ギターにベース、そしてかつてはエレクトリックピアノでも伝説的な楽器を世に送り出してきたアメリカのFender(フェンダー)が、オーディオリスニングのためのBluetoothスピーカーを発売していることはご存知ですか? 伝統の楽器用アンプのデザインを踏襲した点も話題になっています。そこで、先日発表されたばかりの最新モデル「INDIO」(インディオ)を中心に、いち早くリポートしたいと思います。
音楽の温もりを伝える大中小の3製品
フェンダー社の弦楽器といえば、弦の振動をピックアップで拾い、アンプと組み合わせて音量や音色をアレンジしながら音を響かせるエレクトリックのギターとベースがとても有名です。ここでいうアンプとは、一般的には楽器の音を増幅する機能、音の出口となるスピーカーを一体化した楽器用アンプのことを指します。
長年にわたって楽器用のアンプを設計、商品化してきたフェンダーのノウハウを注入したBluetooth対応のワイヤレススピーカーが登場し、注目を集めています。現在、3モデルがラインアップされており、今回メインで紹介する「INDIO」、コンパクトな「NEWPORT」(ニューポート)、上位モデルの「MONTEREY」(モントレー)で構成されます。すべての製品の名前は、海外の伝説的なミュージックフェスの開催地に由来しています。
フェンダーのワイヤレススピーカーが人気を集める理由は、大きく2つあります。ひとつは「音が良いこと」。設計開発や音のチューニングは、アメリカ・テネシー州ナッシュビルの「Fender AUDIO DESIGN LAB」を拠点に、楽器用アンプの開発に20年以上携わってきた熟練のエンジニアが担当しています。音楽の温もりをありのままに伝えるフェンダー伝統のオーガニックサウンドの魅力については、後半で詳しくリポートしたいと思います。
もう1つの人気の秘密は、ヴィンテージモデルを受け継ぐ「デザイン」です。フェンダーの楽器用アンプは、時間の経過に晒されても色あせないデザインが、今でも多くのファンを魅了しています。そのデザインを、最新技術を搭載したBluetoothスピーカーに継承しているのです。
新製品のINDIOは2色のカラバリ展開ですが、BLACKがブラックフェイス期、BLONDEはブロンド期のアンプからデザインのインスパイアを受けているそう。ほどよいサイズ感なので、インテリアとしても映えると思います。2つのカラバリモデルは単純に色が違うだけでなく、天面のハンドルやボリューム/トーンのコントロールノブのデザインが異なっています。BLACKがハードロックな感じで、BLONDEはレトロ調の柔らかなイメージです。
INDIOが加わったことで、フェンダーのワイヤレススピーカーは“3兄弟”となりました。3つのモデルを並べて見ると、サイズ的にINDIOがちょうど真ん中に位置付けられることがよく分かると思います。価格的にもそいういう間柄になっています。
バッテリー内蔵、2基連動でのステレオ再生も
INDIOは、本体に25時間の連続音楽再生が可能なバッテリーを積んでいます。片手で持ち運べるサイズなので、家じゅうのいろんな場所に置いて音楽が聴けるフットワークの軽さが魅力的です。本体には、総合出力60Wのパワフルなアンプを内蔵。搭載するスピーカーのシステム構成はウーファー2基+トゥイーター2基で、すべての帯域の音をバランスよく鳴らせる構成といえます。
音楽ソースは、Bluetoothによるワイヤレス入力のほかに、3.5mmステレオミニジャックからの有線入力にも対応しています。BluetoothのオーディオコーデックはクアルコムのaptXのほか、iPhoneも対応するAACの両高音質コーデックをサポート。ペアリングしているスマホにかかってきた電話に応答し、スピーカーに搭載するマイクを使ってのハンズフリー通話もできます。
NEWPORTとMONTEREYにもない、INDIOならではの機能があと2つあります。1つは、背面に搭載するUSB-A端子経由でスマホやポータブルオーディオプレーヤーを充電する機能です。
そしてもう1つが、2台のINDIOを用意し、ワイヤレスで数珠つなぎにして同じ音楽ソースを鳴らせる「DUO」プレイ機能です。それぞれにL/Rチャンネルの信号を振り分けて、本格的なステレオ再生も楽しめます。
それぞれの機能設定やトーン調整には、モバイルアプリを用いる必要はありません。天面パネルのボタンだけで迷わずシンプルに操作ができるところは、初めてのワイヤレススピーカーを探している音楽ファンの方におすすめしたくなるポイントといえます。