水樹奈々

声優、そしてアーティストとして活躍する水樹奈々が、2019年1月19日(土)・20日(日)にさいたまスーパーアリーナにて「NANA MIZUKI LIVE GRACE -OPUSⅢ-」を開催。2日間で約38,000人を動員した。

2013年1月に同会場で行われて以来、6年振り3度目となるオーケストラライブ。指揮には引き続き藤野浩一、コンサートマスターには室屋光一郎が、さらに今回が初共演となる東京フィルハーモニー交響楽団を迎え、コーラス隊や水樹のバックバンド・Cherry Boysを含め総勢152人が出演した珠玉のステージとなった。ここではDAY2の模様を紹介する。

開演時間になると、王宮を連想させるようなゴージャスな舞台にオーケストラとコーラス隊が続々と登場。会場内には自然と拍手が鳴り響き、同時に期待も一層高まっていく。

ライブの幕開けは、戴冠式をテーマにしたオープニングムービーから。オーボエの音色が美しいバレエ組曲「白鳥の湖」“情景”が演奏される中、宮殿で王冠を授かった水樹は、バレリーナの姿からロングドレスにマントを纏った女王に変身する。そして「Glorious Break」の荘厳なイントロと共に、映像と同じ衣装の水樹が肖像画から抜け出したかのようにステージ上空から勇ましく現れると、そのまま高さ12mをフライング。割れんばかりの歓声で迎えられた。

「全力でかかってこーい!!」とシャウトすると、続けざまに「VIRGIN CODE」を熱唱。開始早々から疾走感あふれるエネルギッシュな楽曲が繰り出され、観客のボルテージは一気にMAXに。

「ついにこの日がやってきたぜー!」と、待ちに待った6年振りのLIVE GRACEに興奮を隠せない様子の水樹。「今回初めて参戦する人はどんなテンションで行けばいいのか悩んでいたかもしれませんが……いつも通り全力ではじけまくってください!今日はパワー残して帰っちゃダメよ!」と、客席をどんどん煽っていく。

水樹から“炎の指揮者”と紹介を受けた藤野は、「この一体感、この空気が吸いたくて、こんなキツイ仕事を受けてしまいました!」と冗談を飛ばしつつも、3回目の参加となるGRACEへの熱い思いを語った。

フルオーケストラという、いつもとは違う編成ではありつつも、普段と変わらない和気藹々とした空気の中、久々のパフォーマンスとなった「Love Trippin'」でステージの端から端までキュートな笑顔を振りまき、「Nocturne-revision-」では切ない歌声を響かせる水樹。続けて「夢幻」が披露されると、艶やかな表情で舞い歌う姿に会場中が酔いしれていた。

そしてここで、翌日1月21日に迎える誕生日をオーケストラの生演奏と豪華なコーラス隊の合唱でお祝いされた水樹。「今年もこうして皆さんに祝って貰えて幸せです!」と喜びを露わに。実はステージ上に掲げられた時計は水樹が生まれた時間9時58分を指しており、「ここからまた新たな水樹奈々が生まれるという思いを込めています」と、今回のライブへの並々ならぬ思いを伺わせた。

続いて、こちらも久し振りに歌うという「DRAGONIA」、昨年10月発売された最新シングル収録の「嘆きの華」と、新しい曲からレアな曲まで織り交ぜながら、オーケストラのハーモニーと相まって更にパワーアップしたパフォーマンスで観客を魅了していく。

そんなステージング以外にも、水樹ライブのお楽しみとなっているのが幕間のショートムービーだ。オープニングから引き続き「白鳥の湖」をベースにし、白鳥と黒鳥の戦いを水樹の一人二役で熱演。約1年前からバレエのレッスンを始めたという水樹は、映像内で満を持してチュチュやピンクタイツを身に着けた姿を初披露。後のMCで「いつか舞台上でバレエを踊れるように頑張ります!」と意気込んだ。

映像が終わると、アシンメトリーなシルエットが映えるブルーのミニドレスに身を包んだ水樹が再び登場。「Never Let Go」では、ステージ上の紗幕に投影されたCG映像とリンクし、さながら嵐の中で歌っているような演出が展開される。

そしてここからはオーケストラの重厚なトーンからガラリと変わり、水樹のバックバンド・Cherry Boys(チェリボ)にストリングスの3名を加えた11名編成でのアコースティックコーナーへ。「Brilliant Star」「あしたgraffiti」「ラストシーン」という毛色の異なる3曲を演奏、温かくふくよかなサウンドが会場を包み込んだ。

