長い人だと10連休以上になった平成最後のお正月休み。1年の疲れを癒やし、新たな1年に向けてやる気に満ちあふれた仕事始め……を迎えられた人は少ないだろう。「年末年始よ永遠なれ」という願いも届かず、眠気と胃もたれを抱えてなんとか満員電車に乗った人も多いのでは。
今回は、年末年始休暇明けに体調が悪くなったり気分が憂鬱になったりする「正月病」について、神奈川大学人間科学部教授で心理学者の杉山崇先生にお話を聞いた。
まず、20~50代のマイナビニュース会員274名に年始休暇についてのアンケートを実施した。今年の年末年始休暇の日数は、最も多かったのが「6日」(22.3%)、次いで「9日」(16.8%)、「5日 」(15.7%)という結果となった。
また、年末年始連休後に仕事に行くのが憂鬱で、「体がだるい」などさまざまな症状が出る正月病について、心当たりがあると答えた人は81.1%。
具体的には、「だるい、眠い、体が重い」や「朝時間通りに起きられない」、「夜眠れない」といった症状が多いようだ。
こういった正月病の原因について、杉山先生はこう話す。
「年末年始の長期休暇とイベントの連続で、日常の現実感と生活リズムを失うことが原因です。イベントの連続は楽しいでしょうが体力も使うもの。また非日常的なイベントが続くので、仕事など本当の日常が『現実ではない』かのように感じられて、体も心も仕事を拒否してしまうことが、憂鬱や眠気、体が重いといった症状につながります」
では、どのような対策がとれるのだろうか。
「非日常のイベントは、本来は日常を営む英気を養うもの。非日常のイベントの意味を意識しながら楽しむことが重要です。また、仕事は単調でつまらないかもしれませんが、仕事を通して自尊心や人間関係も得られるもの。年末年始のイベント続きの中で見失っていた、仕事を通しての素敵な自分を思い出して、『働く自分』のイメージを取り戻しましょう」と杉山先生はアドバイスする。
アンケートでも、実際に行っている正月病対策として、「生活リズムを崩さないよう心がける」や「毎日運動をする」といった、「日常をキープする工夫」を行っている人が多かった。
とはいえ、楽しかった休暇からなかなか気持ちを切り替えられない人も多いだろう。最後に杉山先生は、「仕事がストレスフルな場合は、次の非日常のイベントを楽しみに乗り切りましょう。非日常のイベントの本来の役割を忘れないことが重要です」と話した。
杉山崇先生プロフィール
人を幸せにしたいという思いから心理学研究者の道に。神奈川大学人間科学部教授として教鞭をとる傍ら、臨床心理士の見地から心の悩みの相談を受ける。また、心理相談センター所長として後進の育成に従事している。一級コンサルティング技能士の資格を持ち、社員のメンタルヘルス対策を考える企業の相談にも対応。 著書に『読むだけで、人づきあいが上手くなる。』『グズほどなぜか忙しい! 』他多数。近著『「どうせうまくいかない」が「なんだかうまくいきそう」に変わる本』『ウルトラ不倫学』『心理学者・脳科学者が子育てでしていること、していないこと』。講演、TV出演等で心理学の可能性を広げている。