本や書類にはさまっている虫、お米にわいている虫、クローゼットにしまいっぱなしだった洋服についている虫……。家の中で名前も知らないような小さな虫を見つけてギョッとした経験は、誰にでもあるのではないでしょうか。
そのヘンな虫の正体は何なのか、そしてヘンな虫を見つけた時にはどうしたらいいのか。虫ケア用品を販売されているアース製薬のブランドマネージャー、渡辺さんにお話を伺いました。
――家の中で見かける害虫にはどんなものがいるのか、その対処法も含めて教えてください。
■お米につく虫
「お米によくつくのがコクゾウムシやノシメマダラメイガです。お米の保管中に、お米のにおいにつられてこれらの虫が寄ってきてしまいます。また、購入前から卵がついていたとしても、パッと見でわかるものではありません。
対策としてはお米の保管方法に注意することです。袋を開けっぱなしにせず、きちんと密封するか、米びつに入れて保管しましょう。米びつ用の防虫剤を使うのもひとつの手ですね。
もしお米に虫がついていたら……食べれないわけではありませんが、個人的にはあきらめて処分します」
■小麦粉などの粉類、パスタといった乾麺につく虫
「粉ものや乾麺につくのは、お米につくコクゾウムシやノシメマダラメイガに加え、コナダニがあげられます。こちらも袋が密封されていないときに、隙間から入ってしまうのが原因です。
とくに気をつけたいのがコナダニで、近年、コナダニによるアナフィラキシーショック(急性アレルギー反応)が報告されています。コナダニがわいた粉ものを食べることでアナフィラキシーショックを起こしてしまうことがあり、場合によっては生死にかかわる危険もあります。
対策としては、タッパーなど密閉できるものに移すか、袋をきちんと密封して虫が入りにくい環境を作り、冷蔵庫で保管することが有効です。そして早めに使いきるようにしましょう」
■本や書類につく虫
「本や書類などの紙類につく虫には、チャタテムシやジンサンシバンムシがあげられます。スプレーなどの駆除剤で退治したいところですが、シミになったら困るようなものにはスプレーできないので、つまみ出すなどして取り除くしかありません。
このような虫は湿度が高く薄暗いところに出やすいので、本をそういう環境に置きっぱなしにしないようにしましょう」
■衣類につく虫
「衣類につく虫には、イガやヒメマルカツオブシムシなど屋外から来る虫があげられます。洗濯して屋外に干してある服や、外出中に着ている服に、成虫がくっついたり卵を産みつけられたりすることで、家の中に入ってきます。服についたまま長い間置いておくと、服が食われて穴が開いてしまいます。
衣服についた虫は洗濯すればとれますが、コートやセーターなど頻繁に洗わない衣類には虫がついたままになりやすいので注意しましょう。シーズンごとにクリーニングに出すか洗濯をして、防虫剤を入れて保管すれば大丈夫です」
■ペットにつく虫
「ペットを飼っている方に注意していただきたいのがマダニです。草むらなどに生息するマダニは、犬や猫にも寄生するので、たとえばペットが散歩中に草むらに入ったりしてくっつけて帰ってくることで、家の中に入ってきます。かまれるとSFTS(重症熱性血小板減少症候群)などの感染症を起こすことがあるので注意が必要です。
対策としては、草むらに入るときには袖のしまる長袖・長ズボンなどの服を着用させるほか、ペット用のマダニ対策商品を活用するとよいでしょう」
――家の中で害虫と出会わないために、何かできることってありますか?
「家に隙間が多いと虫が出やすいですね。例えばたてつけが悪いとか、窓が開けっぱなしであるとか……。害虫は網戸では防ぎきれないものです。換気する際は短時間に手早く行うのがよいでしょう」
なるほど、まずは害虫を家に入れにくい環境を作ること、そして食品はきちんと密封して保管する、衣類は洗濯やクリーニングに出してから防虫剤を入れて保管するなどの対策で防ぐことができそうですね。渡辺さん、ありがとうございました!
〈取材協力〉
アース製薬株式会社 https://www.earth.jp/index.html