2月5日、39人の所属棋士が2席の昇級枠を争う第77期順位戦C級1組10回戦が東西の将棋会館で行われました。

上位グループを形成する4人による直接対決となった杉本昌隆七段(8勝0敗)―船江恒平六段(7勝1敗)戦、藤井聡太七段(8勝0敗)―近藤誠也五段(7勝1敗)戦は、ともにこれまで1敗の船江六段、近藤五段が勝ち、結果、最終局を残し8勝1敗で4人が並ぶ大混戦となりました。

師匠は自力ラインに残るも、弟子は4番手に後退……

最終局を残し4人が横一線に。上段左から近藤五段、杉本七段、下段左から、船江六段、藤井七段

最終局を終えて同星の棋士が3人以上いる場合は今期順位を見て上位2人が昇級となるため、有利な順は以下となります(カッコ内が今期順位)。

1.近藤五段(6)

2.杉本七段(7)

---自力昇級ライン---

3.船江六段(13)

4.藤井七段(31)

※7勝2敗で5番手につける高崎一生六段(4)まで昇級の可能性があります。

1986(昭和61)年度、第45期順位戦B級2組の大内延介九段、塚田泰明六段(当時)以来2例目の師弟同時昇級が懸かっていた杉本七段と藤井七段。順位上位の杉本七段は最終戦に勝てば昇級できるラインに留まりましたが、下位の藤井七段は最終戦で自身が勝ち、他の3人のうち2人以上が敗れないと昇級できない4番手まで後退、手痛い黒星となりました。

4人の最終局における相手は以下の通りです。

  • 近藤五段・・・増田康宏六段
  • 杉本七段・・・千葉幸生七段
  • 船江六段・・・金井恒太六段
  • 藤井七段・・・都成竜馬五段

いずれも実力者との対戦となりました。このクラスで7勝、8勝の成績を挙げること多数、逆に負け越しが極めて少ない、安定感光る千葉七段、昨年度、第3期叡王戦で初代叡王を決める決勝七番勝負に進出した金井六段。藤井七段とともに前期第76期にC級2組から昇級した増田六段、都成五段の「C級1組初参戦組」は、公式戦で7割近い高勝率を誇ります。

今期は4人とも5勝4敗、残念ながら昇級にからめませんでしたが、6勝4敗の勝ち越しで終わるのと5勝5敗の指し分けで終わるのでは、実利的にも気分的にも来期の迎え方が変わってくるでしょうから、必勝の気合をもって臨むに違いありません。

ともに勝てば同時昇級決定の師弟がともに敗れるドラマがあった10回戦ですが、3月5日に行われる運命の最終局でも、ファンをあっと言わせるドラマは起きるでしょうか。