SamsungがNVMe対応SSDの新製品「Samsung SSD 970 EVO Plus」(以下、970 EVO Plus)を発表した。970 EVO Plusは、2018年4月に発表されたメインストリーム向けM.2対応SSD「Samsung SSD 970 EVO」(以下、970 EVO)の後継となる製品であり、特に書き込み速度が大きく向上している。日本での発売は2月上旬からの予定だが、970 EVO Plusを試用する機会を得たので、旧製品と性能を比較してみた。

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    Samsung SSD 970 EVO Plusのパッケージ

970 EVO Plusは、NVMe 1.3に対応し、物理層はPCIe Gen 3.0x4に対応したSSDで、フォームファクターはM.2(Type 2280)だ。NANDフラッシュメモリとしては、自社開発の3Dフラッシュメモリ「V-NAND」の第5世代品(V5)を採用。V5は最新のV-NANDであり、90層以上を積層している。

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    Samsung SSD 970 EVO Plusの表面

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    Samsung SSD 970 EVO Plusの裏面

Samsungは、1セルあたり4bit記録のV-NANDを採用したSSD「Samsung SSD 860 QVO」を2018年11月に発売しているが(日本発売は2019年1月下旬予定)、970 EVO Plusに採用されているフラッシュメモリは、1セルあたり3bit記録のV-NANDである。コントローラは、970 EVOや970 PROと同じく、自社開発の「Phoenix」だ。Phoenixは、5つのコアを搭載した高性能コントローラであり、V-NANDの性能を最大限に引き出せる。

970 EVO Plusの容量は250GB、500GB、1TBの3モデルが用意されているが、970 EVOでは2TBモデルも用意されているので、970 EVO Plusでも後日ラインナップに加わる可能性が高い。キャッシュメモリは、1TBモデルが1GB LPDDR4、500GBモデルと250GBモデルが512MB LPDDR4を搭載する。また、970 EVO Plusでは、970 EVOと同じく、フラッシュメモリの一部をSLC NAND相当として使う「Intelligent Turbo Write」機能により、2bit MLC採用製品に迫る性能を実現している。

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    こちらは従来モデル、Samsung SSD 970 EVOのパッケージ

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    Samsung SSD 970 EVOの表面

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    Samsung SSD 970 EVOの裏面

970 EVOからさらに進化した970 EVO Plus

970 EVO Plusは、970 EVOと比べて全体的に高速化されているが、中でもシーケンシャルライトの高速化は著しい。

970 EVO Plusのシーケンシャルリードは全モデルで最大3500MB/秒、シーケンシャルライトは1TBモデルが最大3300MB/秒、500GBモデルが最大3200MB/秒、250GBモデルが最大2300MB/秒なのに対し、従来モデル970 EVOのシーケンシャルリードは、2TBモデルが最大3500MB/秒、1TB/500GB/250GBモデルが3400MB/秒、シーケンシャルライトは2TBモデルと1TBモデルが最大2500MB/秒、500GBモデルが最大2300MB/秒、250GBモデルが最大1500MB/秒となっており、

特に、250GBモデルのシーケンシャルライトは1.5倍以上に高速化されている。500GBや1TBといった大容量は不要だが、高速なSSDが欲しいという人には嬉しい改良点であろう。

  • Samsung SSD 970 EVO Plus、Samsung SSD 970 EVO

    Samsung SSD 970 EVO Plus 500GB(上)とSamsung SSD 970 EVO 500GB(下)の比較。フォームファクターが同じM.2(Type 2280)なので、形状に違いはない

また、970 EVO Plusのランダムアクセス性能は以下の通りだ。

  • 4KBランダムリード(QD32) : 最大60万IOPS(1TBモデル)、最大48万IOPS(500GBモデル)、最大25万IOPS(250GBモデル)
  • 4KBランダムライト(QD32) : 最大55万IOPS(1TB/500GB/250GBモデル)

それに対して、970 EVOのランダムアクセス性能は、

  • 4KBランダムリード(QD32) : 最大50万IOPS(1TBモデル)、最大37万IOPS(500GBモデル)、最大20万IOPS(250GBモデル)
  • 4KBランダムライト(QD32) : 最大45万IOPS(1TB/500GBモデル)、最大35万IOPS(250GBモデル)

となっており、970 EVO Plusのほうが2割~5割ほど高速だ。

書き込み可能容量(TBW)は、1TBモデルが600TBW、500GBモデルが300TBW、250GBモデルが150TBであり、970 EVOと同じだが、現時点でもトップクラスのスペックである。MTBF(平均故障間隔)も、970 EVOと同じ150万時間、保証期間も970 EVOと同じ5年保証だが、こちらもトップクラスの保証期間であり、安心して利用できる。

コントローラにはニッケルコーティングが施されており、ヒートスプレッダとあわせて効率よい放熱が可能だ。さらに、動作温度を監視し、最適な温度を維持する「Dynamic Thermal Guard」により、温度上昇によるパフォーマンスの低下を最小限に抑えている。