2018年12月22日より公開されている映画『平成仮面ライダー20作記念 仮面ライダー平成ジェネレーションズ FOREVER』では、8月に最終回を迎えた『仮面ライダービルド』で仮面ライダーローグ/氷室幻徳を演じた水上剣星が出演し、仮面ライダービルド/桐生戦兎(演:犬飼貴丈)、仮面ライダークローズ/万丈龍我(演:赤楚衛二)、仮面ライダーグリス/猿渡一海(演:武田航平)たちと共に活躍を見せる。
『仮面ライダービルド』では、東都首相補佐官、秘密組織ファウストのリーダー、ナイトローグ、仮面ライダーローグと、立場の変化と共にキャラクターの表現手段も変化させてきた幻徳は、最終的に戦兎たちの仲間となり、コワモテ風のルックスとミスマッチ(ある意味ベストマッチ)な"Tシャツ芸"を披露するなど、強烈な印象を与えて多くのファンを獲得した。ここでは水上に単独インタビューを敢行し、『仮面ライダービルド』出演で自身が感じたことや、「仮面ライダー」を愛するファンの熱き思いについての感想など、いくつもの興味深い話を聞いた。
――『仮面ライダービルド』が最終回を迎え、さらには「ファイナルステージ」で全国各地を回られました。改めて本作で氷室幻徳役を演じられたことへの思いを聞かせてください。
僕の中でも、いい意味で本当に「やりきった」という思いがあります。10月14日に東京で開催された「ファイナルステージ・スペシャルバージョン」をやり終えた段階で"終わったな"という感覚でいます。テレビシリーズのあと、他の映画やドラマの収録があったのですが、ファイナルステージが終わるまで幻徳のイメージを変えるわけにはいかないので、髪は伸ばしたまま、ヒゲもそのままにしていました。
――幻徳は1年間を通じてさまざまな運命に翻弄され、自身をとりまく環境が劇的に変化していきました。そんな幻徳を応援されていたファンの方たちも多いと思いますが、ファンからの声援をイベントなどでダイレクトに受けてみて、どんな思いを抱きましたか。
本当に「仮面ライダー」シリーズというのは特殊な作品で、ファンのみなさんとのコミュニケーションが取れる機会が1年の間に何度もありました。夏の映画『Be The One』の舞台挨拶に行っても、普通の映画の舞台挨拶とちょっと印象が違っていて、すごくこちらの言葉に反応してくれる方がいる……レスポンスがすごくいい、という印象です。それだけに、ファイナルステージ・スペシャルバージョンのときはこういう場所に立ってファンのみなさんと触れ合うのが"最後"になるんだなと思って、感慨深かったです。
――『ビルド』テレビ本編での思い出深いエピソードはたくさんあるのではないかと思いますが、特に印象に残る幻徳の名シーンを挙げるとしたら、どんなところでしょうか。
終盤のほうに限定しますと、第48話「ラブ&ピースの世界へ」で幻徳がエボルト(究極体)と戦い、消滅するシーンがやはり印象深いですね。このあたりのエピソードって、ものすごく天候が悪く、ロケがうまく進まなかったんです。毎回ロケ現場に行くたび、途中までスムーズに撮影できていたのに雨が降ってくるとか霧が出てきたとかで、中止になってしまったんです。ロケ先まで移動するのに片道2~3時間ほどかかりますから、スケジュール的にも大変でした。うまく終われないなあなんて思っていましたけれど、すべてが終わった今になって考えてみると、そういうのも含めて最終回に向けた"試練"だったのかなという気がします。
また、これの前のエピソードである第47話「ゼロ度の炎」も忘れられないですね。一海が消滅したことを聞かされ、無音の中で幻徳たちが感情をあらわにするシーン。あそこはみんなが、この1年間やってきたことで「絶対に後悔したくない」という思いが乗っていたと思いますし、すべてを"さらけ出す"ことができた瞬間だったという気がします。特に思い入れが強いシーンを挙げるなら、ここですね。
――本当に、最終展開は悲壮感にあふれる戦いが連続し、テレビから目が離せなかったように思います。第46話「誓いのビー・ザ・ワン」では戦兎たちが最後の戦いに臨む前に、屋上でバーベキューや花火を楽しむシーンがあり、束の間の安らぎを感じさせてくれました。
あのシーンは楽しかったですね。劇中で焼いていた肉をみんなでつまみ食いしていましたけれど(笑)。あれを撮っているときも、テッペン(0時)越えしていて、スタッフも出演者も大変だったなと思い出します。『ビルド』の最後の半年くらいは撮影スケジュールが本当にハードでした。僕がそう感じるくらいですから、主役の犬飼くんや赤楚くんはもっと大変だっただろうし、寝る暇もなく毎日撮影をしていた印象があります。