日々忙しい職種の方も、単身赴任の方も、年末年始は自宅で家族とくつろぐことが多いと思います。実家に帰省したりして、双方の両親と接する機会も多いでしょう。年始年末は家族で将来を考える絶好の機会なのです。

  • 年末年始は家族で話すいい機会

    年末年始は家族で話すいい機会

子供の教育、住まいの取得、スキルアップのための資格取得、双方の実家の問題、将来の相続など、普段はじっくり話す機会がなかったりする問題も、家族が集まる年末年始は十分に時間もあります。

実家の諸問題改善は大掃除で!

独立して親元から離れた子供が最初に実家の問題に直面するのが大掃除です。親が高齢化して大掃除が困難になってSOSが来るようになります。それてなくても、実家に帰省するたびに、掃除が行き届かなくなっていく現実を目にします。モノも次第にあふれていきます。

実家の問題は単に片付けの問題だけでなく、「親が単身になったらどうする?」「自分で身の回りのことができなくなったらどうする?」「誰が相続する?」「誰も相続しなくなったらどうする?」「親の老後の生活費は?」など、将来どうするかによって、片づけ方も誰が片づけるかも違ってくるのです。

何を捨てるか何を残すかも将来どうしたいかによって違います。実家の大掃除のときが将来の方針を話し合うチャンスなのです。実家が片付かないと感じ始めたら、機会を見て兄弟姉妹と示し合わせて、共同で大掃除をするとよいでしょう。

大掃除は片づけることと将来の話し合いをさりげなく、しかも一挙に行える絶好の機会です。もちろん片づける最初のものは自分自身が実家に残してきたものです。また、モノを捨てられない実家対策は孫を連れていくとよいでしょう。頑固で子供の言うことは聞かない親も、孫の言葉には弱いものです。

実家の問題だけではなく、モノを整理するということは、これからの生活設計なくして行えません。大掃除はできれば家族で一緒に話し合いながら行う習慣を作っていけるとよいと思います。家庭の状況によっては年の中間の6月くらいの晴れ間にも、ポイントを絞った大掃除を行うと年1回よりは楽になります。5月の連休の1日を当ててもよいでしょう。

子供の教育方針は改めて元旦に!

「一年の計は元旦にあり」という言葉があります。親子でその年の抱負を考えることも多いと思います。グローバル化が進むこれからの時代、子供の教育も大きく変化していかなければならないでしょう。競争力のある子供に育てるためには、早くから自主性を身に着けさせるのが一番です。

子供の学力や勉学姿勢によっては、将来教育にかかる費用は大きく違ってきます。早くから医者になりたいという希望の子供であれば、親は早くから教育資金の準備が必要ですし、ある程度子供にも自立して学費を稼ぐように仕向ける必要もあるでしょう。当然、学力向上の目標も年末年始の機会に子供と確認したいところです。

住まいの取得は、子育てに大きく関係する

多くの日本人にとって人生最大の投資は住まいの取得です。住宅メーカーにて営業の仕事をしていたことがありますが、年間200組ほどのお客様と折衝していて感じたことは、「人生設計がしっかりしている夫婦は上手に住まいを作る」という点です。自分たちに最適な住まいを作り上げるには、「自分たちはこういう人生を歩みたいので、こういう家が欲しい」が明確になっていることは何よりも大切なのです。

人生設計がしっかりしているか否かは、初対面から5分くらい話しただけでわかります。マンションや建売住宅の購入でも同様でしょう。夫婦がゆっくり語り合える年末年始には、将来の住まいづくりを話し合う良い機会です。

自分たちの位のスタイルだけでなく、お金の話も大切です。万一のための預貯金、老後の生活資金の準備、教育資金の準備などへのこれからのお金の配分も考えなければなりません。生活を見直してシェイプアップして、自己資金を増やす努力も必要です。住まいを考えることは今後のすべての人生設計とお金の配分に関係します。

住まいの取得は子供の故郷を作ることにつながります。子供部屋をどう作るかも教育上重要です。過去に凶悪犯罪を起こした子供の住まい環境を研究されている方がいて、本も多数でています。そうした子供たちの住まい環境は、部屋が両親の寝室と離れている、両親の寝室が住まい全体からすると狭い、子供室の窓が小さく、また家具などでふさがれていて外界からの刺激が少ないなど、顕著な特徴があるそうです。子供部屋をどのように配置するかはとても大切な問題なのです。

また子供も自分たちの部屋ができることになりますので関心を示してくるでしょう。住まいの取得を通じて、子供には自ら勉強していく習慣をはぐくむように考えたいものです。下図は、リビングの一角に親子の勉強机を配置したプランの一例です。親もスキルアップが必要な時代で、資格取得や語学力向上のための勉強は必要な時代です。

  • リビングの一角に親子の勉強机を配置したプランの一例

    リビングの一角に親子の勉強机を配置したプランの一例

年末年始は日本人にとって、ある種の非日常です。さりげなく、将来のプランを語り合える習慣になるとよいと思います。

■著者プロフィール: 佐藤章子

一級建築士・ファイナンシャルプランナー(CFP(R)・一級FP技能士)。建設会社や住宅メーカーで設計・商品開発・不動産活用などに従事。2001年に住まいと暮らしのコンサルタント事務所を開業。技術面・経済面双方から住まいづくりをアドバイス。