米穀安定供給確保支援機構は17日、都内で「おむすびの日」プレス発表会を開催した。なにかと忙しい現代人にとって欠かしがちなのが「朝食」だが、24年前の同日発生した阪神淡路大震災を機に制定されたこの記念日の背景を踏まえ、食の重要性を改めて考えさせられた。
食べることのありがたさを再認識
「おむすびの日」は、ご飯のおむすびだけでなく、人と人との心を結ぶ「おむすび」の日を作ろうとの想いから、1995年1月17日に発生した阪神淡路大震災でボランティアによるおむすびの炊き出しが人々を大いに助けたことを受け、いつまでもこの善意を忘れないために2000年に制定された。
同機構の副理事長・木村良氏は、「最近では、『糖質制限』と言ってご飯を減らす、または食べないという極端な行動が広がっている。ご飯の持つ良さ、健康な食生活の理解が少し薄らいできているような気がする」と警鐘を鳴らす。東日本大震災、北海道胆振東部地震など、日本では震災がひと事ではないことに触れ「朝ごはんを食べることの意味、災害時に思うように食べられなくて困ったという認識を、この日に改めて考えてみてはいかがでしょうか」と呼びかけた。
米が悪者にされがちな現代
「お米先生」として米の魅力を伝えている管理栄養士である柏原ゆきよ先生は、近年の「糖質制限」や「炭水化物抜きダイエット」など、米が悪者にされがちな現状に対して、朝食を摂るメリットを解説してくれた。
人は寝ている間に体温が下がり、さまざまな臓器がスリープモードになっているという。身体が活動するモードに切り替える時に朝ごはんはとても効果的で、食べた時と食べない時では、臓器の働きも違えば、体温の上がり方や脳機能の動きが変わってくるとのこと。
また糖質を摂ることのメリットについては、お米の糖質が身体にとって、一番のガソリンでありエネルギー源になるという。さらに朝ごはんを食べるかどうかで、集中力などに大きな違いが出てしまい、お腹が空いている時は感情も不安定になりやすくなるとのこと。そのため、朝ごはんを食べると一日の感情の起伏が穏やかになるのだという。
多くの人がダイエットを試みる時に、糖質を気にする人も多いと思うが、柏原先生は「1つの成分を取り上げて良いか悪いかの話になりやすい。糖質は私たちが生きるための一番基本の栄養素なので、悪者にしないようにして欲しい」と話す。
糖質制限のデメリット
糖質制限のデメリットについては、糖質は身体にとって最も大事で必要だからこそ、抜くとその時は痩せたように感じる人が多いとのこと。しかし、長期的にみると身体全体の機能が下がってしまい、結果的にはすごく疲れやすくなったり、かえって太りやすい体質になったりと、血糖値も不安定になりやすくなったり、デメリットがたくさんあるという。
柏原先生は「今のことだけではなく、人生は長いので、この先のことを考えた時には、日常にご飯をしっかり食べることは大切。なんとなくご飯に対してネガティブなイメージで控えめにしている方が多いんですけど、日本人はご飯が大好きな人が多くて、食べるとホッとする人が多い」とご飯の重要性を力説。またご飯を安心して食べていただくことが大切だと言い、「なんとなく心配しながら食べるとすごくもったいないので、『身体にいいものなんだ』という安心感を持って食べて欲しい」と呼びかけていた。
手軽で簡単 壇蜜さんも絶賛のおむすび「STICK STOCK」
イベントには、タレントの壇蜜さんも出席。おむすびの新しいスタイルだという時短料理「STICK STOCK(スティックストック)」に、柏原先生監修のもと挑戦した。
材料
ご飯……約75グラム
具材(お好みで)……壇蜜さんは椎茸昆布とツナマヨ
焼き海苔(全型)……1/4枚
作り方
(1) ラップを約12センチ角に広げてその上にご飯をのせる。
(2) 具材をご飯の真ん中より少し手前にのせる
(3) ラップを手前から持ち上げて奥に向かってスティック状に巻いていく。
(4) ラップの上から軽く握って形を整え、ラップの両端をキャンディーのようにひねってとめる。
冷凍庫にストックしておけば、忙しい朝でも電子レンジで温めて(500Wで約1分40秒)、海苔を巻けばすぐ食べることができる。「STICK STOCK」に挑戦した壇蜜さんは、「秋田で見たことありません? Kりたんぽ(きりたんぽ)に」とイタズラっぽい笑みを浮かべ「作りやすいし、このまま冷凍庫にそのコーナーを作って置けば、すぐにチンすればいい。かなりの時短になるんじゃないですか」と大絶賛。柏原先生は、「おむすびって和のイメージがあるが、洋風でもエスニックでも中華でも、和にこだわらずさまざまなバリエーションを試してみることがオススメです」とアドバイスを送っていた。
イベントの最後に壇蜜さんは、「この日が制定された背景は決して明るいものではなく、大変なことがあってそれを忘れないように、人と人との繋がりを忘れないようにしようねって意味でも『おむすびの日』は制定されたんだと思います。辛かった過去と、明るい希望のある未来をちゃんと結べるような日にしたいなと思いますので、おむすび食べて、そういった思いに気持ちを馳せて、また明日から頑張ろうという気持ちになっていただければ」と食の重要性を改めて訴えかけていた。