「RPAは日本が今まさに必要としているキーテクノロジー。次世代の可能性を切り拓いていくもの」と語ったのは、米UiPath 共同創業者 兼 CEOのダニエル・ダインズ氏。日本へ参入した直後に、日本市場の優先順位を第1位にすることを決めたとしている。その理由についてダインズ氏は、「1人あたりの売上、実装されているロボットの数が一番大きい。日本はRPAのニーズが高く、今後日本が先導していく分野だと判断した」と説明する。実際にUiPathにおける製品開発投資の約40%は日本関連のものであるという。
「日本の大きな特徴は、他国に比べてアウトソースをしていないということ。だからこそ、手作業が非常に多く発生し、複雑なことも自らの手作業で行う必要がある状況になっている。さらに、本社だけではなく、すべての支社でもそうした状況が広まっていることが課題。我々があらゆる人にUiPathを使っていただきたいというビジョンを掲げているのは、日本のニーズを汲んでいるため。日本は、トップダウンで自動化を進めてバックオフィスにRPAを広めていくことができる。ビジネスの最前線にいる人たちにRPAの力を使っていただきたい」(ダインズ氏)
経費精算用ロボットをつくった国会議員、石原伸晃氏
基調講演では、特別ゲストとして自民党衆議院議員の石原伸晃氏が登場する場面もあった。実は石原氏は、長谷川氏らUiPathのスタッフのサポートのもと、経費精算処理を行うソフトウェアロボットをつくった経験をもつ。
石原氏はロボットの開発経験をもとに「RPAは間違いなく働き方改革につながるもの、日本を元気にしてくれるプロジェクトだと確信している。2020年代は人間がやらなくてもよい作業をRPAが代替してくれるようになる。自分の仕事が奪われてしまうと感じる人がいるかもしれないが、日本は少子高齢化によってヒューマンリソースが限られてくるようになる。こうしたなか、RPAは優秀な人たちが効率的に仕事をするチャンスを与えてくれるものとなる」とコメントした。
「IBM Digital Business Automation」との連携も発表
続いて、米UiPath チーフ・プロダクト・オフィサーのパラム・カーロン氏が登壇し「2019年はイノベーションのペースを高めていく」と宣言。「オープンプラットフォーム」「素早い成果」「AIへの道」「スケーラビリティ」「セキュリティ」というエンタープライズRPAの5つの柱に対して今後も注力していく考えを示した。
またカーロン氏は、日本市場で特にフォーカスしている製品について、長谷川氏より発表のあった「Studio X」であるとしたうえで「Studio Xを活用することで、ビジネスアナリストでもイノベーションを起こすことができる。プログラミングスキルが不要であるため、誰もがロボットを用いて成果を出せるようになる」と説明した。
さらに、IBMとの戦略パートナーシップについても発表された。UiPathが持つRPA自動化テクノロジーと、IBM業務自動化プラットフォームである「IBM Digital Business Automation」のツールをシームレスに連携できるよう、共同でAPIコネクタを開発したとしている。
基調講演の最後には、さらに広範な領域をカバーできるソリューションが2019年内に新たに提供される可能性についても示唆されていた。急成長を続けるUiPathの今後の動向に注目したい。