藤井聡太七段が1月8日に行われた第77期順位戦C級1組9回戦に勝ち、2018年度の勝率が33勝6敗の[0.8462]となりました。この成績は今期全棋士中トップ(対局数が極端に少ない棋士を除く)。1967年に中原誠十六世名人(当時五段)が樹立した歴代1位の記録、47勝8敗の[0.8545]も射程に入ってきました。

およそ半世紀ぶりの記録更新なるか

  • 中原誠十六世名人(左)の記録は半世紀以上破られていない。藤井聡太七段は更新できるだろうか

現在の33勝6敗から一番早く記録を塗り替えるにはここから3勝0敗、36勝6敗の[0.8571]ですが、藤井七段の各棋戦での勝ち上がりから推測すると、年度内に3局しか指さないということは考えにくい状況です。

少なくとも順位戦が2局。ほか、勝ち上がっている棋王戦、ヒューリック杯棋聖戦、朝日杯、銀河戦や、新期がスタートしている竜王戦、大阪王将杯王将戦……、ざっと見てもこれだけの対局を残しています。

トーナメントを勝てばその分対局が増えてゆきますから残り対局数は不確定なのですが、現実的な範囲で中原永世十段の記録を破るにはどれくらい勝てばよいか、どれくらい負けられるのかを探ってみます。

3勝0敗が物理的にありえないとすれば、まず年度内の残り対局をすべて勝てば、これは話が早いですね。ただし、トーナメントは勝てば勝つほど強い相手、好調な相手との対局になりますから、どこまで行けるでしょうか。

次は1敗した場合。この場合は9勝の追加が必要となります。42勝7敗の[0.8571]で記録達成。

同じように2敗した場合を考えると15勝が必要で、48勝8敗の[0.8571]で記録達成ですが、2敗した上で17局の対局がつくかどうかは微妙なところです。

ですので、現実的な範囲では3月31日までの残り対局を「1敗」で切り抜ければ記録達成、「2敗」ならとても運が良ければ……と考えてしまってほぼ間違いはないでしょう。

1月20日、第12回朝日杯本戦ではA級棋士・稲葉陽八段、また第90期ヒューリック杯棋聖戦二次予選決勝では斎藤慎太郎王座対久保利明王将戦の勝者、などなど、強豪との対局が決まっている藤井七段は、この条件をクリアして歴代勝率ランキング1位に輝くことができるでしょうか。