JR東海は12日、特急「ひだ」「南紀」に使用している特急形気動車キハ85系の取替えを見据え、2019年末に走行試験を開始する予定の「ハイブリッド方式の次期特急車両(試験走行車)」のデザインと、安全性を高めるために新たに導入する技術について発表した。
「ハイブリッド方式の次期特急車両(試験走行車)」は飛騨・南紀地区をイメージした「和」をコンセプトにデザイン。エクステリアは「漆器の持つまろやかさや艶のある質感」をコンセプトとし、とくに先頭車の前面・上部・照明をなめらかな曲線形状として「和」を表現するとともに、車両の前面から側面につながるオレンジ色の帯を曲線とすることで「躍動感」も表現している。
グリーン車のインテリアデザインは「落ち着いた上質感」をテーマとし、沿線の新緑と美しい川や夕暮れの紫の空をグラデーションで表現したほか、落ち着いた濃い茶色の木目調の内壁で「木のぬくもり」を演出した。普通車のインテリアデザインは「明るいワクワク感」をテーマとし、沿線の紅葉と祭り・花火のイメージをグラデーションで表現したほか、明るい茶色の木目調の内壁を採用し、こちらも「木のぬくもり」を演出している。
車内では快適性・利便性を追求した設備として、「コンセント(全座席)」「客室内荷物スペース」「温水洗浄機能付洋式トイレ」「防犯カメラ(客室・デッキ)」「防音床」「セミアクティブダンパ(グリーン車)」も導入する。
安全性を高めるために新たに導入する技術として、エンジンで発電した電力と蓄電池に貯めた電力を組み合わせ、モーターを回して走行することで、安全性・快適性の向上や環境負荷の低減が期待できるハイブリッド方式に加え、溶接箇所を少なくして重要溶接部を約6割削減(313系との比較)した「一体成型による新型台車枠」、台車の振動状態を常時監視し、異常が発生した場合に迅速に検知する「振動検知装置」、車両状態のデータを車両基地等に送信する「車両・地上間のデータ通信」を導入している。
「車両・地上間のデータ通信」では、送信されたデータをメンテナンスに活用することで異常の発生を抑制するほか、ダイヤが乱れたときに運行情報を客室内の案内表示器に表示することで、乗客への案内を充実させるという。
試験走行車は2019年末に完成予定。その後、1年間をめどにハイブリッド技術の確立に向けた基本性能試験と長期耐久試験などを実施し、2022年度を目標に量産車を投入する方向で検討を進めるとしている。