AMDはCES 2019にあわせて、第2世代のRyzen Mobileプロセッサを発表する(Photo01)。正式な発表は、米国時間の1月9日の朝9時から行われるLisa Su CEOの基調講演のタイミングと思われるが、これに先駆けて情報公開が行われたので紹介したい。

  • 第2世代Ryzen Gのダイ写真。ぱっと見、第1世代と見分けが付かないのはまぁ仕方がない

まずマーケットの概況について。2019年のノートPC市場は、出荷台数そのものは横ばいの傾向だが、いわゆるMainstream Windowsが微減、その代わりに高価格のGaming Notebookと、低価格のValue Windows/Chromebookが増えると予測されている(Photo02)。ここに向けてAMDは製品展開を厚くするとしている(Photo03)。

  • Premium Windowsは大体横ばいと予想される

  • Ryzenに加えてAthlonやA6/A4 APUまでラインナップされていることに注意

第2世代Ryzen Mobileは、要するに既存のRyzen Gの製造プロセスを12LPに移行させたものであり、第2世代Ryzenと同じく動作周波数の向上、それとメモリ回りのLatencyを削減した製品である。

これによって、例えばRyzen 5 3500UであればCore i5-8250Uに十分競合できるとする(Photo04)。さらにRyzen 7については、内蔵GPUを利用した場合で比較すると、Intelのi7-8565Uよりも高いフレームレートでゲームのプレイが可能だという(Photo05)。

  • Productivityで同じスコアというところまで性能が引き上げられた

  • さすがに解像度は1280×720どまりだし、Low Presetは必須であるが。もっともTDP 15Wの枠でこれだけ使えれば十分という気もする

第2世代Ryzen Mobileの特徴として、同じ性能ならばより長いバッテリー寿命を、同じバッテリー寿命ならより高い性能が実現可能となった(Photo06)。また、今回、新しくTDPが35WになるHシリーズもラインナップに加えられた。ASUSが早速このHシリーズ(Ryzen 5 3550H)を搭載するゲーミングノートを予定しているとのことである(Photo07)。

  • 12時間のバッテリー寿命の数値はMobileMark 14のGeneral Usageテストを利用した際に、同じバッテリー容量でRyzen 7 2700Uが8.1時間だったのに対し、Ryzen 7 3700Uで12時間を記録した、とのこと

  • Gaming Noteということで、GPUにはRadeon RX 560X 4GBを搭載している

Photo08が主なラインナップだ。第1世代のRyzen Mobileは4製品(Ryzen 7 2700U/Ryzen 5 2500U/Ryzen 3 2300U/Ryzen 3 2200U)しかなかったが、第2世代では新たにTDP 35WのHシリーズが2製品追加されたほか、ローエンド向けにAthlon 300Uも加えられる格好になった。

  • ただしローエンド2製品(Ryzen 3 3200U/Athlon 300Uは引き続き14nmでの製造となる

またラインナップの追加ではないが、これまでDiscrete GPU向けとRyzen Mobile/Ryzen G向けでラインナップが異なっていたRadeon Softwareが、2019年から完全に統合されることも発表された(Photo09)。

  • これまでだとRyzen Mobile/Ryzen G向けだと必ずしも最新バージョンではないということが多かったが、2019年からこれが統一されるのは喜ばしい

Ryzen Mobileに関してはここまでで、小売価格とか出荷時期などは現状発表されていない。これらについては基調講演のタイミングで何かしら報道があることを期待したい。

ところで先のPhoto03で、Chromebookのマーケットへの言及があった。実はこのChromebookのマーケット、まだ出荷数的にはわずかなものの、マーケットの伸びとASPの向上が著しい(Photo10)とされる。

  • 特にエンタープライズ用途では、情報流出を嫌ってWebベースで全ての処理をさせるという仕組みはもう珍しくない。そうなると(外出先からのアクセスとかが無ければ)Chromebookでも問題ないという話になる

こうした用途に向けて、AMDはA6-9220CとA4-9120Cという2つのAPUを新たにラインナップした(Photo11)。現在ChromebookではIntelのPentiumあるいはCeleronが多く使われているが、こうした製品と比較しても十分に競争力があると説明する。

  • 端的に言えば、Webブラウザの処理とネットワークスタックの処理が十分高速であれば、Chromebookには十分であり、するとA6/A4クラスで十分競争力があるということである

実際、SpeedometerやWebxpert 3(Photo12)、PCMark(Photo13・14)、Game(Photo15)などでの性能を比較するとかなりアドバンテージがあるというのがAMDの主張である。

  • A6-9220CがPentiumと、A4-9120CがCeleronとそれぞれ競合する形。ただこれだけ見ていると、A4-9120CがPentium N4200と殆ど同程度の性能になっており、こうした競い方も可能だろう

  • Gamingはともかく、WritingとかWork 1.0では結構大きな差が付いている

  • Photo EditingがPCMark for AndroidなのでOpenCLベースでの処理となる。こうなるとAMD系が強いのも納得である

  • ブラウザゲーミングだと、必ずしもGPUが高性能であっても、それがそのまま数値には現れにくいケースがあるが、それでも10fps以上AMDが上回る、としている

A6-9220CとA4-9120CはどちらもTDPが6Wという構成で投入される(Photo16)。こちらも価格や出荷時期などは現状未発表である。

  • Chromebook向けではない、A4-9120/A6-9220はどちらもTDPが10~15Wとされており、動作周波数を抑える事で6W枠に収めた格好となる

ちなみに今回はDesktop向けのRyzen Gシリーズに関しては未発表であるが、当然この後でDesktop向けがリリースされることになるだろう。登場時期はそう遠くない、と思われる。