集合住宅でよくあるトラブルに、生活音による「騒音」が挙げられます。
社会問題のひとつといえるこの問題に対して、どのように対処すればいいのでしょうか?

ここでは、騒音の種類や対策など、事例を参考にしながら順に紹介していきます。

騒音となる生活音の種類

騒音にもさまざまな種類がありますが、具体的なトラブルの原因として、次のようなものが挙げられます。

・上階の足音など

特に小さなお子さまがいる家庭では、日中ドタバタと部屋を走り回る音が階下へ響いてしまうことも多いようです。

・隣家などの話し声

窓を開けたままにしがちな季節、隣家との壁が薄い場合、笑い声や話し声でも耳障りに感じられることもあります。

頻繁に来客がある家などは、これらが原因でトラブルとなることが多いようです。

・テレビや音楽の音

テレビやオーディオなどの大きすぎるボリュームも、騒音トラブルの原因のひとつです。音が出る家電は、窓を閉め切っていても、壁や床を伝って周囲に響いてしまうことがあります。

・ペットの鳴き声

近年、ペットの飼育可というマンションやアパートもありますが、犬や猫などを飼う場合は、鳴き声が近隣の迷惑となることがあります。

・深夜の掃除や洗濯

ライフスタイルによっては、深夜に掃除や洗濯をする人もいます。しかし、夜中の掃除機の音はもちろん、洗濯機にサイレントモードが搭載されていても、建物の構造によっては周囲に響くことがあります。

・ドアの開け閉め音

ドアの開閉時の音も意外に響くものです。出入りの多い家であれば、その分ドアの開け閉めの回数も多くなるため、迷惑になる場合があります。

・ピアノの音

ヘッドホンが装着できる電子ピアノもありますが、音を出して演奏するときは気をつかう必要があります。また、鍵盤をたたく際、振動が階下に伝わることがあり、気づかないうちにトラブルへと発展してしまう可能性もあります。

・キッチンの洗いものなどの音

キッチンで洗いものをするときのガチャガチャした音、シンクの水はね音が近所迷惑になることもあるので、周囲が寝静まる深夜などは音が響きやすいため、とくに静かに洗う必要があるでしょう。

騒音に悩まされた場合の対処法やポイント

近隣の騒音に悩まされている場合、どういった対処方法があるでしょうか。事前に確認しておくべきことや、注意しておきたいポイントについて考えてみましょう。

・直接のクレームは避ける

まず、相手に直接苦情を言いにいくのは避けましょう。うまく伝えられなかった場合、さらなるトラブルに発展する可能性があるからです。実際に騒音を直接注意したことで、事件にまで発展したケースはいくつもあります。

また、騒音に対して壁や天井をたたくなど、態度で応戦するような行為も避けるべきです。まずは不動産会社や家主に相談し、適切な処置を仰ぎましょう。

・状況を整理し、不動産会社へ相談

以下のような点に注意し、これまでの経緯と現在の状況を整理後、不動産会社などに相談しましょう。なお、音の聞こえ方や気になる度合いには個人差があるため、感情的にならず事実を率直に伝えることが大切です。

騒音について確認しておきたい事柄

▷音が聞こえる時間帯
▷音の大きさ
▷音が聞こえてくる方向
▷音が聞こえる頻度

騒音の聞こえる時間帯や頻度、どういった音だったかをメモや録音などで残しておく、という方法があります。また、どの方向から聞こえてくるかについても確認しておきましょう。

騒音問題で不動産会社が行う対応としては、相手に直接注意を促すのではなく、住民全体に騒音注意の貼り紙をしたり、チラシを配布したりすることが多いようです。音のする方向が発生源とは限らないため、それを突き止めるより、住民全体に注意してもらうように促す、といった平和的な解決法が選択されることもあります。

そのため、場合によっては状況が改善されないケースもあり、最終的に弁護士へ相談するなどの方法もありますが、賃貸住宅の場合、まずは不動産会社に相談し、あくまで冷静に事実のみを伝えるようにしましょう。

・解決されない場合は引っ越しも視野に

不動産会社などに相談しても解決されない、相手が悪質だったりした場合、思い切って引っ越しを視野に入れてみるほうがいい場合もあります。

精神的苦痛に耐えながら暮らすより、引っ越して楽になった、という人も多くいます。家主や管理会社による解決への対策が不十分である場合など、平穏な居住環境の提供義務違反と判断されれば、退去にかかる費用などを損害賠償として請求できることもあるようです。

自分でできる騒音対策

他人の生活音は気になりますが、自分の生活音が迷惑となる可能性も懸念されます。双方を考慮した、自分でもできる騒音対策についていくつか紹介します。

・イヤーマフ

イヤーマフは音楽を聴くヘッドホンのようなもので、耳をすっぽりと覆って周囲の騒音を遮音してくれます。耳栓のような違和感が少なく、折りたたんでコンパクトになるものもあるため、出先でも周囲の騒音が気になった際、手軽につかうことができます。

・遮音シートや防音材

遮音シートは天井や壁に貼り付ける防音材で、上階や隣家からの伝達音を緩和してくれます。また、遮音シートだけでは不十分という場合、合わせて別の防音材などを設置すると更に効果的でしょう。

防音材は、自分で簡単に取り付け可能な商品も販売されています。窓などに貼れば、遮音・防音効果だけでなく断熱効果も期待できます。

・防音(遮音)カーテン

防音カーテンも、手軽にできる騒音対策のひとつです。通常のカーテンよりも厚手で、音を通しにくいよう特殊な生地で作られており、外からの音が気になる部屋におすすめです。防音だけではなく、遮光効果がある商品なども販売されているようです。

・家具の配置替え

隣室からの騒音が気になる場合、そちら側に本棚やタンスなど大きめの家具を配置するというのもひとつの方法です。ただし、テレビなどの音が出る家電については、壁を伝って音が響くことが懸念されるため、可能であれば壁から離して置くようにしましょう。

おわりに(マンションの騒音トラブル)

騒音トラブルは誰もが経験し得る、身近な社会問題です。騒音といってもその種類や程度はそれぞれで、感じ方にも個人差があります。神経質になりすぎたり、対処の仕方を間違ったりすると大きなトラブルに発展してしまうことも珍しくありません。

また、集合住宅の場合、音が聞こえる方向が必ずしも発生源であるとも限りません。できるだけ苦情を直接伝えず、段階的に適切な対応をとるのが解決への早道です。まずは、不動産会社などに相談し、その上で自分でもできる防音対策をとるようにしましょう。



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