PayPayは2月4日、スマートフォン決済サービス「PayPay」において、2018年12月に実施した「100億円あげちゃうキャンペーン」の続編となる、第2弾の100億円キャンペーンを、2019年2月12日午前9時から2019年5月31日まで実施すると発表した。

期間中、支払額の最大20%を還元するキャンペーンと、抽選で100%を還元するキャンペーンの2つを実施する。

前回と同様に総額100億円を直接ユーザーに還元するが、今回は適用条件が大きく変わった。簡単に言うと、一攫千金の要素が薄れ、その代わりに還元の恩恵を受けられるユーザー数が増えるような条件に変えられているのだ。

同社の代表取締役 社長執行役員 CEOの中山一郎氏は、「前回のキャンペーンを終えて、成果と課題が残った」と振り返る。新たなキャンペーンで大幅にルールを変更した意図はどこにあるのだろう。

PayPay 代表取締役 社長執行役員 CEOの中山一郎氏

最初の「100億円バラまき」で認知度No.1に

「第1弾のキャンペーンの目的は、PayPayサービス認知度の向上、およびこれまであまり馴染みのなかった『QRコード決済』を一度使ってもらうというものだった」(中山氏)

狙い通り、ほかのQRコード決済サービスと比較したときのPayPayの認知度は、キャンペーンを機に大きく伸び、「名称認知」「サービス理解度」においてNo.1になった。

キャンペーン以降、認知度、サービス理解度は大幅に向上した

そして100億円キャンペーンは、PayPayの累計登録者数をサービス開始4か月で400万人超になるまで押し上げた。PayPayはソフトバンクとYahoo! JAPANの合弁だが、Yahoo! JAPANの人気サービスと比べても異例のユーザー獲得ペースだとし、中山氏は「過去の歴史を見ても、最速でのユーザー獲得スピード」と手ごたえを語る。

キャンペーン中に大量のユーザーを獲得した。その後も登録者数は伸び続けている

第2弾は、より多くの人に、より日常で使ってもらう

その成功を受けて、100億円キャンペーンの第2弾が始まる。

今回のキャンペーンの目的は、「多くのお客様に、長い期間、何度もご利用いただくこと」(中山氏)。前回はキャンペーン開始からわずか10日ほどで原資を使い切り、予定していた実施期間の途中で終了してしまった。今回はキャンペーン期間の2月12日から5月31日までの約4か月間、できるだけ長く利用できるようにする。ただ、100億円を達成すると終了してしまう点は前回と同様だ。

「総額は100億円」「20%還元」「抽選で全額還元」という3点は前回と変わらない。大きく変わったのは、「支払い方法による還元率の違い」「上限金額の削減」「全額還元の確率アップ」の3点だ。

今回のキャンペーンでも支払額の最大20%を還元するが、PayPay残高かYahoo!マネーで支払った場合に20%、Yahoo! JAPANカードで支払った場合に19%、Yahoo! JAPANカード以外のクレジットカードで支払った場合に10%と、支払い方法で還元率が変わってくる。

上限金額は支払方法にかかわらず、1回の支払いにつきPayPayボーナス1,000円相当まで、さらに期間中に1人が得られるPayPayボーナスは合計5万円相当までとなった。

PayPayとしては、タクシーやコンビニ、美容院などの日常生活で良く触れるポイントで複数回利用してもらうことで、「キャンペーン中だから使ってみよう」ではなく、その後も日常生活に当たり前のサービスへとしていくことを存在にしていくことを願っているようだ。

「100億円バラまき」で話題になったキャンペーンを再度行うことで、前回は乗り損ねたユーザーの獲得、およびキャンペーン終了でPayPayの使用頻度が下がったユーザーの引き戻しにも期待がかかる。

今日までに加盟店も増加しており、中山氏は「新キャンペーンでは、多くの方に日々の生活の中でPayPayを使ってほしい。実際に使って、その便利さ、お得さを実感してほしい」と期待を述べる。

加盟店も日々増加している

トラブル続きだったPayPay、イメージ払しょくなるか

前回のキャンペーンでは大きな反響があった反面、システムトラブルで利用できなくなるなどの混乱があったほか、クレジットカードの不正利用といった問題も明るみに出た。引き続きシステム安定化に向けた強化を継続していくほか、クレジットカード不正利用への対策と補償も進めている。問題について中山氏は、「全社をあげて取り組んでいる」と説明する。

キャンペーン中のシステムトラブルは、処理能力の向上や管理体制の強化によって対応する。不正入手したクレジットカードの使用に対しては、被害額を補償するなどの対応を進めている

一連のトラブルからユーザーのPayPayへの評価は必ずしもポジティブなものだけではないのも事実だろう。日本ではいまだに現金の信用が高く、それがキャッシュレスサービスの普及を阻んでいる。多くのユーザーに日常使いしてもらうためには、トラブルに迅速に対応し、信頼を勝ち取る必要がある。

前回のキャンペーンは、“良くも悪くも”世間を賑わせた。日常で使ってもらうことを重視した今回の施策を、ユーザーはどう受け止めるのか。PayPayの真価が問われる。

(田中省伍)