三菱UFJ信託銀行は12月25日、「遺言と相続に関する実態調査」の結果を発表した。調査は11月27日~12月3日、30歳~69歳の相続検討者および30歳~69歳の相続経験者の男女900名を対象に、楽天インサイトによるインターネット調査にて行われた。

相続検討者5割が子に全財産を明かさず

  • 自身の相続財産をどのくらい明らかにしているか

    自身の相続財産をどのくらい明らかにしているか

はじめに、相続検討者に「子どもにご自身の相続財産をどのくらい明らかにしていますか?」と聞いたところ、52.5%が「全く明かしていない」と回答。「すべての財産を明らかにしている」と回答した人は13.6%にとどまった。

相続財産を明らかにしない理由としては、「遺産目当ては好ましくない」(35.0%)が最も多く、次いで「話をする時期ではない」(27.0%)、「どの程度の遺産を子どもに相続するか決めていない」(24.1%)、「子どもと相続財産の話をする機会がなかったため」(22.6%)と続いた。

続いて、子どもへの相続の割合について調査を実施した。その結果、民法による法定相続分は兄弟姉妹で均等に分割となっているものの、11.9%が「相続に際して、複数の子ども(兄弟姉妹)に対し相続額に差をつけようと思う」と考えていることが明らかに。

  • 複数の子どもに対し相続額に差をつける条件

    複数の子どもに対し相続額に差をつける条件

その理由や条件について尋ねると、「普段から、電話・メール・LINEなどでコミュニケーションを取ってくれること」(27.3%)や、「普段から、実家に顔を出してくれること」(25.5%)など、普段のコミュニケーションの量が判断材料の一つとなっていることが伺える結果となった。

また、「相続について子どもと話をすることがあるか」尋ねたところ、60.7%が「ない」と回答。その理由として、「話をするほど、遺産を持っている訳ではないので」(44.5%)が圧倒的に多く、次いで「子どもが下心を持つと良くないから」(19.1%)、「あまり子どもと会うことがないので」(12.7%)と続いた。

遺産相続額、平均で2,114万円

次に、遺産相続経験者に対して調査を行った結果、4割が「相続を受ける前から、相続財産がどのくらいあるか把握していなかった(あまり+まったく)」(40.7%)とのこと。また、6割が「相続を受ける前に、相続について話をしなかった」(60.2%)と回答。

理由としては、「相続財産の話をするきっかけがなかったから」(29.6%)、「親の死を前提とした話はしたくなかったから」(29.1%)、「話をするほど、遺産を持っているとは思わなかったから」(22.7%)、「わざわざ親と話す話題ではないと思っていたので」(22.3%)という意見が多く挙がった。

  • 相続した財産の金額換算

    相続した財産の金額換算

実際に相続した財産を金額に換算して教えてもらったところ、男性の平均相続金額は2,885万円、女性は1,301万円となり、全体平均では2,114万円という結果となった。

最後に、平成30年7月に、およそ40年ぶりに相続法が大きく改正されたことを受け、「相続法の改定により、遺言作成のハードルが下がると思うか」尋ねたところ、「下がると思う」と回答した人の割合は、52.7%だった。