子どもの誕生は、何にも代えがたい喜びです。しかし、子育て中には楽しいことだけではなく、心配ごともあるでしょう。その一つとして、家族が増えたことによる支出の増加が挙げられます。赤ちゃんのミルクやオムツ、そのほかベビーグッズなど、子どもが生まれるとお金がかかりますよね。また、妊娠中には気づかなかった意外な支出もあるものです。そこで今回は、出産後にはどのような支出が増えるのかまとめてみました。
出産後に増える水道光熱費や食費
水道光熱費
赤ちゃんが生まれると、しばらくは家にいることが多くなるため、水道光熱費が高くなります。とくに、水道代が増える家庭は多いでしょう。ずっと家にいることでいつもよりトイレの回数が多くなるほか、ミルクの調乳に水を使いますし、赤ちゃんは着替えが多いので、洗濯の回数も増えるからです。筆者の場合、子どもが生まれた直後は普段より約3,000円水道代が高くなりました。
電気代が高くなるおもな理由としては、室内を快適な温度に保つために冷房や暖房を多く使うからです。真夏や真冬など、冷暖房が欠かせない時期に生まれた赤ちゃんの場合はとくに、電気代が跳ね上がることがあります。ガス代はそれほど大きく変わらないという家庭が多いようですが、赤ちゃんが沐浴をしている間は高くなる傾向です。
妻が里帰りする場合、その期間は逆に水道光熱費がぐっと下がりますが、里帰りから戻ると一気にアップ。とくに水道料金はその落差が大きいので、水道局が「水のことでお困りではないですか?」と心配して訪問に来てくれることもあるほどです。
食費
出産後は、子どもに手がかかりっぱなし。そのため料理ができず、出来合いの総菜で済ませるなど、時間の短縮と引き換えに食費が高くなりがちです。ネットスーパーなど出かけずに届けてもらえるサービスも増えていますが、こちらも多少高くつきます。
また離乳食が始まり、子どものために新鮮な食材を買ったり、外出用にベビーフードを利用したりすると、さらに食費は増加します。ただし出産前は外食が多かったという家庭は、出産後は反対に食費が抑えられるかもしれません。
衣類
出産後は子どもの衣類はもちろん、出産による体形の変化や授乳のために、母親も衣類の購入が必要となることがあります。前開きの服やゆったりとしたワンピースなどを持っていれば産後も利用できますが、枚数が少なく洗濯が追い付かなくなると、多少は買い足さなければなりません。
産後の体形に合わせた下着や洋服だけでなく、生理用品なども必要です。また、赤ちゃんは汗をかいたりミルクを吐いたりしやすいので、予想以上に着替えることが多いもの。肌着やカバーオール等は余裕のある枚数を用意しておきたいところです。
妊娠中に見落としがちな出費とは
母親の産後ケア
子どもを産んだ後の女性の体は、まさに満身創痍。「多少お金がかかっても、体の不調を和らげたい!」という女性は多いようです。整体やマッサージに通えば、その分の費用がかかります。
内祝い
出産のお祝いをいただくのはとても嬉しいですし、ありがたいですよね。多くお祝いをいただけば、その分お返しとしてお渡しする内祝いの金額も高くなります。内祝いは、いただいた金品の半額程度とするのが基本です。あらかじめ、内祝いにお金がかかることを心得ておきましょう。
お宮参りやお食い初め
生後約1カ月経つ頃、子どもの健やかな成長を願って神社にお参りをします。ご祈祷の費用は、5,000~10,000円程度が相場ですが、母親の着物の着付けや、写真スタジオでの記念撮影が加われば、合計で数万円かかることもあります。
そして、生後約100日で行うお食い初めでお食い初め用の食器やお祝いの鯛などを用意すると、ここでもお金がかかります。
予防接種の自己負担
子どもが生後2カ月になると、予防接種が始まります。赤ちゃんが受ける予防接種の多くは、「定期接種」と呼ばれるものです。これは、法律に基づいて市区町村が主体となって行い、その費用も負担してもらえます(一部自己負担あり)。
しかし、中には「任意接種」といって、予防接種を受けるかどうか自分で選択するものもあります。その場合、費用は自己負担となります。
写真撮影の費用
赤ちゃんの成長はとても早いもの。短い期間のうちに顔つきや体の大きさがすぐに変わってしまいます。この時期の写真をたくさん撮っておきたい……と考えるご両親は多いことでしょう。
お宮参りやお食い初め、初節句のほか、最近では生後半年の「ハーフバースデー」など、1歳の誕生日を迎えるまで事あるごとに写真スタジオで記念撮影をすれば、その費用がかかります。スタジオでプロのカメラマンにきれいな写真を撮ってもらうと、予算を超えて写真を購入してしまう……ということもありそうです。
妊娠中から出産後の家計をイメージしてみよう
今回は、出費がなかなか予想しにくいものを中心にご紹介しました。子どもにかかるお金はもちろんのこと、赤ちゃんに生活を合わせることで大人の支出も思った以上にかさむものです。妊娠中の方は、子どもが生まれる前に、出産後の家計についてイメージしておくことをおすすめします。
武藤貴子
ファイナンシャル・プランナー(AFP)、ネット起業コンサルタント
会社員時代、お金の知識の必要性を感じ、AFP(日本FP協会認定)資格を取得。二足のわらじでファイナンシャル・プランナーとしてセミナーやマネーコラムの執筆を展開。独立後はネット起業のコンサルティングを行うとともに、執筆や個人マネー相談を中心に活動中。