賃貸でお部屋探しをしていて、気に入ったお部屋も見つかり、初期費用の見積もりをもらうと、そこには「家賃保証初回委託料」の文字が。これはいったいどのような費用なのでしょうか。また節約することはできるのか、解説していきましょう。
賃貸住宅の契約時は家賃債務保証会社の利用が一般的に
近ごろ、賃貸で部屋探しをしていると、備考欄などに「保証会社」などと記載されているのを目にしたことはありませんか。また、住みたい部屋が見つかり見積もりをもらったところ「家賃初回保証委託料」という項目があり、「コレはなんだろう」と疑問に思った人もいるかもしれません。
以前、部屋を借りる際は、「連帯保証人」を利用することが当たり前でしたが、最近では「家賃債務保証会社」を使うことが一般的になりました。2018年のデータでは、利用率はなんと75%にものぼり、今や「当たり前」の状況になりつつあります。2010年の利用率は39%だったことと考えると、この8年で利用がぐっと増えているのがわかります。
では、家賃債務保証会社は、どのような役割を果たすのでしょうか。
家賃保証の仕組みには2種類ありますが、ひと言でいうなら、部屋を借りている人が家賃を払えなかったとき、家賃債務保証会社がいったんその分を立て替え、大家さんに支払います。ただ、払わなかった家賃分の支払いが免除されるわけではなく、後日、家賃債務保証会社から請求されるので、借り手は家賃債務保証会社に支払います。
いわば、連帯保証人を用意する代わりに、保証料を払うという仕組みです。家賃債務保証という「サービス」を購入することになるので、利用しなかったからといって退去時にお金が戻ってくることは、残念ながらありません。
連帯保証人から保証会社の利用へ。現在は過渡期
部屋を借りる側のメリットとしては、連帯保証人を用意しなくていいという点があります。近年、部屋を借りる人や保護者の高齢化、親戚や親族関係の希薄化が進み、連帯保証人を用意するのが難しいという人が増えてきました。また、国も連帯保証人制度から家賃債務保証会社の活用を呼びかけています。
ただ、物件によっては、連帯保証人+家賃債務保証料が求められることもあります。連帯保証人がマストという物件は減りつつある昨今ですが、今はまだ「過渡期」といってよいでしょう。
家賃債務保証会社と契約するときの保証料は、賃貸物件を契約するときに支払います。多くは家賃の50%ですが、家賃債務保証会社によっては20〜30%というところもあります。
このとき、ポイントになるのは、家賃だけでなく管理費まで含めた金額を支払うということ。つまり家賃が6万5000円で管理費が5000円だとしたら、合計7万円の50%、3万5000円を支払うのです。また初回契約以降1年ごと、もしくは更新時に保証料を支払うことが多いようです。
家賃債務保証料は安くするのは難しい。初期費用全体で考えよう
ただ、連帯保証人を用意できる人にとっては、「連帯保証人がいるのだから、債務保証料はムダ。払いたくない」と思う人もいることでしょう。また、何かと初期費用がかさむなか、「保証料を安くしたい」という人もいるかもしれません。
結論からいうと、「保証料をゼロにする」「安くしたい」というのは、なかなか難しいのが現状です。
そもそも、「保証会社必須」「保証会社加入を条件とする」、このような記載がある賃貸物件は、保証会社への加入が契約の条件となっています。「契約したいけれど、保証料は払いたくない」という交渉は非常に難しいといえます。どうしても保証料を支払いたくない場合は、部屋探しの段階で、「連帯保証人を用意するから保証会社が必須でない物件を」と伝えるのがよいでしょう。
また、連帯保証人がいる場合でも、賃貸物件によって保証会社への加入を義務付けていることがありますし、「連帯保証人がいるから、債務保証料が多少、安くなるかも」くらいに考えておくとよいでしょう。
ただ、部屋探しの条件は、家賃や住環境、アクセスなど重視したいことがあるはず。「保証料を安くする」ことにこだわって、他の条件を軽視してしまうのは本末転倒です。初期費用を抑えたい場合は、あらかじめ「初期費用の予算はこのくらい」と不動産会社の担当者に伝えておき、どうやったら安くなるかを相談すると、満足度の高い部屋探しができるでしょう。