JR東海は25日、次期新幹線車両N700Sの量産車の仕様および投入計画について発表した。量産車はN700S確認試験車による走行試験結果を踏まえ、N700系の置換えとして投入。営業運転の開始時期は2020年7月を予定している。
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JR東海の次期新幹線車両N700S(量産車)は2020年7月から営業運転を開始する予定(写真は確認試験車。2018年3月撮影)
N700Sは東海道・山陽新幹線「のぞみ」などで活躍するN700系以来のフルモデルチェンジとなる次期新幹線車両。2020年度の営業投入に向け、昨年3月から確認試験車(16両)による走行試験が行われている。今回の発表によれば、N700Sの量産車は2020年度に12編成、2021年度に14編成、2022年度に14編成、計40編成を投入する計画とのこと。工事費(車両製作費用、補修部品の費用など)は約2,400億円とされた。
量産車のおもな仕様として、「安全性・安定性の向上」「異常時対応力の強化」「快適性・利便性の向上」「ランニングコストの低減」が挙げられている。ATCとブレーキシステムの改良により、N700Aタイプと比べて地震時のブレーキ距離を5%短縮するほか、台車カバーの形状変更や融雪ヒーターの採用などで着雪防止対策を強化し、列車遅延の低減を図る。状態監視機能も強化され、より高精度に各機器のモニタリングを実施し、故障の予兆の段階で調査修繕を行うことで、故障を未然に防止する。
高速鉄道では初というバッテリ自走システムを搭載し、自然災害等による長時間停電時においても、トンネルや橋りょうなどを避け、乗客の避難が容易な場所まで自力走行が可能。長時間停電時のトイレ機能も確保する。通話装置の機能を強化するとともに、装置を増やし、客室両端部に新設(デッキ部は廃止)するなど異常時の即応体制を強化。車内セキュリティ強化のため、防犯カメラはN700Aタイプの設置箇所に加え、客室内の天井にも新設(1両あたり4台。一部の号車は除く)される。
モバイル用コンセントは普通車も全座席に設置。グリーン車に加え、先頭車(1・16号車)、パンタグラフ搭載号車(5・12号車)にもフルアクティブ制振制御装置を搭載し、横揺れを低減することで乗り心地が向上する。
N700Sでは普通車も全座席にコンセントが設置される(写真は確認試験車。2018年3月撮影)
「デュアル スプリーム ウィング形」と呼ばれる走行抵抗を低減した先頭形状、次世代半導体であるSiC素子の駆動システムの採用により、従来のN700Aタイプと比べて消費電力を6%削減する。パンタグラフやブレーキ装置の摩耗部品を長寿命化し、交換周期を約2倍に延伸することで、検修作業の省力化も実現するという。
