来年こそ「出世したい!」「昇給したい!」と思っている人も多いのでは? そんな働きマンたちは、年初めの"初詣"で仕事運アップを狙ってみるのもいいだろう。でも、「ただお参りすればいいんでしょ?」と甘い考えでデタラメな参拝をしていては、せっかくのご利益が授かれないかも……。ということで、ここでは社会人が知っておくべき"初詣"作法を解説したい。
そもそも「初詣」とは何か?
お正月の恒例行事として、幼い頃から当たり前のように"初詣"をしているという人も多いことだろう。でも「"初詣"って、そもそも何?」と聞かれると、返答に困ってしまうのでは?
初詣は、新年を迎えてから初めて寺社仏閣に参拝する行事のこと。その目的は、旧年への感謝の想いを捧げ、また新年がいい年になるように願掛けをするためとされている。
もともとは「年籠り」という、村や家の長が地域の氏神が祀られている社寺に大晦日の夜から元旦の朝まで寝ずに籠る行事が由来。それがやがて大晦日夜の「除夜詣」と元旦朝の「元旦詣」という行事へと移り変わり、さらに時を経て、現在の「初詣」になったそう。
かつてのように参拝すべき日時に細かな決まりはないものの、一般的には元旦や1月1日~3日の三が日、もしくは小正月の1月15日までに済ませる人が多い。また、参拝する寺社仏閣についても決まりはなく、住んでいる地域の氏神が祀られている神社、授かりたいご利益の神社、または伊勢神宮や明治神宮といった有名神社など、好きな社寺を選べばいい。
作法その1「参拝の手順を守るべし」
初詣に限らず、神社の参拝には手順が決まっている。たまに、そそくさと社殿まで行って、そそくさと手を合わせて帰っていく参拝客を見かけるが、これは目上の人のお宅に「お邪魔します」も言わずに土足でズカズカと入っていくようなもの。そんなマナーの悪いビジネスマンは出世できるわけがないのと同じように、初詣でも仕事運のご利益は授かることができないはず。以下の手順を守るようにしよう。
1.一礼し、鳥居をくぐる
そそくさと鳥居をくぐるのではなく、入る前の一礼を忘れずに。
2.参道の脇を歩く
参道の真ん中は神様が通る道。参拝者は参道の脇を歩こう。
3.手水舎で身を清める
参拝前に身を清めるのがマナー。これにも手順があるので注意しよう。
一.右手で柄杓をとって水を汲み、左手に水をかけて清める。
二.左手に柄杓を持ち替えて、右手に水をかけて清める。
三.再度、右手に柄杓を持ち替えて、左手の平に水を溜め、その水で口をすすいで清める。
四.口を清めたら再度、左手に水をかけて清める。
五.使った柄杓を立てて、持ち手の部分に水が伝わるようにして清め、元に位置に置く。
4.二礼二拍手一礼で参拝をする
拝殿で神前に向かったら賽銭を入れ、「二礼二拍手一礼」で参拝を。手順は以下。
一.2回、深くお辞儀(礼)をする。
二.手のひらを合わせて、2回拍手をする。
三.もう一度、深くお辞儀をする。
5.お守りやおみくじへ
お守りやおみくじは、参拝後がルール。参拝前に行くのは行儀が悪いので注意。
6.鳥居を出て一礼して帰る
帰りも鳥居を出たら、社殿に向かって一礼するのを忘れないように。
作法その2「正しいお願いごとの作法を覚えるべし」
ビジネスで初対面の人に会った際は、名刺を渡して「〇〇社の〇〇と申します」と挨拶をするはず。これは神前でも同じで、手を合わせたら、まずは「名前」「住所」を心の中で伝えるようにするのがいいそうだ。その後、さらに「神様への感謝の気持ち」を伝えたうえで、お願い事をするように。
神様も、何処の誰だかわからない人間にいきなり「来年、社長にしてください!」と言われても困ってしまうに違いない。ビジネスと同じように、感謝の気持ちをもって丁寧に参拝するように心がけよう。
作法その3「お賽銭は縁起のいい数字にすべし」
お賽銭の奉納金額はつい迷ってしまいがちだが、「1,000円以上はお賽銭を入れないと無礼」なんてことはなく、あくまで気持ちが大切なので金額に決まりはない。ただ、結婚式のご祝儀は「2で割り切れない奇数がいい」といったように、縁起のいい数字は決まっているので、迷ったときは下記を参考にしてみるといいだろう。
・5円/ご縁
・11円/いい縁
・20円/二重に縁
・25円/二重にご縁
・41円/終始いい縁
・45円/終始ご縁
ちなみに、よくお賽銭を箱に投げ入れる人を見かけるが、それもマナーが悪い。神様への捧げものなので、そっと丁寧に入れるように!
作法その4「去年のお守りを返納すべし」
「親が大学の合格祈願にくれた」「旅行先の神社で買った」などなど、古いお守りを持ち続けている人も多いのでは? しかし、お守りからご利益が得られるのは1年が目安。つまり、今年の初詣で授かったお守りは、来年の初詣の時に返納し、新たなお守りを授かるのがベストなのだ。神社内には返納するための箱やスペースが設けられていることが多いので、そこに返納しよう。
ちなみにベストは、授かった神社にお守りを返納すること。しかし遠方の可能性もあるので、その際は近所の神社に返納を。ただ、寺で授かったお守りを神社に返納するのはNG。寺のお守りは寺へ、神社のお守りは神社へ返納するのがマナーだ。
作法その5「仕事運にご利益アリ! の東京神社5選」
・日枝神社(赤坂)
大山咋神(おおやまくいのかみ)を祭神として祀る神社。"大山の主"として、山と水を司り、大地を支配し、万物の成長発展・産業万般の生成化育を守護する神として崇められたことから、仕事・出世運のご利益が得られると有名。永田町に近い土地柄もあり、政界からも参拝に訪れる人も多い。
・愛宕神社(神谷町)
1603年、江戸に幕府を設ける徳川家康の命により防火の神様として祀られたのが建立の由来。境内には、曲垣平九郎の故事にちなんで命名された「出世の石段」があり、この石段を登れば仕事・出世運、商売繁盛のご利益が得られると有名で、年間通して多くのビジネスマンの姿が見られる。
・代々木八幡宮
「参拝すると仕事が増える」という噂で芸能人も大勢訪れるのが、境内に出世稲荷神社を有する代々木八幡宮。主祭神は武運の神「応神天皇」で、厄除開運や産業・文化の発展と守護のご利益が得られる。富士塚や縄文時代の竪穴式住居を復元したものなど、境内には見どころも豊富。
・穴八幡宮(早稲田)
フリーランスの仕事をしている人たちの間で「参拝すると仕事が急増する」と噂されているスポットがこちら。金運アップのご利益が得られると有名であり、特に冬至の日から節分までの約2カ月の期間限定で授かれるお守りは金運アップ・商売繁盛のご利益が得られると、毎シーズンに行列もできる。
・亀戸天神社(亀戸)
言わずと知れた学問の神様「菅原道真公」を祀る神社とあって、仕事運や学業運アップのご利益が得られることで知られている。道真公はその才を生かしてみるみる出世を果たした人物としても有名なことから、立身出世のご利益を求めて参拝に訪れるビジネスマンたちが後を絶たない。