2019年がスタートしました。今年は10月に消費増税を控えていますが、増税後はお金が複雑化する可能性が高くなります。その理由は軽減税率による8%据え置きになる商品と、10%に増税する商品やその境目となる商品があることだけではありません。

中小小売店での購入代金を決済した際にクレジットカードや電子マネー、QRコードなどを使った電子決済(キャッシュレス決済)を行うことで、5%のポイント還元されることが検討されています。

  • 増税時に役立つ電子決済方法を知っておこう

    増税時に役立つ電子決済方法を知っておこう

電子決済とは、現金ではなくクレジットカードや電子マネー、デビットカードといった磁気式やカードを端末にかざしたり、QRコードを読み取ってもらうことで決済ができるものです。

そして電子決済には前払の「プリペイド」、即時決済の「リアルタイムペイ」、後払いの「ポストペイ」と3つの支払いタイミングがあります。

「プリペイド方式」は楽天EdyやSuica、nanacoといった先にマネーをチャージしてその中で支払いをします。「リアルタイムペイ方式」はデビットカードやモバイルウォレット(QRコード、NFC等)のように、決済をすると即時に口座から引き落とされる方法です。「ポストペイ方式」はクレジットカードのように、決済をして後からまとめて請求されます。

プリペイド方式やジャストペイ方式は、チャージされている分や口座にある残高分までしか使うことができませんが、ポストペイ方式はカードの限度枠内まで決済をすることができるので、使い過ぎてしまうデメリットもあります。

また、2018年4月に経済産業省が発表した「キャッシュレス・ビジョン」によると、2016年の民間最終消費支出に占める比率(日本国内)ではプリペイド方式は、1.7%、デビットカード0.3%、クレジットカード18.0%と、まだまだ現金派が多いのがわかります。

海外ではキャッシュレス化が進んでおり、同資料によると2015年時点で各国のキャッシュレス決済比率の状況を見ると、韓国が89.1%、中国が60.0%、カナダが55.4%となり、日本のキャッシュレス決済比率は18%と低く、現金払いが多数を占めています。

とは言え、そもそも現金でしか決済手段がないのではなく、同資料によると、総人口一人あたり、7.7枚のカードを保有しており、1位のシンガポールに続いて大きい値となっており、世界的に見ても現金以外の支払手段を多種・多数保有していることが見えてきます。

つまり、電子決済をする手段はあっても現金での支払いがメインとなってしまっているというのが実情のようです。

電子決済は現金支払いよりもお得

クレジットカードや電子マネーの利用には少なからずポイントが付与されることがあります。例えば、1万円の買い物をした場合、現金は0ポイント、クレジットカード1%付与なら100円、電子マネー0.5%なら50円分のポイントがもらえることになります。

政府は、中小小売店での購入代金を決済した際に5%のポイント還元を検討していますが、それが実現した場合、1万円+消費税10%=1万1,000円の支払いとなりその5%が還元された場合、500ポイントが還元されるということです。

それに加えて、ショッピングポイントとしてクレジットカードや電子マネーのポイントが上乗せされるのであれば更にお得にお買い物ができることになります。この5%還元は、増税後9カ月間の期間限定となりますので上手に利用したいものです。

最近注目されているのが、QRコードを利用した決済です。先日PayPayが「100億円還元キャンペーン」で20%キャッシュバックがわずか10日で終了したというニュースは記憶に新しいかと思いますが、これはQRコードを利用した決済の1つです。

ほかにも「LINE Pay」「楽天ペイ」「Origami Pay」などがあります。あらかじめアプリをダウンロードしておき、クレジットカードや銀行口座を登録しておくことで利用することができます。決済する時は、店舗が提示するQRコードを読み取る方法と、スマホのアプリに表示されたQRコードを店舗が読み取る方法があります。これらは、スマホやタブレットでも利用できるメリットがります。

電子決済のデメリットは現金と違い見えにくいことです。インターネットショッピングなどクレジットカード決済をする際は、目の前に現金を並べて見える化し、その分を引き落とし口座に入金したり、家計簿を付けるなどして現金等同様に扱うようにしましょう。

電子決済のメリットは、消費者側だけではなく政府とっても、もちろんメリットがあります。例えば、紙幣や硬貨は製造するのにコストがかかりますが、電子マネー(今回は電子決済の総称)にすることで、コストを削減することができます。また、紙幣や硬貨は偽造されるリスクがありますが、電子マネーは偽造されることはありません。電子決済により支払いの履歴がより明確に残ることで不正防止に役立つとも言われています。

そして、日本人は現金派が多く海外へ行くと日本人がスリやひったくりに狙われやすいと言われています。これからオリンピックイヤーを迎えるにあたり、現金を持ち歩くリスクが高くなるとも考えられますので、これを期に電子マネー決済になれてみてはいかがでしょうか。

丸山晴美(まるやま はるみ)

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外国語の専門学校を卒業後、旅行会社、フリーター、会社員、コンビニ店長へと転職。22歳で節約に目覚め、年収が350万円に満たないころ、1年で200万円を貯める。26歳でマンションを購入。2001年に節約アドバイザ―として独立。ファイナンシャルプランナー、消費生活アドバイザーの資格を取得し、お金の管理、運用のアドバイスなどを手掛け、TV、雑誌などで幅広く活躍している