1997年にスタートしたTBS系スポーツバラエティ番組『SASUKE』が、21年目を迎えた今年、初の大みそか放送、そして初の生放送に挑む。『平成最後の大晦日スペシャル! SASUKE2018&ボクシング井岡一翔世界タイトルマッチ』(12月31日18:00~23:55)として、井岡選手の世界戦とあわせて放送される『SASUKE』の第36回大会。生放送するファイナルステージでは、番組の象徴でもあるSASUKEタワーが聖地・緑山スタジオを飛び出し、初めて横浜赤レンガ倉庫に建てられる。

まさに初めて尽くしの『SASUKE』第36回大会について、プロデューサーの村口太郎氏にインタビュー(全3回)。最終回は、初めての生放送、そして初めて横浜赤レンガ倉庫でのファイナルステージを決めた理由について。実現までの苦労や本番への思いも聞いた。

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    『SASUKE』ファイナルステージを横浜赤レンガ倉庫から生放送

■番組史上初の生放送の狙い

生放送への挑戦を決めた理由について、村口氏は「狙いは一つ。初の大みそか放送が決まったときに、通常と同じことをやっていてはダメだと。大みそかはテレビ界で一番すごい番組が並ぶ日で、普通だと紅白歌合戦を見るであろうところを、なんとか少しでも『SASUKE』を見てもらいたいと思って生放送を決意しました」と説明。

続けて、「35回放送してる番組なので毎回同じことをやっていては見てくれない。長寿番組ということでみなさん『SASUKE』を知ってくれているけれど、1回ごとのスペシャル感は少しずつ薄れてきてるのも事実」と長寿番組だからこその課題にも触れ、「今回は大みそかということもあり、いつもよりスペシャルにしたかった」と話した。

■制作サイドの念願だった生放送

生放送は今回のために急きょ考えたことではなく、制作サイドの念願だった。「僕らスポーツ局の人間は多くのスポーツ番組を中継してきましたが、生放送に勝る緊張感はない。どうなるか誰もわかんないというのがスポーツの醍醐味。『SASUKE』の会場は、そんじょそこらのスポーツイベントよりよっぽど緊張がある。下手したら1stステージクリア0で終わるかもしれないし、逆にいきなり大量クリアするかもしれないし、行くと思っていた選手がこんなところで…というのも見ているし、緊張感がものすごい」と語る。

そして、「その緊張感こそ『SASUKE』の一番面白いところ」と強調。実際の収録は丸2日かけて行い、選手と選手の挑戦の間にセットを直す時間も必要で、生放送は現実的ではないとこれまで実現できなかったが、「ファイナルステージだけだったらいけるんじゃないかということで今回チャレンジすることに」と、念願の生放送が決定した。

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    プロデューサーの村口太郎氏

■初めて聖地・緑山を飛び出す理由

ファイナルステージのSASUKEタワーが聖地緑山を飛び出し、横浜赤レンガ倉庫に建つのも初の試み。村口氏は「おそらく今のテレビ番組のセットの中で一番大きいセット。デザインを含めてきれいで、照明が入るとさらに魅力的に。ただ、緑山の広場は何もない空き地で、タワーだけ立ってもあまり絵にならない。ファイナルステージのためだけに大みそかに全部セットを1から建てるというのも厳しく、それよりも観光名所のような周りもきれいな場所に建っている姿を見てもらいたいと思って決めました」と理由を明かす。

今年3月にTBSと横浜市が、自治体とメディアとの連携モデルを作ることなどを目指して包括連携協定を締結したことも今回の実現に関係したという。「その協定で一緒にいろんなことをやっていきましょうということになり、だからこそ今回の話もみなさん前向きに考えてくれました」と語った。

人気スポットである横浜赤レンガ倉庫での初の生中継実現には、クリアしなければいけない課題が多かったという。「緑山スタジオというTBSの敷地内に建てるのと、外に建てるのとでは大違い。いろんな関係各所のご協力を得て実現できることになり、今までの『SASUKE』と比べて関係者の数はダントツで多い。前例のないことをやるのでさまざまな調整が必要だった」と明かし、「25メートルを45秒で登るファイナルステージ。感動が凝縮されるその45秒のために、多くの方が頑張ってくれています」と感謝を込めた。

■全スタッフの経験を集約させる大挑戦

大みそかの放送本番。果たしてファイナルステージ進出者、そして完全制覇者は現れるのか。村口氏は「僕らは舞台を用意するだけで選手の頑張りにかかっている番組。僕らが作ったセットをクリアする人が出てくると次はセットを難しくする。そうすると選手がまた練習してくる。そのいたちごっこで35回繰り返してきている。今回のファイナルステージは3年半誰もクリアできてないので、それを超える人が出てきてほしい」と期待。

また、「今回は生放送ならではの緊張感がある。挑戦者だけでなく僕らにとっても大挑戦。機材のトラブルやセットのトラブルがあって予定の時間にスタートできないなんてことがあってはならないので、全スタッフがこの一発勝負の生放送成功に向けて、いろんな番組を作ってきたノウハウや経験をすべて集約するという感じです」と気を引き締める。

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■新たなファン獲得と番組継続への強い思い

そもそも、初の大みそか放送ということ自体が大きな挑戦だという。「紅白歌合戦の歌手がどんどん発表されていますが、ひたすら体を鍛えて頑張っているほぼ一般の人たちが100人束になって紅白に挑む感じが『SASUKE』っぽい。そこに『SASUKE』の醍醐味が詰まっている」と言い、「紅白歌合戦の裏で高い数字をとるのは普通に考えると厳しい。けれども、6時間放送するのでその間のどこか少しでも見てくれた人が『SASUKE』って面白いと思ってくれたらいいなと。家族みんなで見られる番組なので、初めて見る子供たちも久しぶりに見る大人の方も楽しんでほしい」と願う。

さらに、「僕が新入社員として入社したときに立ち上がり、当時から関わってきた番組なのでできる限り長く続けたい。世界的にも人気のある番組に育っているので、その人気を日本で廃らすわけにはいかない」と番組への思いも明かし、「大みそかに放送できるのはとても光栄なこと。1人でも多くの人に見てもらいたいですし、今回初めて見る小学生がいて、その子が大人になって出たいって思ったときに番組があることが大事なので、とにかく長く続けていきたい」と力強く語った。

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