JR九州とNTTドコモは25日、AR技術を用い、列車の窓を新たな情報表示プラットフォームとして活用する新体感の列車内観光サービスの実現に向けた協業協定を締結し、サービスの導入検証としてD&S列車「いさぶろう・しんぺい」でタブレット端末を活用した実証実験を実施すると発表した。
今回締結された協定により、風景に合わせた観光情報をAR技術などによって車窓へリアルタイムに表示し、タッチや声などの操作で必要な情報をインタラクティブに提供することで、乗客の鉄道旅行の満足度を向上させるサービスの創出をめざすとのこと。
両社はVR(仮想現実)・AR(拡張現実)・MR(複合現実)といった先端技術「XR」や、第5世代移動通信システム「5G」といった先進技術の活用を視野に、2020年のサービス実用化を目標とした継続的な取組みを行うとしている。技術面の共同検討パートナーとしてゼンリンデータコムが参画する。
列車内の新体感観光サービスの提供以外にも、スマートフォンやタブレット端末と連携し、列車降車時から目的地までの観光ガイドを提供するほか、多言語対応を可能とすることで、より乗客に寄り添う観光ガイドサービスへ進化させる方向性を検討していく。
将来展望としては、沿線地域の活性化と社会課題の解決を視野に、地域文化や伝統工芸、特産品などさまざまな観光資源の魅力を効果的に伝えられる観光ガイドとしての価値創出に向けた取組みも行われる。
サービスの導入検証として、肥薩線人吉~吉松間などで運行されるJR九州のD&S列車「いさぶろう・しんぺい」にて、列車の走行位置に応じた観光情報をタブレット端末上で提供する実証実験を2019年春から実施。乗客に貸し出すタブレット端末に、位置情報に応じて車窓から見える景色や目的地の見どころ、地域の特産品などを紹介する観光情報やARコンテンツを表示する。