Microsoftは2019年1月31日、Windows Insider Programの公式アカウントを通じて、Windows 10 19H1(バージョン1903予定)の完成を待たずに、2019年秋ごろリリース予定のWindows 10 19H2を試すSkip Aheadを有効にしたと明らかにした

実際に筆者がWindows 10 Insider Previewをインストールしている数台のPCでも、Skip Aheadへの変更が可能だと確認した。

  • 「設定」の<更新とセキュリティ/Windows Insider Program>から現在のリング設定を選択すると選択できるSkip Ahead

Skip Aheadは、次のWindows 10リリース版ではなく、さらに次の新ビルドを試せるというものだが、最近まで閉じられていた。これが再オープンしたということは、2019年春ころリリース予定となる次期Windows 10の大型アップデートが近いことを示している。

いまのところWindows 10 19H1の目玉機能となるのは「予約済みストレージ」あたりだと見ているが、Windows 10 19H2でも大きな変化が加わりそうだ。それがライブタイルの廃止である。

MSPoweruserが報じた記事によれば、ライブタイルが今後廃止されるであろうヒントが顕著になったという。

記事を要約すると、Windows 10 Insider PreviewでMicrosoft Storeを使用し、任意のアプリケーション(以下、アプリ)をインストールした際の通知が異なると報じている。

実際に筆者もWindows 10 バージョン1809とWindows 10 Insider Preview ビルド18323で比較してみたが、下図に示したとおりだ。

  • Windows 10 バージョン1809の通知。見慣れたボタンが並ぶ

  • Windows 10 Insider Preview ビルド18323の通知。<スタートにピン留め>ボタンが削除された

これらの変更理由として、記事では3つの推論を提示している。1つ目は「Microsoftが取得したテレメトリーデータで、ライブタイルが使われていないことが判明している」。2つ目は「いまだ数億台と言われるWindows 7 PCをWindows 10へ移行を促進させる要素としてライブタイルが不要と判断した」。最後は「タブレットモードを強く意識したライブタイルだが、MicrosoftはCShellを基盤とした新タブレットモードの開発を計画している」というものだ。

Windows 7 PCが残っているのは主に企業内だ。個人ユーザーの中にも意図的にWindows 7を使っている方や、PCを買い換えるタイミングでOSを移行しようと考える方もいるが、そうした例を外せば、ほぼほぼWindows 10を使っているようだ。

それを考慮すると、2つ目の推論である「企業ユーザー向け施策をWindows 10で推し進める」という判断は否定できない。

うわさレベルだが、MicrosoftはChrome OSへ対抗するため、Windows 7風の静的なプログラムメニューを実装する「Windows Lite」エディションを開発しているという。利用範囲をUWPアプリに限定したWindows 10Sの存在を鑑みれば、Windows Liteが登場する可能性もそれなりにありそうだ。

Windows 10 19H2への布石としては、Windows 10 1903における仕様変更を停止し、2019年1月末からバグの洗い出しを行う「19H1 Bug Bash」も始まったことにも表れている。これらのことから、Windows 10 19H2ではライブタイルが廃止される可能性が高い。

  • 2019年1月末から始まった「19H1 Bug Bash」。ユーザーからのフィードバックや検証を経て、Windows 10 バージョン1903に至る予定だ

「ニュース」や「天気」に代表されるUWP(ユニバーサルWindowsプラットフォーム)アプリは、取得した情報をプッシュ的にタイルへ描画する。また、「フォト」なら撮影した写真やお気に入りの画像をスライドショーとして表示してくれる。

情報を能動的に取得するのではなく、受動的に配信される仕組みはいまの情報社会において、ひとまず正しいと筆者は思っていただけに、こうした動きは実に残念だ。

  • ライブタイルを有効にした場合、直近のスケジュールや天気予報、メッセージを送ってきた方のアイコンなどが描かれ、分かりやすい……と個人的には感じている

阿久津良和(Cactus)