Appleが世界中の直営店で提供しているワークショップ「Today at Apple」の新しいラインナップを発表した。クリエイティビティを刺激し、参加者が実践的なテクニックを効率的に身に付けながらステップアップしていけるようにプログラムをリデザインした。新しいセッションはどれも、私たちの毎日の生活を豊かにしてくれそうなものばかり。満足度の高さは折り紙付きであり、しかも、無料(太っ腹!)で気軽に参加できる。

  • 写真とビデオ、音楽、プログラミングといったApple製品ユーザーが多くが興味を持つカテゴリーからスタートしたToday at Apple、新ラインナップには新しいカテゴリーが加わった

Today at Appleは2017年4月にスタートしたばかりだ。Apple直営店における店内セッションというと、2001年のApple Storeの誕生と共に同ストアではワークショップが開かれてきた。何が変わったのかというと、Apple製品の使い方を学べるという点は同じだが、Today at Appleは人と人のつながりやコミュニティに基づいたプログラムになっている。

それが具体的にどういうことなのか、もう少しかみ砕いて説明しよう。例えば、Appleの「DNAに音楽が刻み込まれている」という主張には誰もが納得すると思う。では、Samsungが同じように主張したらどうだろう。同社は近年、様々なミュージシャンのツアーを積極的にサポートしている。でも、Appleと同じようなDNAは感じない。Appleはユーザーを中心に据えた製品やサービスを作り続け、アーティストやクリエイター、開発者をサポートし続けてきた。Apple製品のユーザーには創造的な人やアーティスティックな人が多いと言われる。そしてクリエイティビティやアートなどに関して、人々はAppleに対して他のテクノロジー企業にはない"信頼"を寄せている。それに応えるようにデザインされたワークショップがToday at Appleである。

テクノロジー企業によるワークショップというと、エンジニアのような講師が登場してアプリケーションの使い方をあれこれと教えてくれるイメージだと思う。でも、Appleには当てはまらない。Today at Appleは学校ではない。強いて言えば、好きなことの部活に参加するのに近い。教えてくれるスタッフもまた、創造力豊かなクリエイターであり、参加者の何かを「やってみたい!」「創ってみたい!」という気持ちを大いに後押ししてくれる。そして部活仲間が刺激し合うように、同じことに興味を持って参加した他の人たちとの交流が互いのインスピレーションになる。

  • アーティストやクリエイターとして活躍する人たちも多いToday at Appleのスタッフ、彼らの創造性に触れるのも刺激的で楽しい

Today at Apple開始以来、Appleは週に18,000以上のセッションを開催してきた。新しいセッション・ラインナップには、世界中の何百万人もの参加者から学んだ3つのことが反映されている。

1つは「継続」、参加者は何かスキルを学ぶと、それを別の様々にことに活用したいと思う。そして人々は「新しいラーニング手法」を好む。Today at Appleでは、ストアの外に出るWalkというセッションを導入した。外では何か事故が起きるリスクが高まるが、その試みが予想超える人気のセッションになった。3つめは「上達」だ。何かを学んだらさらに上のレベルへと進もうとする。

それらを踏まえて、新しいセッションは以下の3つのフォーマットで提供する。

  1. Skills: 基本的なテクニックや知識を教える。何かを始める時に適したセッション。ほとんどが30分。例えば、iPadを一通り使えるようになって、それで絵を描くことに挑戦してみようと思った人が、Skillセッションを通じてドローイング・アプリの使い方やアイディアをスケッチする方法を学べる。
  2. Walks: Creative Proと呼ばれるスタッフと共に、iPhoneやiPadを持ってストアの外に出て、街や自然の中で、写真、ビデオ、ドローイング、フィットネスの知識やスキルを体験しながら学ぶ。
  3. Labs:プロジェクトを通じて実践的なテクニックを学ぶ90分のセッション。楽しみながら学ぶSkillsやWalksに対して、Labsはもっと理論寄り。著名なアーティストやクリエイターと共に作り上げたセッションが数多く用意されている。

Skillsは初心者向けであり、Walksはレベルの違いにかかわらず誰でも楽しめるプログラムだ。スキルが上がってきたらLabsに挑戦するとプロの世界をのぞける。もちろん熟練ユーザーが最初からLabsに参加して腕を磨くことも可能だ。

