「大人のための変身ベルト」をコンセプトに開発されたバンダイボーイズ事業部の「COMPLETE SELECTION MODIFICATION(CSM)」の第22弾は、2004年から2005年にかけて放送された特撮テレビシリーズ『仮面ライダー剣(ブレイド)』の変身ベルト「ブレイバックル」に決まった。

『仮面ライダー剣』は、2004年1月25日から2005年1月23日まで、テレビ朝日系で全49話を放送した連続テレビドラマである。本作では、仮面ライダーのデザインや、変身・戦闘に用いられるアイテムに「トランプカード」が採用され、非常にスタイリッシュなキャラクターが生み出された。主役の仮面ライダーブレイドは「スペード」の意匠がマスクにあしらわれ、ブレイラウザーと呼ばれる長剣を武器にして、不死生物アンデッドを封印するための戦いに挑む。

「CSMブレイバックル&ラウズアブソーバー&ブレイラウザー」発売を記念して、仮面ライダーブレイドに変身する剣崎一真を演じた俳優・椿隆之にインタビューを敢行。剣崎役を射止めたオーディション時の思い出から、1年間にわたる撮影の日々で印象に残った出来事、共演者と過ごしたかけがえのない時間……といった、15年前の回想を中心に興味深いお話をうかがった。

  • 『仮面ライダー剣』で剣崎一真を演じた俳優・椿隆之 撮影:大塚素久(SYASYA)

――まずは当時、椿さんが『仮面ライダー剣』の主人公・剣崎一真役に決まったときのお気持ちから聞かせてください。

剣崎役はオーディションで決めていただきました。それまでに演技の経験はありましたが、変身ヒーロー役、しかも1年間放送する作品の主演は初めてのことで、決まったと知らされたときは本当にうれしかったですね。

――変身ヒーロー、しかも仮面ライダーという人気シリーズでの主演ということで、プレッシャーは感じませんでしたか?

ヒーローを演じるというのは子どものころからの「夢」でもあったので、絶対にやるぞ!という思いしかなかったですね。幼稚園のころに土の中へ埋めたタイムカプセルを数年後になって開けたら、中から「ヒーローになりたい」と書かれた紙が入っていましたから。

――1年間の撮影で、これは苦労したと思える出来事があれば教えてください。

撮影ではさまざまな出来事がありましたが、今となっては「苦労」と思うよりも、よき思い出、楽しかったことしか思い出せないんです。ただひとつ、ずっと大変だったのは「朝が早い」こと! 当時は撮影所の近くに住んでいたんですけれど、それでも「朝5時に撮影所集合」と言われるのが当たり前でしたから。いま思い出しても、朝が早かったのはキツかったですね。

――それでは、楽しかった出来事はいかがですか?

やっぱり、キャストの仲間たちと一緒の時間を過ごせたことでしょうね。撮影ではもちろん一緒なのですが、終わってからもみんなでお好み焼きを食べに行ったり、ゲームセンターで遊んだり。いつも大勢でいたわけではないんですけれど、毎日必ず、キャストの誰かと一緒にすごしていた印象があるんです。

――剣崎はいわゆる何でもこなせる万能型のヒーローというより、不器用で何かとぶつかりつつも壁を乗り越えていく努力・発展型の「等身大ヒーロー」といった印象です。椿さんと剣崎とではどのあたりが似ていて、どんなところが似ていないですか。

剣崎を演じるにあたっては、特別役を作ったこともなく、最初から入り込むことができました。ただ、実際の僕は剣崎ほど"熱い"人間ではないです。ふだんの僕はとてもユルい感じだと、よく言われます(笑)。それでも、撮影していた当時は家に帰っても台本のセリフを覚えなければなりませんし、椿隆之でいるよりも、剣崎でいる時間のほうが長かったですから。もう全力で、剣崎役にのめり込んでいました。