2019年で最も大きい制度変更といえば、何といっても消費増税。いよいよ日本も消費税2ケタ時代に突入、10%になります。今回は軽減税率制度が導入されることもあり、これまで以上に消費増税に伴う対策など情報収集が欠かせません。また、地震保険料と火災保険料も多くの地域で値上がりするなど、さまざまな場面で支出増を実感する年になりそうです。
今度こそ実施される! 2019年10月から消費税が10%に
これまで2度にわたって先送りされてきた消費増税ですが、9月に安倍首相が「予定通り実施する」と明言したことから、今度こそ確実に実行されそうです。
これまで3%(1989年)→5%(1997年)→8%(2014年)と段階的に上昇してきた消費税率ですが、今回初めて軽減税率制度が導入され、飲食料品(食品表示法に規定する食品〈酒税法に規定する酒類を除く〉)と定期購読契約が締結された週2回以上発行される新聞は、これまで通り税率は8%と決まりました。
消費増税というと駆け込み消費や買いだめの要否が気になるところですが、今回は飲食料品に関しては軽減税率の対象ですから買いだめの必要はありません。ただし、下図のようにアルコール飲料、外食やケータリングは対象外です。
消費増税と聞くと、住宅や自動車の購入や買い替えを検討する人もいるでしょう。ただ、住宅については住宅ローン減税やすまい給付金の拡充、自動車については自動車取得税の廃止、新たに導入される環境性能税の一時停止などが検討されているため、消費増税分=負担増とはならない見込み。欲しい物件が見つかっているといったケースや、買い替える必要がある人は別にして、あわてて行動する必要はなさそうです。
ほかにも、中小小売店での買い物にポイント還元、低所得世帯や2歳以下の子どもがいる世帯へのプレミアム商品券配布などさまざまな景気対策が検討されていますので、しっかりウォッチしていく必要があります。
現実的に実行できる対策のひとつが、冬物衣料の計画購入。増税時期が10月ですから、コートなど高額になりがちな冬物衣料を購入する時期と重なります。来シーズンの購入を考えているなら、前倒しして今年のセール時期に購入しておく、来年にするなら9月中に購入すれば2%分を節約できます。
地震保険料は2019年1月からアップ!
地震保険料は昨年上ったばかりのはずなのに、と思う人も多いかもしれません。確かに2017年にも上がりましたが、これは東日本大震災の発生や、南海トラフ巨大地震の被害予測を踏まえ、2017年、2019年、2021年の3段階に分けて合計14.2%の値上げを行うプロセスの一環で、今回は2回目。全国平均で3.8%値上げされます。
ただし地震保険の場合は建物の構造、所在地(都道府県)によって基本料率が異なるため、値上げ率は全国平均で3.8%ですが、木造建築物等(ロ構造)の場合、値上げになるのは36都県です。下表のようにかなりの差がありますから、値上げの地域は早めの加入、値下がりの地域は下がるのを待って加入するのが賢い方法です。
ただ、もうひとつ確認すべき点があります。地震保険には火災保険と同様に長期契約をすると割引がありますが、今回の改定で長期係数が引き上げられたことにより割引率が下がるため、保険料は実質値上げになります。長期契約を考えている人は、その点も含めての試算が必要です。
2019年は火災保険料も値上がりする?!
損害保険各社からまだ正式な発表はありませんが、損害保険会社が保険料を設定するときの基準を算出している損害保険料率算出機構が今年6月、参考純率を下図のように平均で5.5%引き上げたと発表しました。参考純率が実際の保険料の値上げ幅となるわけではありませんが、損害保険各社は算出機構が公表した参考純率をもとに保険料の改定率を決めるため、火災保険料の値上がりは必至と想定されます。
最近の台風や大雪といった自然災害、冬季の凍結や水道管の老朽化などから生じた水濡れ事故など、保険金支払事由の増加が最大の原因です。自然災害リスクが大きくなっているいま、今後、火災保険料は値上がり傾向に向かうはず。早めに長期契約をするのがよさそうです。
子育て世代は負担減となる制度がスタート
負担増ばかりになりそうな2019年ですが、子育て世代にはうれしいニュースも。消費増税と同時に幼児教育が無償化されることになります。
認可保育サービス、幼稚園、認定こども園を利用している場合、0~2歳児は住民税非課税世帯、3~5歳児は全世帯が対象。認可外保育サービスでも住民税非課税世帯の0~2歳は上限4万2000円、3~5歳は上限3万7000円の範囲で補助が受けられます。預かり保育や基準を満たしたベビーホテル、認可外の事業所内保育なども対象。しかし費用のうち、給食費のような実費徴収のものは対象外です。
補助や減額を受ける場合は申請が必要です。保育園や幼稚園から渡された書類は、必要事項を記入して必ず期日内に提出しましょう。対象になるかならないかは個人の状況によって異なるので、不明な点があるときは住所地の市区町村役場へ問い合わせしましょう。