しく深い愛に酔いしれた映画は近年ではこれだけ! 昨年のアカデミー賞作品賞、監督賞、美術賞、音楽賞の4部門を受賞したファンタジー・ラブストーリー。政府が研究対象としてアマゾンで捕らえられた半魚人のような未知の彼と出会った話すことが出来ない女性。水の中で暮らす彼の姿に心を奪われ、こっそり茹で卵を差し入れしていた彼女はある日、彼の命の危機に気付き、友人に頼んで研究所から連れ出そうと試みる。独特の世界観が生み出す美しい映像と、半魚人と女性の純愛は時にシュールで時にロマンティック。孤独な2人が織り成す愛の逃避行は、どこかメランコリックで、「2人を受け入れてくれる世界はどこにあるのか?」といつのまにか2人を応援してしまう魔法を秘めた傑作。彼らの海の底のような深い愛に、愛する行為こそが“美しい”と気付かされた。

※年号はすべて製作年

監修者プロフィール: 伊藤 さとり(いとう さとり)

邦画&洋画の記者会見や舞台挨拶を週5回は担当する映画MCであり、年間500本以上映画を観る映画コメンテーター。TV、ラジオ、雑誌、WEBなどで映画紹介のレギュラーを持つ。

TSUTAYA店内放送「WAVE-C3」で新作DVD紹介のDJを担当。俳優との対談番組ケーブルテレビ無料放送チャンネル×ぴあ映画生活×Youtube:動画番組「新・伊藤さとりと映画な仲間たち」、スターチャンネル、東映チャンネルでの映画解説、デイリースポーツでスターの魅力コラム連載他、日刊スポーツ映画大賞審査を務める。また心理カウンセリングも学んだことから映画で恋愛心理分析や心理テストも作成している。