ここでオーケストラの面々がカムバック、続いて披露された「Dancing in the velvet moon」では、フロートに乗り込みアリーナをぐるりと一周しながらお客さんに手を振ったりアピールしたりと、コミュニケーションを楽しんだ。

東京フィルハーモニー交響楽団により、スケール感に溢れたクラシックの大名曲「威風堂々」第1番が演奏されると、ライブもいよいよラストスパートへ。今回のライブで最大の同時出演人数となる149名がステージに勢揃いし、激しいロックチューン「WHAT YOU WONT」を披露した。

「みんなのありったけのパワー、私に分けてください!」と叫んでスタートした「アパッショナート」から「GET BACK」「UNLIMITED BEAT」は、演奏陣&コーラスの圧倒的迫力と引けを取らないパワフルな水樹の歌声、そしてオーディエンスも負けじと声を張り上げ、会場全体の一体感は最高潮に。ハイテンションな勢いで一気にクライマックスへと畳み掛けていく。

熱気の中で名残惜しそうな表情を見せながら、「私の全力全開の思いを、愛を込めて届けたいと思います」と語り、本編最後に披露したのは壮大なバラード「愛の星」。ピアノとストリングスの美しい旋律に乗せて抒情的に歌い上げ締めくくった。

もちろんこの日のライブはまだ終わらない。観客からの「奈々コール」に呼ばれステージ中央に現れた水樹は、昨年公開された映画「魔法少女リリカルなのは Detonation」の主題歌「NEVER SURRENDER」を気高く歌い上げる。

定番の「シャッス!」の掛け合いの後、19日に引き続いて20日にも嬉しい情報が解禁に。まず1日目には、5月5日(土)に幕張メッセイベントホールにて、座長公演「水樹奈々大いに唄う 伍」を3年振りに開催することが発表された。さらに、3月23日(土)に愛媛・ひめぎんホールにて開催される「NANA MUSIC LABORATORY 2019 ~ナナラボ~」昼公演のライブ・ビューイングが決定。そして2日目には、2019年夏のライブツアー開催が発表に。7月6日(土)・7日(日)の兵庫・ワールド記念ホールを皮切りに、ファイナル公演は9月15日(日)に“7”年振りとなる千葉・ZOZOマリンスタジアムで開催されるとのこと。「今年の夏も水樹奈々と駆け抜けましょう!」と話すと、客席からも歓喜の声が上がる。

2019年の活動にも期待が高まる中、披露されたアンコールラストの曲は「STORIES」。2日間のスペシャルなライブを作り上げた全ての出演者へ、惜しみない拍手が送られた。

未だ興奮冷めやらぬ会場の声援に応え、ライブはダブルアンコールへと突入する。ステージに登場したのは水樹1人のみ。「まだ帰りたくなーい!……もう一曲だけ歌わせてもらってもいいでしょうか?」と言うと、呼び込まれたのはチェリボのバイオリニスト・門脇大輔。水樹の歌とバイオリンだけで「絶対的幸福論」を披露、愛という普遍的なテーマを真っ直ぐシンプルに歌い上げ、感動に包まれる中ライブは幕を閉じた。

「2019年も水樹奈々の物語はガンガン突き進んでいきます!」と宣言した水樹。これまで最前線を走り続け多くのストーリーを紡いできた彼女だが、この先もきっと新しい世界を魅せてくれる、そんな確信を抱かせる唯一無二の公演となった。

●「NANA MIZUKI LIVE GRACE -OPUSⅢ-」DAY2 セットリスト 2019/1/20(SUN)@さいたまスーパーアリーナ

【OPENING MOVIE】 バレエ組曲「白鳥の湖」情景

M-01. Glorious Break
M-02. VIRGIN CODE
M-03. Love Trippin'
M-04. Nocturne-revision-
M-05. 夢幻
M-06. DRAGONIA
M-07. 嘆きの華
M-08. Never Let Go
M-09. Brilliant Star <Acoustic>
M-10. あしたgraffiti <Acoustic>
M-11. ラストシーン <Acoustic>
M-12. Dancing in the velvet moon

【オーケストラ】 行進曲 「威風堂々」第1番

M-13. WHAT YOU WANT
M-14. アパッショナート
M-15. GET BACK
M-16. UNLIMITED BEAT
M-17. 愛の星

<ENCORE>
EN-01. NEVER SURRENDER
EN-02. STORIES

<W/ENCORE>
WEN-01. 絶対的幸福論

(写真:上飯坂一、小境勝巳)