2018年も、さまざまな魅力を持つデジタル機器や白物家電が登場しました。低価格でも充実した機能を持つコストパフォーマンスの高い製品が人気を集める一方で、高価ながらオンリーワンの特徴を持つ製品も話題になりました。そこで、「値が張るので簡単には手を出せないけれど、奮発してでも買いたい“ちょい高アイテム”」を、デジタル&白物家電業界に造詣の深いライター諸氏にご紹介いただくことにしましょう。

今回は、自慢できる家電「ドヤ家電」の生みの親、ライターの小口覺(おぐちさとる)さん。1万円~2万円でもじゅうぶん品揃えがあるコーヒーメーカーのなかで、小口さんが37,800円(税込・直販価格)を出してツインバード工業の「全自動コーヒーメーカー」を手に入れた理由とは……?

  • 小口覺さんがチョイスしたのは、ツインバード工業「全自動コーヒーメーカー CM-D457B」。直販価格は37,800円(税込)。カラーは「ブラック」

名店「カフェ・バッハ」の店主が監修

参加した製品発表会で即購入を決めたのが、ツインバード工業の「全自動コーヒーメーカー CM-D457B」です。クラウドファンディングでの先行販売にて注文。3種類の豆が付いた飲み比べコースで、価格は37,800円でした。

  • 低速で回転する臼式ミル。豆に余計な熱を与えず均一に挽ける。着脱も容易でお手入れも簡単です

最大の決め手は、日本コーヒー界のレジェンドと呼ばれる「カフェ・バッハ」店主、田口護さん監修という1点です。コーヒーといえばお湯で薄めたようなアメリカンが跋扈していた時代に、田口さんは豆の産地にこだわり、自ら海外で農園に赴き、ハンドピック(豆の選別)や焙煎の重要性を説いてきました。今おいしいコーヒーが気軽に飲めるのは、この方のおかげと言っても過言ではありません。

私が田口さんに取材したのは、今から20数年前。まだ、スタバもタリーズも日本にない時代です。その後、美味しいなと思う喫茶店は、田口さんのお弟子さんだったりすることも多かったですね。そんなレジェンドがOKを出した製品となれば、それはもう買うしかないじゃないですか。

  • レジェンド、「カフェ・バッハ」店主の田口護さんと発表会で邂逅。80歳を超えた今でも、海外を飛び渡っていらっしゃいます

臼式ミル、83度のお湯でハンドドリップを再現

さて、「全自動コーヒーメーカー CM-D457B」の特徴ですが、大きく3つあります。

  • 1 低速の臼式ミル

豆に余計な熱を加えず均一の大きさに挽いてくれる。

  • 2 湯温は83度

田口さんが推奨する温度が83度。製品ではさらに90度も選択でき、豆の焙煎具合や挽き方、湯温の組み合わせで、同じ豆、ブレンドでも様々な味わいが楽しめます。

  • 3 ハンドドリップを再現した注ぎ方

6方向から内側に向けてお湯が注がれます。蒸らしなどもプロの入れ方を再現。

  • 挽き方は、粗挽き、中挽き、細挽きの3段階に調節可能です

機械でありながら、プロのハンドドリップの手仕事を再現しているので、抽出には少し時間がかかります。

そして肝心の味ですが、同じ豆を使ったとしても、香りや味の奥深さが感じられるようなコーヒーになります。もっとわかりやすく言うと、電気ポットから直接注ぐような雑なハンドドリップよりも、はるかにうまい。改めて淹れ方の重要性を認識するとともに、手間なしでおいしいコーヒーが飲めるありがたさを実感しています。

  • カチカチと回すダイヤルを備えた操作部。豆から抽出までの全自動はもちろん、粉からの抽出、ミルのみの使用も選択できます。湯温は83度と90度

  • 豆の投入口。毎回使用する量を量ってから投入します

  • 左側に見えるドリッパーレバーが静電気を除去し、粉の飛び散りを防止。豆を蒸らしながら、6方向から内側に向けてお湯を落とし、丁寧なハンドドリップを再現しています

「マスターの手間代」を考えると安い

全自動コーヒーメーカーには、10,000円を切るような製品もあります(シロカ「SC-A211」、ビタントニオ「VCD-200」など)。これらは、コンパクトでおしゃれなデザインですが、ミルは安価なカッター式、フィルターは金属のメッシュフィルターを採用しており、味にはどうしても雑味が出てしまいます。日常的にコーヒーを楽しむなら、ペーパーフィルターを使う製品が無難です。ミルの性能や温度管理などを考えると、20,000円は出したいところですね。

「全自動コーヒーメーカー CM-D457B」はプロのお墨付きがあり、デザインもかっこいい(男性好みのデザインだと思います)。毎日それほど手間をかけなくても美味しいコーヒーが飲める。価格は37,800円(ツインバード公式オンラインストア)とちょっと張りますが、年に300回、3年間これでコーヒーを飲むとすれば、1回あたりのコストは42円。マスターの手間代だと考えると異様に安く思えてきませんか?

全自動コーヒーメーカー CM-D457Bを頑張ってでも買うべき人
安定した味のコーヒーを毎日飲みたい人
挽き方や温度設定で、違う味わいを楽しみたい人
1万円以下の製品でも十分な人
普段それほどコーヒーは飲まない人
コーヒーの雑味をワイルドさだと好きになれる人

著者プロフィール
小口覺

小口覺

1969年兵庫県生まれ。明治大学法学部卒業。雑誌、Webメディア、単行本の企画・執筆、マンガ原作、企業サイトのコンテンツ制作を手がけるライター・プロデューサー。自慢できる家電「ドヤ家電」の生みの親。2019年1月17日に「ちょいバカ戦略: 意識低い系マーケティングのすすめ」(新潮社)を刊行予定。現在好評予約受付中。