現在、日本においてRPAへの関心が急速に高まっており、代表的なRPA製品の1つである「UiPath」の国内導入企業は、2018年1月時点で約780社に達しているという。同製品を提供するUiPathが1月30日、ザ・プリンスパークタワー東京にてプライベートカンファレンス「UiPathForward Japan 2019」を開催した。
本稿では、米UiPath 共同創業者 兼 CEO ダニエル・ダインズ氏、UiPath 代表取締役CEO 長谷川康一氏らが登壇した基調講演の様子をお届けしたい。
「ロボットフォーエブリワン」の実現に向けて
RPA製品として世界第1位のマーケットシェアを誇るUiPath。本社を置く米国だけでなく、欧州や中東、アジアを含む全世界にビジネスを展開しているが、なかでも特に注力しているマーケットは日本だという。それは、約1年前は45名だった日本法人の社員数を現在の約190名へと急激に増加させていることからも明らかだ。国内での導入社数は、2017年6月時点の約130倍となる780社を超えている。
UiPath 代表取締役CEO 長谷川康一氏は、国内UiPathユーザーからの「UiPathは働き方改革ではなく、働きがい改革を実現するものである」という声を紹介し、日本においては働き方改革の文脈でRPAに注目が集まっていることを説明した。UiPath日本法人のミッションは、RPAを通してデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進をサポートし、日本全体を元気にしていくことだという。
「日本全体を元気にしていくためには、"人財がど真ん中"のDXが必要となる。RPAプロジェクトは単にロボットをつくるプロジェクトではなく、ロボットを使いこなせる人財や組織をつくるプロセスだということを私たちはお客様から学んできた。RPAで手作業が自動化されることにより、現場業務に精通するデジタル人財が創出され、UiPathの使い手が生まれていく。こうした人財が次のデジタルの使い手を育てて人財を活用していく流れをつくることで、業務に精通する人財がDXの旗手となる状況を実現したい」(長谷川氏)
長谷川氏は、1人ひとりがロボットを活用できる「ロボットフォーエブリワン」という構想を掲げている。Microsoft OfficeやGoogle G Suiteを利用するように、全社員が1人1台ロボットを所有して熟練し、業務に利用するような時代をつくりだしていくことが目標だ。すでに本社全従業員5000人に1人1台のロボットを導入するプロジェクトも進行しているところだという。
ロボットフォーエブリワンの世界観を日本全体へ広げていくためには、RPAの導入が進む大手企業のみならず、中堅・中小企業、地方、個人でのロボット活用も必須となる。そのためにUiPathは、今年6月から「RaaS(Robot as a Service)」としてクラウド版を提供予定であると発表している。柔軟な価格体系により、より自動化を身近にしていくことが狙いだ。
長谷川氏はそのほかにも、スプレッドシートから簡単にロボットを作成できる「Studio X」、ロボットを共有できるマーケットプレイス「UiPath Go!」、教育プログラムなども6月より順次導入していく予定であることを明らかにした。
そして長谷川氏は、「UiPathによって既存システムとデジタルをつなぐことで、日本政府が推進するSociety 5.0実現の一端を担いたい。ITプログラマがいないような状況に対してもUiPathの使い手を人財として提供していくことで、RPAの産業化につなげ、日本を代表するRPAへと育てていきたい」と今後の展望を語った。