これまで運転免許証を取得した時や銀行口座を開設した時、携帯電話を契約した時、就職した時、住民票を提出したような気がするけれど、正直あまりよく覚えていない……。まあ、公的な書類で、重要な書類だということぐらいはさすがにわかる……。
といったような、「もやもや」を抱えた方は必見です! 住民票について改めて学びましょう。特に引っ越しの前後にはさまざまな手続きが必要となるため、住民票の出番も多くなります。失敗例をもとに、住民票の取得から利用までの正しい手順を覚えていきましょう。
住民票とは? 手続きの仕方は? 使う場面は?「住民票」とは、個人を単位とし、氏名・生年月日・性別・世帯主との続柄・住所・本籍などが記載してあります。
つまりとても簡単にいうと、「その人がその場所に住んでいることを証明する書面」ということになります。
・住民票に記載されていること具体的には次のような情報が記載されます。
●住所
〇世帯主の氏名
●氏名
●生年月日
●性別
〇世帯主との続柄
〇住民票コード
〇個人番号(マイナンバー)
●住定年月日(その住所に住み始めた日)
●住定届出年月日(自治体に転入届けを提出した日)
●住民年月日(その自治体に住み始めた日)
〇本籍
〇筆頭者
●前住所(一つ前の住所)
●備考
※〇の記載は申請時に申し出が必要です。
・住民票の写し一般的に「住民票を持ってきてほしい」といわれたら、「個人」の「住民票の写し」を持参すれば問題ありません。また住民票には「謄本(とうほん)」と「抄本(しょうほん)」があります。違いとしては、謄本は世帯(家族)全員分の情報が記載されたもの、抄本は世帯員の一部(個人)のみの記載となります。つまり特別なことがないかぎり、住民票抄本を持参すればよいでしょう。
手続きの方法以下の3つの方法で住民票を取得することができます。
・役場の窓口現在住民票を置いている市・区・町村の役場などで取得が可能です。その役場にある「市民課」や「戸籍課」で案内に従って用紙に記入し、役場の職員に提出してください。役場によって金額が変わるので、確認してください。
必要なものは、身分証明書と印鑑です。自治体によって違いがあるので、各自治体のサイトなどで確認を忘れずに。また、代理人が申請する場合、委任状の提出が求められます。
役場で住民票を取得するメリットは、何か困った時にすぐ職員に聞くことができることでしょう。一方、デメリットとしては、平日の夕方までという限られた時間内に出向かなければならないことでしょう。しかし、市区町村によっては土日の受け取りが可能なところもあるようです。管轄の役場に一度問い合わせてみてください。
・郵送管轄の役場に出向くのが難しい場合、郵送での手続きが可能です。その際に必要となるものは、交付請求書・身分証明書のコピー・手数料・返信用封筒の4点です。
請求書はあらかじめ役場からもらっておくか、役場のホームページからダウンロードする必要があります。身分証明書に関しては、顔写真付きのものを原本ではなくコピーして同封しましょう。手数料は定額小為替を同封するのが一般的です。
その際、窓口の手数料より割高になっていることがありますので事前に確認しておきましょう。さらに返信用封筒にはあらかじめ切手を貼っておくのを忘れないようにしてください。なお郵送の場合、住民票の取得まで日数を要することがあるので、ご注意ください。
・コンビニエンスストア主要なコンビニエンスストアのマルチコピー機であれば、時間と場所を気にすることなく住民票の取得が可能です。(通常は毎日6:00~23:00まで)
ただし、手続きの際にはマイナンバーカードが必要になります。さらに役場によってはコンビニエンスストアでの交付サービスに対応していないこともありますので、しっかり確認してから利用しましょう。
引っ越し前後ではいつ使う?引っ越し前後の住民票の必要枚数は、人それぞれ必要な手続きの内容によってかなり異なってきます。住民票を提示するだけで住所変更が済む場合、コピーの住民票で代用できる場合もありますが、枚数が多いに越したことはありません。時には2枚以上の提出を求められるような場合もあるので、そういうケースではより注意が必要です。
ただし、運転免許証の住所変更の際は、住民票を必ず提出する必要があります。これは間違いなく必要になるので、準備を忘れずに。
小さなお子さんがいる場もは、学校の転校手続きに住民票が必要になります。運転免許証を持っている方で、小学生以上のお子さんがいる場合には最低でも2枚の住民票があると安心できるのではないでしょうか。
一概に必要枚数をお伝えできないので、あくまで参考程度の数をお知らせする形になってしまいましたが、ぜひ必要な枚数を一度で入手しておくことをおすすめします。何度も役所に行くのは面倒ですし、その作業が煩わしいがために手続きが遅れてしまうと、さらに面倒なサイクルに入ってしまうかもしれません。
住民票と転出・転入届の違い
引っ越しに関係する手続きで、一番大切なのが住民票の異動といっても過言ではないでしょう。国籍が日本の人は当然ですが、外国の方で長期滞在しているような人でも、日本のどこに暮らししているかを確実に登録する義務があるのです。この住民票を移すために必要な届出が「転居届」と「転出届」です。「住民票」と「転居届」、「転出届」の3つは似たようなタイミングで必要となるため混同しがちですが、役割が全く違いますので、しっかりと覚えておきましょう。
具体的には、同一市区町村内で引っ越しをした場合、「転居届」を提出する必要があります。他の市区町村に引っ越す場合は「転出届」と「転入届」を提出する必要があります。正しい手順で正しい書類を適切な期間に提出するのは意外と難しいかもしれませんが、丁寧な作業を心がけてミスのないようにしましょう。
3つの届出のよくある失敗転入していないにも関わらず誤って提出してしまうと、住民票を異動させたことになってしまい、法律に触れてしまうので注意が必要です。このように複雑で少しわかりにくいシステムになっているので、少しでも不安なところは実際に役所に行って聞いてみるのが一番の方法でしょう。
・移さないとどうなる?引っ越しをしたら住民票は移さないといけません。住民票の異動は必ず行うべき義務であり、罰則を受ける可能性まであることを頭に入れておくべきです。しかし、裁判例などをみると、以下のようなケースでは住民票を異動させる必要は必ずしもないといえるようです。
●生活の拠点が前の居住地から変わらない場合
●新住所に拠点を移すのが1年未満であるとわかっている場合
この例でいうと、例えば大学入学のタイミングで一人暮らしを始めた大学生は非常に判断が難しいケースといえるでしょう。もう実家に帰るつもりがなければ住民票を移すべきですが、一人暮らしをする期間によっては住民票の異動は必要ないといえるかもしれません。また、転勤などで1年以内に確実にもとの場所に戻ってくることがわかっているような場合にも住民票を移す必要がない場合があります。
大事な局面では住民票が必要!
人生において大事な局面では何かと住民票の提出を求められます。住民票を移していないばかりに大変なことになってしまうケースも考えられるので、事前にしっかりと手続きを終えておきましょう。例えば、運転免許・不動産登記・賃貸契約・就職・パスポートなどの更新や取得の場面は、住民票が必要になります。
大事な試験の日や旅行のタイミングに、住民票のトラブルでチャンスを逃してしまっては、悔やんでも悔やみきれないので、必ず事前に確認をしましょう。ましてや就職の機会やパスポート取得を逃すようなことがあれば、大きく人生を左右し兼ねません。そんなことにならないよう、住民票の知識をしっかりと持っておきましょう。
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