2019年開始早々にZOZOの前澤友作氏がツイッター上で実施した、100人に100万円をプレゼントする総額1億円のお年玉企画。前澤氏のフォロワーは一時600万人を超え、560万件ものリツイートで世界記録を更新した。

  • 前澤友作氏の「1億円のお年玉企画」がもたらしたものは?

    前澤友作氏の「1億円のお年玉企画」がもたらしたものは?

世間の注目を集めたビッグイベントの当選結果が1月8日に発表されると、5万6,000人に1人の幸運を引き当てた人たちは、どうやら強運だけで100万円を引き寄せたわけではないことが浮き彫りになった。

夢を綴った人がチャンスをつかんだ

ツイッター上で当選の喜びを報告した人の多くが、自身の夢や使い道を書いたという共通点があったようだ。また、実名でかつ本人の実写がアイコンになっているケースも多く見られ、You Tuberや放送作家などの当選報告が目立った。もともと発信を得意としている人が目立ったという側面もあるとは思うが、前澤氏は選考方法を明言していない。しかしお年玉企画公表から、前澤氏は夢について持論を展開しており、一つの選定基準にしていたのは明らかだ。

“前澤砲”の副産物

そもそも前澤氏自身が“夢追い人”で、自身のツイッターの自己紹介欄には1月9日時点で「月に行く予定の人で、ZOZOの社長で、剛力彩芽さんが彼女で、リツイート数の世界記録保持者です。」と、たった44文字の中にこれほど多くの人が羨ましいと思える言葉と夢を詰められる人も稀だろう。

今回の企画や選定方法に賛否はあるとはいえ、多くの人が「夢」を考えるきっかけにはなったようだ。当選した100名それぞれの夢への後押しはもちろん、ツイッター上では、「また夢を持ちたくなった」「自分の夢を考えるきっかけになった」というポジティブな意見も目立った。また前澤氏のツイートに自身の夢を綴る人も多く見られ、正月の恒例行事のように参拝で新たな目標を設定するのと同様な、「自身を鼓舞する」という副産物が“前澤砲”にはあったようにも思える。

経営手腕とは無縁のところでメディアを賑わせることも少なくないが、“競争が嫌いな社長”として、売上高1,000億円に迫る企業を一代で築いたビジネスのカリスマが本来の姿だ。そんな前澤氏が持ち前の楽しいこと好きをフラットに発信することは、普段自己啓発本やビジネス書などを読まない層にも280字の世界で同等、またはそれ以上の効果をもたらしている可能性もある。

前澤氏は第2弾の企画を示唆するツイートをしており、同じ選考基準かは不明だが、さらに夢について意識する人が増えると予想される。その一方で「偽夢追い人」が増えることが免れない点もネット世界の悲しい実状ではあるが、前澤氏が1月6日に投稿したハッシュタグ「#夢があってもなくても夢について語れる2019年は素晴らしい」に象徴される“前澤イズム”はもうしばらく熱を持ち続けるだろう。