アニソンシンガー・鈴木このみのシングル「蒼の彼方」のリリースを記念したフリーライブイベントが11月3日、ラゾーナ川崎プラザ ルーファ広場にて開催された。フリーライブらしからぬ全7曲・40分もの大ボリュームのステージで、自身のファンのみならず通りがかりの買い物客も、その歌声で魅了していった。
▼小雨の中、のっけからパワフルな歌声が炸裂!
開始前から、ステージ前の広場ステージ近くには大勢のファンが。3階デッキからステージを見る人も数多く集まり、開演の時を待つ。ステージ開始時にはあいにくの小雨がパラつく空模様だったものの、鈴木が呼び込まれたところで流れ始めた「DAYS of DASH」のイントロに、ルーファ広場は沸き返る。
そこに笑顔で飛び出してきた鈴木は、イントロでステージの縁をはしゃぎながら駆けて笑顔のままステージスタート。野外ステージを突き抜けるような歌声を響かせながら、1-Aメロで上手・下手の両側のデッキへも手を振ったり、歌詞の「君」の部分もうまく活用して観客に指をさしたりと、1曲目から観客とのコミュニケーションも色濃く意識したパフォーマンスを展開。
それを受けた観客からも、落ちサビでの恒例のシンガロングや大サビでのコールなどが沸き起こる。そして最後は伸びやかに、長く長くロングトーンを聴かせて曲を締めくくると、一転キリッとした表情で強いボーカルを叩きつける「Beat your Heart」に。少しばかり強くなった雨も関係ない!とばかりに、それに打ち勝つようなパワフルすぎるステージングを続けていく。また、2サビ明けにはジャンプ禁止の会場であることを引き合いに、その分大きなコールをファンから引き出すことに成功。
そのままパワフルにライブを締めくくると、今度はハッピーに盛り上がれるナンバー「Nice to Me CHU!!!」へ。1サビでメッセージカードを取り出すと、それを“今日のラッキーさん”に選ばれた観覧スペース最前の女性にプレゼント。こちらも恒例・楽曲通りの掛け合いで観客参加の楽曲とする。また、普段はバンドメンバーとの掛け合いになる間奏部分は、カラオケであることを逆に生かしてエアキーボードにエアギターではしゃぎまくって、楽しくカバーリング。最後には3Fデッキも巻き込んでクラップを起こし、楽しさ100%の1曲を締めくくったのだった。
曲明け、今回のフリーライブについて「たくさんの人に聴いてほしくて、『いつもと違うことやりたいな』と思って開催してみました!」とその開催理由を改めて語り、続けて「(お客さんが)三分の一ぐらいだと予想してました!」と予想以上の盛況ぶりに喜びもあらわにする。そしてにわかに強まってきた雨を引き合いに、「雨を蹴散らせるぐらいのライブをやろうと思ってます!」と宣言。
コールも交えて会場中の心がひとつになったところで、ニュー・シングルのカップリング曲「Weak and Brave」の披露へ。自らが歌詞を手がけ、母をイメージして言葉を紡いだこの曲を歌う前に、観客へ「大事な人を思い浮かべて聴いてください」と語りかけてから歌われたこの曲は、冒頭3曲とはまた違う、歌声に想いを込めることを最優先にした聴かせるナンバーとして、会場全体をゆっくりと見渡しながら届けられていく。それは大切に歌われながらも決して独りよがりではなく、届ける・聴かせることを大事にされた1曲だった。
そして今度は、ライブの定番曲になりつつあるタオル曲「Sky Blue OASIS」へ。これを気持ちよさそうにスカッとした表情でファンとの掛け合いを楽しみながら歌いゆき、彼女もファンもタオルを手にし、サビではそれを回しまくる。2サビ明けのコールは雨に打ち勝つようなアツさを持ったもので、改めて野外の似合うアーティストと曲であることを感じさせてくれた。鈴木自身も、曲のラストに「よくできましたー!」とシャウトし、その盛り上がりに大満足。
▼歌声の力とファンの力が、ラゾーナに起こした奇跡
「フリーライブをやるからにはたくさんの人に私の曲を知ってほしくて。それで40分もライブをさせていただけて、本当にうれしいです」と、改めてこのステージへの想いを語ると、いよいよ新曲「蒼の彼方」の披露へ。
冒頭からクラップで盛り上がるこのロックチューンは、A・Bメロのスーッとした爽快感のある歌声と、力強く突き抜けていくサビの歌声とのコントラストが魅力な1曲。しかもこの日はサビ頭ではCD音源以上の力強さが込められており、そのコントラストがより鮮やかに現出していた。また、2サビ明けの間奏でステージのへりまで出て歓声を受け止め、さらにそれを煽る姿は本当に幸せそうで楽しそうなものだったし、大サビ直後のコール部分を支えるファンの声も、互いのいい関係性を表したものに。そうしてこの曲が歌い終えられた頃には、いつの間にか雨は上がっていた。
そのまま流れ始めたのは、必殺ナンバー「This game」のイントロ。その流れるなかで「初めてのことだったから不安だったけど、こんなにたくさんの人と楽しめて本当にうれしかったです!」と挨拶してから、パワフルなステージを最後の最後まで見せていく鈴木。Aメロ後半のコール部分での盛り上がり具合もとにかくすさまじく、歌声の聴かせどころに加え、スキを見てはデッキを指さしたりと観客を巻き込む試みも最後まで忘れない。そんな強すぎるシンガーは、大サビ前の「この世界 手にして」のフレーズでさーっと腕で観客をさらって、直後の大サビで大爆発。元々のファン以外のたくさんの人々にも歌を聴いてもらう絶好の機会を活かすような、素晴らしい40分間を見せてくれた。
曲が終わったところで、ステージには「HAPPY BIRTHDAY」が流れ始める。しかしそれになかなか気づかず、客席のあらゆる方向へ最後の挨拶をする鈴木。と、観客の大合唱でようやく気づき、驚いたところで「蒼の彼方」のジャケットをプリントしたバースデーケーキがステージに登場。2日後・11月5日に22歳の誕生日を迎える彼女へのサプライズは、見事に大成功だ。そしてそのケーキを手にしながら、ファンをバックに記念撮影。一礼後にデッキにも手を振り、「今日は来てくださって、そして足を止めてくださった皆さんもありがとうございました! 本当に、濃い1年だったなぁと思うと同時に、次の1年も頑張りたいなと思っているので、よろしくお願いします!」と挨拶し、端から端まで手を振って、笑顔でお礼をしながらステージを降りたのだった。
フリーライブ後には、CDの購入者を対象にした特典会も開催。気づけば上空には青空までものぞくなかで、短いながらもファンとの交流を、お互い笑顔で楽しんでいた。
●鈴木このみ「蒼の彼方」リリース記念 フリーライブ
【SET LIST】
M1.DAYS of DASH
M2.Beat your Heart
M3.Nice to Me CHU!!!
M4.Weak and Brave
M5.Sky Blue OASIS
M6.蒼の彼方
M7.This game