「ボーナスはあるけど、月給は低い。ボーナスはないけど、月給は高い。これってどっちが得なの? 」と考えたことはありませんか。もし同じ年収であれば、一体どちらがお得なのでしょうか。それぞれのメリット、デメリットを解説します。

  • ボーナスはあるが月給は低い、ボーナスはないが月給は高い、どっちがお得?

    ボーナスはあるが月給は低い、ボーナスはないが月給は高い、どっちがお得?

ボーナスはあるが月給が安い場合

<メリット>

・ボーナスをもらえるお得感がある
ボーナスがあると、月給以外に大きなお金がもらえるお得感があります。特に、普段の月給が安ければ、ボーナスの額面に対する喜びはより一層大きなものとなるでしょう。

・生活にメリハリができる
ボーナスがあれば、毎月の給料では購入できないものをボーナスで買える楽しみができます。また、日々の生活は月給の範囲内で行うことになるため、節約の習慣を身につけることもできるでしょう。

・ボーナスでやる気もアップ
ボーナスは、一般的には仕事ぶりを高く評価された社員ほど多く支給されるものです。ボーナスをたくさんもらえるとなれば、夏と冬の年2回のご褒美を楽しみに、次の仕事へのモチベーションもアップすることでしょう。

<デメリット>

・ボーナスをあてにしたマネープランを立てがち
ボーナスをもらうことに慣れてくると、ついボーナスをもらうことを前提にマネープランを立ててしまいやすくなります。しかし、ボーナスの支給は会社の業績などによっても左右されるため、毎回例年通りもらえる保証はありません。そのため、ボーナスに頼りすぎない計画を立てる必要があります。

・ボーナス払いに頼ると危険
月給が低いと、どうしてもローンはボーナス払いの比重が高くなります。しかし、ボーナス払いに頼ってばかりいると、万が一ボーナスを減額あるいはカットされてしまった場合には支払いが滞る危険性があります。

ボーナスはないが月給が高い場合

<メリット>

・ボーナスをあてにしないマネープランが立てられる
月給は、会社の都合で勝手に減額したりカットしたりすることはできません。毎月ほぼ決まった金額が手に入るため、マネープランが立てやすくなります。

・残業手当などが多くなる
月給が高いと、それを基に計算される時間外労働、休日労働、深夜労働といった割増賃金の増加額も大きくなります。たとえば、時間外労働によって支給される残業手当は、通常の時間単価の1.25倍です。つまり、通常の給与が高いほど、割増賃金の対象となる手当の額が大きくなるのです。

・高収入なら社会保険料がお得なことも
給与から差し引かれる社会保険料(協会けんぽ)のうち、健康保険料、介護保険料(40歳~64歳)、厚生年金保険料は、月給が高い方がお得になる場合があります。

ボーナスに対する社会保険料は、その総支給額から1,000円未満を切り捨てた金額に地域ごとの保険料率をかけて計算されます。

たとえば、東京都の平成30年4月分以降の保険料率(従業員負担分)は、
健康保険料、介護保険料……5.735%
厚生年金保険料……9.15%
となっています。

仮に、ボーナスが50万円の場合は、
健康保険料、介護保険料……2万8,675円
厚生年金保険料……4万5,750円
がかかる計算です。

一方、月給に対する社会保険料は、「標準報酬月額」といって毎年4月から6月の給与の平均から1年間の分が決まります。標準報酬月額には、ボーナスと同じ保険料率がかかるため、標準報酬月額50万円の保険料は、先ほどのボーナス50万円の保険料と同額です。つまり、ボーナスと給与の社会保険料は、通常はあまり差がありません。

ただし、年収が高くなるほど月給が高い人の方がお得になる場合があります。同じ年収1,200万円で、Aさん(月給75万円 ボーナス150万円×2)、Bさん(月給100万円)の社会保険料を東京都の料率で計算すると、それぞれの年間保険料は、

Aさん 約164万円
Bさん 約139万円
です。

この差がどのように生じるかというと、標準報酬月額では、健康保険・介護保険は139万円まで、年金保険料は62万円までしか等級(標準報酬月額ごとの位)がなく、そこを上限に社会保険料が設定されているからです。そのため、月給が高いBさんの方が、社会保険料を抑えやすいのです。

<デメリット>

・ご褒美をもらえるワクワク感はない
ボーナスがなければ、「今年はいくらもらえるかな」というワクワク感を味わうことはできません。「冬のボーナスの平均支給額は? 」というニュースを見たり、ボーナスをもらった友人などと話したりすると、少し切ない気持ちになってしまいます。

・資金管理が重要に
ボーナスがないと、特別な出費や高価な買い物に充てる費用は、普段の生活費と分けて自己管理で捻出しなければなりません。浪費しやすい人や、お金の管理が苦手な人は要注意です。

ボーナスありなし、どちらがお得?

それでは結局、ボーナスがあるのとないのではどちらがお得なのでしょうか。ボーナスをもらえた方が楽しみは増え、生活にもメリハリが出ます。しかし、割増賃金や社会保険料、そしてボーナスのように不安定な要素がない点から考えると、総合的にはボーナスなしで月給が高い方がお得といえるでしょう。

今回はあくまで、年収は同じで「ボーナスはあるが月給は低い」「ボーナスはないが月給は高い」という2つのケースを比較しました。ワクワク感が味わえることを除けば後者の方がお得という結論に至りましたが、どちらにも良いところがあります。それぞれのメリット、デメリットを参考に、ぜひご自身のマネープランに活かしてみてください。

武藤貴子

ファイナンシャル・プランナー(AFP)、ネット起業コンサルタント

会社員時代、お金の知識の必要性を感じ、AFP(日本FP協会認定)資格を取得。二足のわらじでファイナンシャル・プランナーとしてセミナーやマネーコラムの執筆を展開。独立後はネット起業のコンサルティングを行うとともに、執筆や個人マネー相談を中心に活動中。