2019年1月1日にこれまでの東芝からシャープ傘下となり、社名と体制を変えて新たな門出を迎えたDynabookが、1月17日に新製品を発表しました。
新製品を加えたラインナップは計5種類。“東芝時代”から続くRXシリーズにTシリーズ、そして、従来ラインナップからの派生となる「X」(TXのバリューモデルが独立)、「R」(RXのバリューモデルが独立)が並びますが、そこに新しいシリーズとして「dynabook G」シリーズが加わりました。生まれ変わったDynabookから登場する初めての新設計ノートPCです。
13.3型ノートPC「dynabook G」は、ベースモデルで約779g、上位モデルでも約859gという軽さを実現しました。バッテリ駆動時間も長く、ベースモデル(2セル)で約9.5時間、上位モデル(4セル)で約19.0時間となっています。
ここでは、新生Dynabookが投入する初めてのノートPCであり、1989年に登場したDyabook初号モデル「DynaBook J-3100 SS」から30年目の記念モデルでもある注目機、dynabook Gの仕組みを紹介しましょう。
「これぞ正真正銘のノートPC」
dynabook Gは、30年という長いノートPC開発の経験を持つ東芝の技術力に、シャープが得意とする液晶パネル開発力が加わった初めての13.3型ノートPCです。東芝時代から長年にわたりノートPCの商品企画を主導してきた、Dynabook国内マーケティング本部副本部長の荻野孝弘氏は、dynabook Gシリーズに込めたコンセプトとして「これぞ正真正銘のノートPC。ノートPCとしての本質を極めてこれ以上のものがない存在にする」と述べました。
その荻野氏がノートPCの本質として掲げるのが「強くかつ軽量であること」「速い処理速度」「長いバッテリ駆動時間」「高い拡張性」「十分なセキュリティ」です。
「dynabook Gではボディの軽量化と堅牢性の確保に注力した」と説明するのが、同社でdynabookシリーズの設計開発に携わってきた設計統括部部長の島本肇氏。島本氏によると、軽量化で特に貢献したのがフットプリント(ボディの幅と奥行きのサイズ)の小型化だといいます。
dynabook Gでは次のブレイクスルーによって、フットプリントの小型化を実現しました。
- 無線LANアンテナの位置を、従来のディスプレイ上端側からキーボード奥のヒンジ側に変更
- システム基板(マザーボード)を小型化
- 顔認証カメラの小型化と軽量化
- 内蔵スピーカーの小型化と軽量化
- キーボードユニットの小型化
加えて、ボディを構成するパネルでは、天板と底面にマグネシウムアルミ合金のプレスパネルを取り入れたことや、無線LANアンテナの位置変更にともなうアンテナカバーの廃止も、軽量化に貢献した技術要素といいます。
0.1mm単位で進めた小型化、その内容は?
これらの技術によって、dynabook Gシリーズ本体の幅は308.8mm、奥行きが211.6mmに収まります。これは従来モデルの13.3型ノートPC「dynabook R63」と比べて幅が7.2mm、奥行きでは実に15.4mmも小さくなりました。「0.1mm単位でフットプリントの小型化を進めていった」(島本氏)とします。
また、無線LANアンテナをキーボード奥(本体ヒンジ部)に変更したことで、狭額縁ベゼルが搭載できるようになり、フットプリントの小型化に貢献しました。これまでディスプレイ上部にアンテナを配置していたときは、電波透過性(電波の発信しやすさ)のため天板にプラスチックを採用し、ボディの金属パネルとプラスチックを接合する必要がありましたが、この接合部がいらなくなったのです。
なお、無線LANアンテナを、従来のベゼル上から低い位置に移動することで、伝播到達距離(電波が届くエリア)が短くなる懸念もありますが、無線LAN性能テストに携わった技術者によると、通常のオフィスで全員が席について作業をしている環境で実施したテストでも、従来と同じ性能が確認できたといいます。
マザーボードは20%小型化
システム基板(マザーボード)の小型化は、東芝時代からノートPC開発で取り入れてきた高密度基板技術をさらに進化させることで実現しています。
特に複数の基材を重ねた積層基板技術では、10層基板の採用と高速信号シミュレーション、測定技術の進化による基板の高密度化によって、dynabook U63/同U53搭載のシステム基板(マザーボード)と比べて、面積で20%ほど小さくなり、重さも約17%軽くなりました。