eSIM(イー・シム)とは、SIMカードの交換など物理的な措置なしにキャリアを変更する規格です。名称は通信機器に組み込まれたSIMカード(embedded SIM)に由来し、eSIMをサポートしたスマートフォンで利用できます。

iPhoneでは、2018年秋発売のiPhone XS/XS Max/XRでeSIMに対応しました。2枚のSIMを同時に装着できる「デュアルSIM」のサポートは、通常の(物理的な)nanoSIMカードとeSIMによって実現されています。iOS 12.1以降のシステムでは、すでに運用しているnanoSIMカードはそのままに、他のキャリアと契約することでeSIMを有効化し、デュアルSIMとして利用できます。

ただし、eSIMを利用するためには、キャリア側がeSIMに対応する必要があります。キャリアがeSIMで利用できる通信プランを用意し、それを契約したiPhone XS/XS Max/XRユーザがeSIMを利用できるというわけです。2018年12月現在eSIM対応プランを提供する国内キャリア/MVNOは存在しないため(海外キャリアと日本国内で契約する方法もありますがここでは除外します)、残念ながら日本のiPhoneではeSIMの利用は現状困難といえるでしょう。

今後eSIM対応プランを提供するキャリアが現れたとしても、「SIMロック」の問題が残ります。eSIMを利用するということは、端末を購入したキャリア以外のSIMを利用できるということですから、SIMロック解除済またはSIMフリーのiPhoneが前提ということになります。端末を購入したキャリアと同じ系列のMVNOならば利用できますが、選択肢は狭まります。

デュアルSIM/eSIMをiPhoneで利用できれば、仕事用とプライベート用で異なる電話番号を使うとか、音声通話込みのプランとデータ通信専用プランを使い分けるといった活用が可能になりますが、その実現にはしばらく時間がかかりそうです。

  • iPhone XS/XS Max/XRは「eSIM」に対応していますが……