オンキヨーがゲーミング&eスポーツ市場に進出します。CES 2019に出展する会場で新ブランドの「SHIDO(シドー)」をお披露目。ゲーミングヘッドセットとUSBコントロールアンプの試作機も出展していました。
オンキヨーがゲーム関連のアクセサリーを「やってなかったっけ?」と意外に感じる方はツウかもしれません。オンキヨーといえばかつてパソコンにタブレット、そしてPC向けのオーディオツールを「WAVIO(ウェイビオ)」というサブブランドで展開して人気を集めていたからです。WAVIOで培ってきたノウハウを生かしながら、さらにオーディオブランドである誇りを具現化する新たな挑戦が、新ブランドのSHIDOなのです。
SHIDOのブランド戦略とCESに展示された製品の特徴を、オンキヨーの佐野恭平氏にインタビューしました。
まず、一風変わったブランドネームの由来から。SHIDOは「士道=シドウ」という言葉をモチーフにしています。幕末、日本の侍たちが刀を置いて新しい日本を切り拓こうとした時代に現代をなぞらえて、オーディオブランドであるオンキヨーが新たな分野に身を置きながら、ひたむきにゲーミング&eスポーツのファンのために妥協せず良い製品を届けようという、熱い想いが込められています。勢いよく「始動する」という意気込みもまた伝わってきます。
eスポーツは2018年の流行語トップテンにも選ばれていますが、オンキヨーは流行に乗っていきなりゲーミングの分野に進出するわけではありません。
「ゲームを心地よく楽しみたいと考えている方々に、オーディオのスペシャリストであるオンキヨーが“音”を通じて貢献できることがないか、ずっと試行錯誤を続けてきました。特にヘッドセットなどゲーミングのためのオーディオ製品については、日本の中でも海外のPCペリフェラルのブランドがシェアを占めており、国産のゲーミングブランドが一石を投じたいという強い思いが私たちの中にありました」(佐野氏)。
今回のCESには、ゲーミングヘッドセットとUSBコントロールアンプの試作機が参考展示されていました。音はまだ出せないコンセプトサンプルでしたが、ゲーミングヘッドセットは手に取るだけでオンキヨーのこだわりが伝わってきます。
驚くほどに軽いのです。頭に装着してみると、ヘッドバンドとイヤーパッドの柔らかなクッションに包まれて、ヘッドセットを身に着けていることを忘れてしまいそうになります。メガネをかけたまま装着しても、こめかみをしめ付けられる感じが一切ありません。
佐野氏は「ゲームを長時間プレイするときも、ヘッドセットがゲーマーの方々にとって負担にならないように、装着性能には徹底的に磨きをかけたいと考えています」と語っています。ゲーミングヘッドセットと聞くと、少しゴツっとしたメカメカしい外観を想像されるかもしれませんが、オンキヨーの試作機は外観と使い心地がとても柔らかく、ほかのブランドにない個性を訴えかけてくるものがありました。
音質についても、音を「聴く」側だけでなく、ボイスチャットをしながらゲームを心地よく楽しめるように、マイクの音をクリアに「伝える」側の性能も今後ブラッシュアップしていきたいと佐野氏が語ってくれました。例えば、左側に装着するフレキシブルマイクは、口元近くにすばやく持ってこられるよう柔軟性に気を配っています。
商品化の時期について、今回のブランド発表時点では具体的には語られませんでしたが、ヘッドセットとUSBコントロールアンプについてはCES出展の反響も見ながら、商品化に向けて完成度をさらに追い込んでいくそうです。正式発表が楽しみですね。
さて、オンキヨーが出展していたCESのブースには、このほかにもオンキヨーとパイオニアのAVサラウンドアンプが出展されていました。
国内でも1月8日に発表されていますが、オンキヨーとパイオニアから発売されているAVサラウンドアンプの5機種が、アップルの「AirPlay 2」に対応することが決まりました(2019年春予定のファームウェアアップデートによって)。iPhoneやiPadなど、iOSデバイスやSiriを活用してホームオーディオがますます手軽に楽しめるようになります。この機会に、わが家のオーディオ再生環境をグレードアップしてみるのも良いかもしれません。