「QC」と「QCD」。製造業の現場で広く使われ、他業種でも普及している言葉です。この二つの違いをきちんと理解していますか?

  • QCとQCDの意味を理解していますか?

今回は、似てるようでちょっと違う、それぞれの意味をしっかりと確認していきましょう。

QCってなんだっけ?

QCとは【Quality Control】のことで、日本語訳は「品質管理」です。とくに製造業において、製品の品質をある水準に保つことをいいます。

「決められた音質をクリアしているか」「異物が混入していないか」などと基準を明確にして、検査をおこなう方法が品質管理です。

また「統計的な管理」と「改善活動」が、品質管理のポイントとして挙げられます。

QCには統計的な管理が欠かせません。今の生産活動を数値的・定量的に分析して、グラフや管理図などのツールやフレームワークなどを用いて可視化することで、何が問題なのか、どこが改善できるのかを明らかにします。

そして実際に現場でおこなわれるのが改善活動です。「故障が起きないよう工作機の刃先交換を定期的におこなうようにする」「新しい機械の使い方を早く学べるように動画でマニュアルを作成する」「部品を間違わないように取り付け位置そのままの置き場をつくる」などがその一例です。

QCの歴史

QCの基礎は第二次世界大戦中のアメリカで生まれました。一定の品質を保った兵器を大量に確保するために、品質管理の方法が徹底されたのです。

戦後、日本にもその概念が伝わり、製造現場における工程改善として発達しました。日本のQCで最も有名なのはトヨタ自動車の「カイゼン」です。

現在は製造業にとどまらず、IT、サービス業などにもQCが普及し、製品・サービスの品質を保つための仕組みとして使われています。

日本のQCが工程改善プロセスという「作る側」の視点から発達したのに対して、欧米では「顧客の求めている品質をきちんと保証する」という「買う側」の視点で発達しました。 ISO9000やQA(Quality Assurance:品質保証)などは、第三者が製品・サービスを判定することを重要視しています。

【例文】
「形式化したQCサークル活動ではやっても意味がない」
「QC工程表はなぜつくる必要があるのでしょうか?」

QCDとは?

QCDとは【Quality, Cost, Delivery】の略で、そのまま「品質・コスト・納期」です。

当たり前のことですが、買う人にとっては、品質がよければよいほど、費用が安ければ安いほど、納期が早ければ早いほど、嬉しいものです。

牛丼チェーンの吉野屋は「うまい、やすい、はやい」をコンセプトに掲げていますね。

しかし、すべての条件を同時に最高にすることはできません。極端にコストを落とせば品質が劣悪になりますし、品質を最高にしようと思えば、時間をかけてじっくりつくる必要があります。

低品質なものにはクレームが入り、納期が遅れれば信頼が低下し、コストが高ければ利益が出ません。あちらを立てればこちらが立たず、です。市場を見極めて、このバランスをとることがビジネスには求められます。

QCD以外の要素としては、Safety(安全性:労働災害や事故を避ける工夫がされているか)やMorale(士気:従業員の労働意欲が健全に保たれているか)、Environment(環境:環境対策を考慮した生産体制や製品が実現できているか)などが提唱されていますが、根幹にあるのは「品質・コスト・納期」の三要素です。

QCDは、仕事をする上で常に意識しなければならない考え方であるといえるでしょう。

【例文】
「こんどQCDに沿って職場の目標を立ててみよう」
「QCDの中で優先順位を付けるとしたら、どれが一番だと思う?」