米Appleは2月5日 (現地時間) 、リテールおよびオンラインストア部門を率いるAngela Ahrendts氏 (リテール担当シニアバイスプレジデント)が退任することを発表した。後任については、HR部門を率いるDeirdre O’Brien氏 (ピープル担当バイスプレジデント)がリテール/オンラインストアも担当し、リテール+ピープル担当のシニアバイスプレジデントに昇進する。
Ahrendts氏は、Tim Cook氏がCEOになってから2人目のリテール部門のトップである。Apple StoreやGenius BarといったApple直営店の原型を作ったRon Johnson氏の後任として、2012年に英Dixons RetailのCEOだったJohn Browett氏氏がリテール事業担当のシニアバイスプレジデントに就任した。ところが、ストア改革でスタッフ不足が起こるなど混乱が生じ、同氏はわずか半年でAppleを去った。そして2014年春、BurberryのCEOだったAhrendts氏を迎え入れた。
グローバル規模の企業・ブランドを率いた経歴を持ち、Forbes氏が選出する「世界で最も影響力のある女性100人」に選ばれたビジネスウーマン。ファッション産業からの採用は大きなサプライズだったが、Ahrendts氏の加入はAppleに新風をもたらした。Apple Watchに代表されるファッション性やタウンスクエア構想に基づいた直営店改革など、一般的なPCメーカーやモバイルデバイス・メーカーにはないAppleのブランドイメージやカルチャーを成長させた。リテール部門を率いて5年、今ではAppleの顔と呼べるエグゼクティブの1人に数えられる存在だ。
Appleによると、Ahrendts氏は個人の新たなキャリアを追求するため4月に同社を去る。新たなゴールが何であるかは不明だが、今年1月にVogue Businessのインタビューで「ファッション産業でやり残したことがいくつかあります」と述べており、ファッションの世界に戻る可能性が噂されている。
O’Brien氏は1988年にAppleに入社し、Apple一筋で様々な製品リリースの成功に関わってきた。リテール+ピープルについてはまだ公開されている情報が少ないが、Genius Barやワークショッププログラム「Today at Apple」など、今日のリテール事業ではトレーニングや教育が重要性を増している。また、Apple直営店がコミュニティに根づいたストアを目指している点でもピープル事業との相乗効果が期待できる。