三菱電機は1月15日、同社の高機能冷蔵庫「置けるスマート大容量」シリーズの新製品「MXシリーズ」と「MRシリーズ」を発表しました。MXシリーズは6ドアセンター開きデザインで、容量別に572L、503L、455Lの3モデル。価格はオープン、推定市場価格(税別)はそれぞれ40万円前後、36万円前後、35万円前後です。MRシリーズは5ドア片開きタイプで、451Lモデルが用意されています。価格はオープンで、推定市場価格は29万円前後。
新モデルの特徴は、なんといっても三菱電機の冷蔵庫で人気な機能「切れちゃう瞬冷凍」の強化です。
「切れちゃう瞬冷凍」とは
三菱電機の「切れちゃう瞬冷凍」は、過冷却を応用した独自技術です。過冷却とは、食材などをゆっくり滑らかに冷やすことで、本来ならカチコチに凍る温度になっても、水分が液状のまま変化しない現象のこと。過冷却した食材は、一定の刺激を与えると一瞬にして凍ります。切れちゃう瞬冷凍は、「過冷却した食材に刺激を与えて一瞬で凍らせる」という冷凍方法なのです。
一般的な冷凍庫で凍らせた食材だと、氷の結晶がとがった針状に形成されるため、食材の細胞が壊れやすいのですが、過冷却を経て冷凍された食材は氷の結晶が微粒子状です。このため、食材の細胞膜などを壊さず、おいしい状態で冷凍できます。肉や魚なら、解凍してもドリップが出にくいといったメリットもあるでしょう。
ただし、食材を一度過冷却させる必要があるため、切れちゃう瞬冷凍は食材の冷やし方が特殊。食材を入れたあと、
- ゆっくり優しく、凍結点以下に冷やす(食材を過冷却する)
- 急激に温度を上げる(過冷却した食材に刺激を与える)
- 約-7度まで温度を下げて食材を保存(食材を冷凍する)
と、食材をタイミングよく温度制御する必要があります。切れちゃう瞬冷凍を始めると、約6時間かけて食材を「過冷却」「刺激を与えて凍結」「冷凍保存」という制御を行います。
ちなみに切れちゃう瞬冷凍では、食材を約-7度で保存しますが、一般的な冷凍庫の保存温度は約-18度。切れちゃう瞬冷凍は通常の冷凍庫よりも高い温度でソフト冷凍させるため、冷凍した食材がそこまで固くなりません。肉や魚を切り分けることなくブロックで冷凍しても、簡単に包丁で必要な分だけ切り分けられるのです。
AIが効率的に「瞬冷凍」させる
従来モデルは手動で切れちゃう瞬冷凍を設定する必要がありましたが、新モデルとなる4機種は、切れちゃう瞬冷凍が自動で行われるようになりました(手動による切れちゃう瞬冷凍はできなくなっています)。切れちゃう瞬冷凍室を開くと、自動的に温度制御が始まります。
ただし、切れちゃう瞬冷凍は「過冷却」「刺激を与えて凍結」「冷凍保存」のルーチンで6時間ほどかかります。このため、切れちゃう瞬冷凍中にドアを開けると「新しい食材が投入された」と判断され、最初からルーチンを繰り返すことに。これでは切れちゃう瞬冷凍が終わりません。
新モデルは「切れちゃう瞬冷凍の自動スタート」だけでなく、「切れちゃう瞬冷凍 A.I.」を搭載。AIは冷蔵庫や冷凍庫のドアが開閉される時間を記録し、「家族が冷蔵庫を使う時間帯」を学習します。もし「家族が普段活動しない時間帯」に切れちゃう瞬冷凍室を開けても、切れちゃう瞬冷凍のルーチンをリセットせず継続するのです。
野菜を生のまま瞬冷凍
このほか、生野菜をそのまま切れちゃう瞬冷凍できるようになりました。従来の切れちゃう瞬冷凍は、野菜の冷凍に向かなかったのですが、新モデルでは冷却時の温度帯を見直すことで、カットした生野菜も対応できるようになったのです。週末に野菜をカットしておき、切れちゃう瞬冷凍で保存しておけば、平日、料理の下準備にかかる手間を減らせそうです。
冷凍した野菜を調理すると、シナシナと歯ごたえ悪い食感になることがありますが、切れちゃう瞬冷凍は食材の細胞膜を壊しにくい冷凍方法のため、食感などをキープしたまま調理可能。一般的な冷凍保存と比較して、ビタミンCなどの栄養素も流出しにくいといいます。
また、約-7度で食材を柔らかく冷凍するため、カットした野菜をまとめてビニール袋に入れ、切れちゃう瞬冷凍しておけば、使うときに野菜をほぐしやすいメリットもあります。凍ったままのカット野菜を使う分だけ調理し、余った野菜は再び切れちゃう瞬冷凍するといった使い方で家事の手間が減らせそうです。