Samsung Electronicsが7日(現地時間)、世界最大級の家電関連見本市「CES 2019」の開幕にあわせてプレスカンファレンスを開催し、今年1年を占う新製品の紹介を行いました。CES全体に通底するAIと5G、IoTといったテーマを掲げつつ、音声アシスタントBixbyを家庭から自動車まで、トータルでカバーする戦略をアピールしています。

  • SamsungのH.S. Kim会長

5GをトータルにサポートするSamsung。対応スマホの投入も予告

登壇した同社会長兼CEOのH.S. Kim氏は、18年末から米国でスタートする5Gに関して紹介。Samsungはチップから基地局、コアネットワークまでカバーすることで、5Gをトータルでサポートできる点をアピール。米国ではAT&T、Verizon、Sprintと共同で取り組んでおり、韓国でもKT、SKTelecom、LG U+、欧州ではOrangeとTelefonicaと取り組みを進めている点をアピールします。

  • 同社がカバーする5Gソリューション

  • 米国のキャリアと共同開発

  • 欧州や韓国でもキャリアとともに取り組みを行う

そして、最初の5Gスマートフォンの投入も予告します。とはいえ、現時点ではシルエットが紹介されたのみですが、早期に発表されることでしょう。

  • 今回は予告だけの5G対応スマートフォン

家電同士などを接続するSmartThingsはパートナーが44%拡大し、ユーザー数は220%、インストール数は61%増加するなど順調な成長をアピール。

カバレッジが広がるBixby

AIでは、音声アシスタントBixbyの強化を紹介します。スマートフォンのGalaxyに搭載してスタートしたBixbyは、今期の同社QLED TVにも搭載され、さらに冷蔵庫や洗濯機、エアコン、スマートスピーカーといったスマート製品にも内蔵していきます。さらに、自動車向けのデジタルコクピットやロボットにもBixbyを拡張していくといいます。

  • スマートフォン向け音声アシスタントからスタートしたBixbyは適用範囲を拡大します

  • 冷蔵庫、テレビ、車といった製品同士を繋ぐインタフェースとなります

具体的な製品としては、98インチのQLED 8K TVを紹介。Quantum 8Kチップを搭載した8K対応テレビは、さらに65~85インチまでも投入してラインナップを拡充します。米国では75インチ以上のテレビの売り上げが1年で2倍となり、大型化の要望が高まっていることから、今回の大型かつ高精細テレビの投入となったようです。

  • 2017年から18年にかけて、大型テレビの需要が拡大

  • 8Kテレビを投入

  • 98インチと大型

  • 65~85インチまでも用意します

Amazon Prime Videoなどのネット配信にも対応し、80チャンネルをサポートすると言います。また、世界100以上の国でアップルのiTunesに対応。ムービーやテレビ番組が視聴できるほか、AirPlay 2もサポートします。

  • アップルのiTunesとAirPlay 2に対応します

ほかに、冷蔵庫や洗濯機などにも対応させ、家庭内をBixbyがトータルでカバーできるようになります。

  • 単体でもBixbyに対応しますが、ほかのスマートスピーカーでも操作が可能

  • Bixbyはほかの家電に対しても対応を拡大

  • 例えばBixby対応冷蔵庫や洗濯機

さらに同じく話題の多かった自動車向けにも、車載向けチップとしてAI対応のExynos Autoを投入。自動車でもBixbyを対応させたい考えです。

  • デジタルコクピットでBixbyを家庭から車まで拡張する

そうしたAIの活用として、自然な流れとして登場したのがロボットです。Samsung Bot Care、Samsung Bot Air、Samsung Bot Retail、Samsung GEMSという4種類で、基本的には業務用途のロボットです。その中で今回は壇上にBot Careが登場。名前の通り、日々の健康を管理してくれるロボットとして、今後開発を継続していくとしています。

  • 発表された4種類のロボット。後者は小売店舗向け、GEMSはサポートロボットです

  • デモとしてBot Careが登壇。バイタルチェックなどの機能が紹介されました

GeForce RTX 20シリーズ搭載のゲーミングノートも

PCでは、Notebook 9 ProとゲーミングノートPCのNotebook Odysseyを発表。OdysseyはGeForce RTX 20シリーズを搭載するなど、ゲーム向けに機能を強化。ゲーミングノートPCを出さないPCメーカーはPCメーカーにあらず、といったぐらい、ゲーミングノートPCが話題をさらったCESだけに、Samsungもきっちりとカバーしてきました。

  • Notebook 9 Pro

  • スマートフォンのようにNotebook 9 Penに対応

  • ゲーミングノートPCのNotebook Odyssey

Samsungは今回のプレスカンファレンスで、単に家電を出すだけではなく、そうした製品をいかに連携させるかという課題に対し、5G、IoT、AIがその役割を果たすことを目指す方向性を示していました。

全てをカバーするSamsungならではですが、逆に言えば、それがどこまで可能なのか、Samsungの製品開発と技術革新に注目したいところです。

  • 全てがつながり、連携する世界が実現するのでしょうか