12月14日、レノボ・ジャパンから2in1 PC「Yoga Book C930」(以下、C930)が発売されました。「全世界で予測を大幅に上回る注文」が入るほどの人気で、当初の予定よりも遅れての出荷開始となります。
Yoga Bookといえば、タッチスクリーンによるキーボードが特徴ですが、新モデルである「C930」では、E Inkを採用しています。また、初代となる従来モデルからさらにタイピングのしやすさ、精度を向上させる仕組みがいくつも取り入れられているといいます。レノボがメディア向けに開催した説明会でその一端が紹介されました。
Lenovo Resarchが開発のキーマン
Yoga Bookシリーズのキーボードを開発するにあたって、重要な役割を果たしているのが、横浜にあるレノボ・ジャパン 大和研究所の「Lenovo Resarch」です。「Lenovo Resarch」は、IBMの研究部門とPC部門を前進とした組織で「3~5年先」を見据えて、テクノロジーの研究や調査、製品開発に対する技術提案を行っているといいます。
例えば、ThinkPadの「オウルファン」(ふくろうファン)や、「ThinkVantage Rescue & Recovery」、HDDを保護する「APS」(Active Protection System)などもLenovo Resarchの成果です。
初代のYoga Bookに搭載された「Haloキーボード」もLenovo Resarchが技術提案を行っていますが、新モデルのC930でも引き続き、製品開発に深くかかわっています。
前述の通り、C930では通常のディスプレイに加えて、E Inkを採用している点が大きな特徴です。実はこれもLenovo Resarchの提案が基になっています。E InkとE Ink上でアニメーションする「仮想3Dキーボード」のプロトタイプを作成し、次世代製品の開発に向けて開発チームに「売り込み」をかけていたといいます。
「初代Yoga Bookではキーボード周りが中心だったが、C930では製品コンセプトにかかわる深い部分でも貢献できた」(戸田氏)とアピールします。
何が変わった? Yoga Book C930新キーボード
初代の時点で、普通のスクリーンキーボードよりも優れた点が多いYoga Bookのキーボードですが、C930では反応速度の改善や、ユーザーに実際のキーを入力しているかのように思わせるフィードバックなど、手が加わっています。
従来モデルでは、キーボード周りの処理はCPUで行っていましたが、C930は新たに専用ハードウェアとして「Keyboard Engine」を実装。CPUやOSではなく、ここで処理をさせることでキーを入力した際の表示や、キー入力音がなるまでの速度が高速化したほか、さらなる安定動作、キートップ上で指を休ませる「フィンガーレスト」を検出する精度、E Ink上での高速アニメーションを実現したといいます。
C930は1分間あたり490語までのタイピングが検出できるそうで、世界記録の1分間あたり256語と比べても、十分に余裕がある数字です。
電子書籍リーダーで、E Ink採用の製品がありますが、ページ送りなど表示の更新にちょっと時間がかかりますが、C930のキーボードはキーの領域にタッチすると同時に押下のアニメーションが表示されます。これは「Keyboard Engine」が寄与しています。とはいえ、実現に向けて開発パートナーとかなり調整を繰り返したそうです。