サードウェーブは12月13日、ワコムのデジタイザを搭載するWindowsタブレット「raytrektab DG-D10IWP」を発表した。「いつでも使える」とアマチュアのクリエイターだけでなくプロも評価している「raytrektab DG-D08IWP」の上位機種だ。

製品発表会にはWeb漫画家のやしろあずき氏と"ハイテンション動画クリエイター"のからめる氏が登場。発表前の製品を試用し「いつでもどこでも作業できる」「すき間時間にも作業できて、生活が豊かになった」と感触を語った。

  • 製品発表会に登場したWeb漫画家のやしろあずき氏(左)と、ハイテンション動画クリエイターのからめる氏(右)

画面サイズだけでなく、スペックを大幅強化

「raytrektab DG-D10IWP」は、2017年4月に登場した8型Windowsタブレット「raytrektab DG-D08IWP」のディスプレイを10型に拡大し、より高い性能のCPUや大容量メモリなどを搭載し、性能向上を図った機種だ。

また、8型モデルで搭載するワコムのデジタイザ技術「Wacom feel IT technologies」を改良したものを世界で初めて採用する。12月25日から、ドスパラ各店とドスパラのWebサイトで発売する。価格は79,800円(税込)。13日からWebサイトで予約受付を開始した。

  • サードウェーブが発表した10型Windowsタブレット「raytrektab DG-D10IWP」

8型の機種と主な仕様を比較すると、CPUはIntel Atom x5-Z8350(1.44~1.92GHz/4コア/4スレッド)から、Intel Celeron N4100(1.10~2.40GHz/4コア/4スレッド)にアップグレードしたほか、メモリは4GB DDR3Lから8GB LPDDR4に増量。ストレージは64GBのeMMCを128GBのSSDに変更。容量を倍にしただけでなく、eMMCから読み書きが速いSSDに変更し、性能を引き上げた。

ディスプレイは1,280×800ピクセルの8型液晶から、1,920×1,200ピクセルの10型に変更。画面を拡大するだけでなく解像度も高め、細かい部分をより簡単に描写できるようにし、作業スペースを大きく広げた。

デジタイザ技術「Wacom feel IT technologies」は、4,096階調の筆圧を検知するところは変わらないが、解像度を高めてより細かい点、より細い線を描写できるようになった。さらに、ユーザーのペン操作から表示までの遅延を短縮し、書き心地を改良した。

ペンも新しいものを採用。8型の製品では標準のペン先に加えて、エラストマーとフェルトの2種類のペン先を用意しており、用途に応じて使い分けられるところが好評だった。

新モデルではペン先は1種類のみ。かなり細く、ミリペンに近い印象で、細かい描画にも対応しやすいものになっている。ただし、芯の交換は非対応なので、ペーパーライクフィルムのような摩擦のあるフィルムは推奨しないという。8型の製品に付属するペンと、2種類のペン先は新モデルでも使える(一方で10型モデルのペンは8型では使用できない)ので、ペーパーライクフィルムや替え芯を使いたい場合は従来のペンを使うといいだろう。サードウェーブは従来のペンとペン先を引き続き販売するとしている。

  • 8型モデルに付属するペン(上)と、10型モデルに付属するペン(下)

新モデルではインタフェースも刷新。給電兼用のUSB Type-C×1、マイク入力/ヘッドフォン出力共用端子×1、SDXC対応のmicroSDカードスロットの3種類となっている。全体のポート数は減っているが、その分、USB-TypeC接続のドングルをオプションで用意する(税込3,000円)。

  • オプションとして発売するUSB-TypeC接続のドングル。USB Type-C、HDMI、USB Type-Aの端子が備わっている

このドングルにはUSB-TypeC、HDMI、USB-TypeAの端子が備わっており、USB-TypeCから給電しながらHDMIで外付けディスプレイに接続し、2画面で作業する環境を作れる。

さらに、漫画やイラストなどを描くクリエイターから、「USBメモリを使いたい」という要望を多く受けていたことから、旧来のUSB-TypeA端子も搭載した。

さらにキーボード一体型のカバー「カバータイプキーボード」もオプションとして発売する(税込4,000円)。発表会場に実物があったので試用してみたが、キータッチは良好。キーの配列も、不自然なところはない。