  • 「Procreate」を使って、ストアの周りで集めた様々な色を使って絵を描く「街を歩いてあなたの色を見つけよう (Art Walk)」

Appleがパッションと呼ぶカテゴリは、写真、ビデオ、音楽、コーディング、アート&デザイン、ヘルス&フィットネスの6つ。これまで1つにまとめられていた写真とビデオが別々のカテゴリーになり、そしてヘルス&フィットネスが新たに加わった。オススメのセッションをいくつか紹介しよう。

  • 小さなスクリーンで魔法を起こそう - Zach Kingとの共同開発セッション (Video Labs): マジックのようなショートビデオで知られる映像作家ザック・キングと共に作ったセッション。ジャンプカット手法を学び、「Clips」アプリを使ってトリックビデオを作成する。
  • GarageBandでサウンドスケープを作ろう (Music Walk): 写真、ドローイング/スケッチに続く新しいウォーク・セッション。外に出て街にあふれる様々な音をキャプチャし、それらをリミックスしてオーディオ作品に仕上げる。
  • Keynoteでアプリケーションのプロトタイプを制作しよう (App Skills): 「Keynote」を使ってモバイルアプリのコンセプトプロトタイプを作成する。ブレインストーミングからプラニング、デザイニング、Appleが実際に採用している開発プロセスがベースになっている。
  • オリジナルの絵文字を作ろう (Art Lab for Kids): 気持ちや感情を絵文字で表現するテクニックやアイディアを伝授するセッション。新ラインナップでも引き続きキッズ向けのセッションが充実している。
  • 「小さなスクリーンで魔法を起こそう」、参加者3人が1つのグループになって、それぞれ監督、役者、カメラマンといった役割をこなしながらオリジナルのトリック映像を作る

iPhoneやiPadがあれば、誰でもフォトグラファーや映像作家になれる。楽譜が読めなくても、イメージした音を形にできるアプリがある。やってみたら難しくはない。面白い。でも、実際にはなかなか最初の一歩を踏み出せない。Today at Appleは、その一歩を踏み出し、走り出すのを手助けしてくれる。例えば、楽器を学んだことはないけど、自分で音楽を作ってみたい。「GarageBandってどんなアプリだろう?」と思ったら、Music Skillのセッションを取ってみるのが近道だ。ソフトの機能やテクニックの情報なら書籍やネットからでも入手できる。でも、Today at Appleは、音楽を作ってみたいというパッションを増幅してくれる。それはオンラインコースでは得られないメリットであり、次の段階に進むのに欠かせないモチベーションになる。iPadを手にして絵を描くことに興味を持ち、アート・セッションをいくつか受講して絵本作家としてデビューしたというようなストーリーが、Today at Appleのまだ2年にも達していない歴史の間に次々と誕生している。

  • 「Today at Appleは人と人を結ぶ"リアルなソーシャル"である」とAngela Ahrendts氏。セッションに参加すると、その価値を実感できる

Angela Ahrendts氏は「ストアはAppleの最大の製品です」と断言する。他のApple製品と同様、美しく快適なスペースを持つ建造物 (ハードウェア)と、ストアにおける体験 (ソフトウェア)が統合的にデザインされている。そして他のApple製品と同様に、体験に関してディテールにこだわり抜いて開発している。

Today at Appleのセッションは世界中のリテールストアで提供される。フラッグシップストアや人口の多い都市のストアの方がより充実したセッションを受けられると思うかもしれないが、どのストアで受講してもセッションの体験に違いはないそうだ。

セッションの開発では、インスピレーションを引き出し、人のつながりを促進し、ストアの環境を最大限に活かせているようにいくつものアイディアを試し、リハーサルを繰り返す。そして完成したトレーニングマテリアルに従って、スタッフが何度もリハーサルを重ねていく。トレーニング期間は3カ月に及ぶという。ビギナーであれ、熟練者であれ、全ての参加者が「満足できる」と確信できるまで、セッションのデザインとトレーニングを突き詰める。だから、世界中のどのストアで受講しても優れたラーニング体験は変わらず、そして同じように満足できる。

Apple製品ユーザーで、Today at Appleを未体験だったら、ぜひとも参加してみてほしい。Appleのリテールストアは製品を買ったり、アフターサービスを受けるだけの場所ではない。学びや発見、体験の場であり、Apple製品ユーザーでそれらを活用しないのはもったいない。私たちの生活を豊かにし、学ぶ意欲をかき立ててくれる、Apple製品の本当の魅力を発見できること請け合いだ。