小型ノートパソコンのキーボードによくある「一部のキーの幅が狭すぎる」ということもない。オーソドックスな作りで、文書作成にも安心して使えるという印象を受けた。

  • オプションの「カバータイプキーボード」を装着したところ。タブレット本体とは、専用の端子でつながる

無線LANはIEEE802.11 ac/a/b/g/nに対応。Bluetoothは8型の製品が4.0までの対応だったところを、新製品では5.0に対応した。Webカメラは、表面、裏面ともに200万画素から、表面200万画素、裏面500万画素に改良している。

本体の外形寸法は約W245×D176×H9mm。バッテリー駆動時間はJEITA(電子情報技術産業協会)が定めているバッテリ動作時間測定法で約7時間。この数値は暫定的なものだが、7時間を下回ることはないという。

重量は本体が約657gで付属ペンが約5g。OSはWindows 10 Home 64bit。セルシスのペイントツール「CLIP STUDIO PAINT DEBUT」のシリアルコードが付属する。

プロのクリエイターも高く評価「これだけで一通りの作業ができる」

発表会に登場したやしろ氏とからめる氏は、発表前の製品を試用しており、両氏とも「どこにいても作業ができる」点を高く評価していた。画面サイズが8型から10型に拡大し本体サイズも大きくなったが、からめる氏は「10型はバッグに入れやすいサイズ。薄いのでバッグが膨らみすぎることもない」と語った。8型で好評だった「持ち運びやすさ」は画面が大きくなっても損なわれていないと言えるだろう。

  • からめる氏は「10型はバッグに入れやすい」と持ち運びやすさを高く評価

やしろ氏は最近、Web漫画家としての仕事だけでなく「テレビの撮影やラジオなど、外に出る仕事が増え、家で作業する時間が取れなくなってかなり困っていた」という。

しかし、新モデルを試用したところ「どこにも持ち運べるので、外出先のすき間時間や、タクシーや電車の車内など移動時間でも原稿ができて、メールも返せる。生活が便利になった」と、1日の時間の使い方が変わったと高く評価している。

  • 最近多忙になってきたというやしろ氏は、新モデルを使うことで、すき間時間や移動時間を有効に使えるようになったという

そして、画面が10型に拡大し、解像度が1,920×1,200ピクセルに上がったことで、イラストを描く作業スペースが広がっただけでなく、メールや資料などのウィンドウを表示させて、それを見ながら作業できるようになった点が便利だという。

からめる氏は「画面が大きめだから、自宅のPCに近い感覚で作業できる。アニメーションは、イラストを描くだけでなく、いろいろなソフトを使って作業するので、複数のウインドウを表示できると便利」とコメントした。

やしろ氏は「10型になって、作業スペース(絵を描く部分)がかなり広くなり、作業効率が上がり、作業がしやすくなった。資料を表示しながら原稿を描くこともできる。画面が大きくなってやれることが広がった」と語った。

新モデルでは画面サイズだけでなく、CPUやメモリ周りも強化された。8型製品も使っているというやしろ氏は「8型の製品では、レイヤー数が多くなったり、使う色の数が多くなると動作が多少鈍くなることがあった。新製品ではそういうことがまったくない。筆圧への追従にも違和感は感じなかった。ワコムのペンは軽く、充電などの必要がないので扱いやすい。自宅のPCで描いているような感覚で描けた」と従来モデルからとの違いに言及する。

一方のからめる氏は「自宅のPCは性能が高く、軽快に作業できるが持ち運べない。画面が大きめだからどこでも使え、自宅のPCに近い感覚で作業できる。猫が動くちょっとしたアニメーションを作ってみたが、ストレスを感じることはなかった」と、アニメーション制作にも十分使える性能を持っていると評価する。

どのようなユーザーにおすすめしたいかという質問にやしろ氏は「最近は絵を描くだけでなく、ライター業なども兼業している人が増えている。そのような人たちにおすすめしたい」という。

からめる氏は、新モデルを活用して生活を変えたいと語る。「家にこもりきりで作業していて、日光も浴びないような暮らしを送っているが、同じ場所に長くいると、アイデアも凝り固まってしまうので、外出して作業したいと思っていたところだった。この製品を利用していろいろなところで作業して、生活スタイルを変えていきたい」と、期待するコメントを残した。