ビジネスマンは社会経験を重ね、職場での立場も上がってくると、相応の装いが社会的に求められます。そしてなにより、頑張ってきた自分へのご褒美も必要です。そんな時の最適なアイテムは、消耗品でない「大人の時計」。高級時計は定期的な手入れさえ怠らなければ、何十年も時を刻み、当然、世代を超えて愛用され続けます。初めて身に着けた瞬間の高揚感と誇り。それは選ばれし者だけが知る喜びです。
まず、選ぶ基本原則は次の通り。
- 時計ブランドとしての明確なポジション
- 一目で価値が伝わるデザイン
- 語るべき確たるストーリーがある
- マニアックでなく一般認知がある
では、解説とともに楽しいセレクションをご紹介しましょう。
グランドセイコー SBGR271
シンプルな本体とブレスレットの一体型デザイン。ホワイトの文字盤を囲む赤い4分の1秒目盛り。メカニカルの精度への自信が刻まれています。作りこみが生む、無駄な飾りのない全体の上質な質感。寡黙な大人に似合う、本物の作品です。多くを語らずとも伝わるその歴史と存在感は圧巻です。価格は432,000円。
シチズン エコ・ドライブワンAR5044-03E
技術としての完成形を求められる時計。その完成度は、水深や正確さなど多くの部分に現れます。シチズンが到達した完成形は、すべてをそぎ落とした薄さと正確さです。たった1mmの中に85個の部品を内蔵。本体素材をはじめ、すべてを内製できる技術力にマニファクチュ―ルとしての誇りと使命感が融合した完成品です。
わずかな光で時を刻み続けるエコドライブシステム。シンプルながらも気高いフェイス。とくに手首の細い方には最善の選択です。「価格は価値に見合えば良い」。一目瞭然の主張は、その価値を一瞬で理解させるでしょう。価格は756,000円。
TUDOR BLACK BAY(チューダーブラックベイ)
ロレックスグループでありながら、日本で正式販売されてこなかったチューダー。今年10月末から正式発売となりました。ダイバーウォッチがフランス、アメリカなどの海軍で採用される信頼性。ジュネーブウォッチメイキングで連続グランプリを獲得する技術力の高さなど、世界でその名を知らない業界人はいません。
スタンダードとも呼べる、スリムなケースとポリッシュド(磨き仕上げ)スチールの固定ベゼル(フェイス周り)。サイズも32mm、36mm、41mmと3種類あり日本人にはうれしいポイントですね。本物で希少性の高いスイスブランドを好まれる方にはぜひおすすめです。価格は32mm:291,600円、36mm:302,400円、41mm:313,200円。
カルティエ サントス ドゥ カルティエ ウォッチ MM
「宝石商の王」と呼ばれるブランド。懐中時計全盛の1904年、ルイ・カルティエは友人のサントス・デュモンのために、飛行中にも見ることができる世界初の腕時計を製作し、業界に革命を起こしました。これはそのサントスの名を冠したシリーズの一つです。
ステンレススチールとゴールドの洗練されたジュエラーらしい組み合わせ。サイズは日本人向けのMMです。リューズ(つまみ)にも7面加工されたシンセティックピネル(人工宝石)が飾られています。ディティールはさすがカルティエ。ベルトはブレスレットとレザーストラップに交換可能な「クイックスイッチ」システムを搭載。シーンにあわせて使い分けができます。価格は1,058,400円。
オメガ スピードマスター プロフェッショナル クロノグラフ
世界でもっとも有名なクロノグラフ時計です。1957年の発表以来、視認性・高精度・堅牢性が特徴です。NASAの宇宙飛行士が使用しているというのも有名な話で、別名「ムーンウォッチ」とも呼ばれています。先進性を持ちながら手巻き式のムーブメントという"頑固さ"も男心に沁みこみます。
ステンレスのスチールケースには、同素材のブレスレットだけでなくレザー素材のベルトも着用可能。スポーツマンタイプや大柄の方にはぴったりです。価格は572,400円。
ボーナス時期ということで、今回は価格を気にせずセレクトしてみました。自分へのご褒美でもありますが、時計に負けないほど成長した時にこそ似合うアイテムです。さらなる次元を目指して時計を選んでみてください。あなたの限りない夢や目標に似合う時計が、たくさん用意されています。
※価格はすべて税込み。
筆者プロフィール: たかぎこういち
スタイルアドバイザー。タカギ&アソシエイツ代表。1952年大阪生まれ。若くして輸入服飾雑貨卸業を大阪で起業。その後1998年現フォリフォリジャパングループとの合弁会社取締役に就任して以来、アニヤ・ハインドマーチ、オロビアンコ、リモワ、マンハッタンポーテージ等の海外ファッションブランドを日本市場に紹介、成功させる。
また、「東京ガールズコレクション」「デザイナーズ&エージェント」など国内外のファッションイベントにも参画。現在は日本のビジネスパーソンのファッションリテラシー向上を目指して体系化したオリジナルの「6ポインツ・メソッド」を伝えるべく、「日経DUAL」「WEDGE Infinity」などへの記事執筆や文化服装学院、東京モード学園で講師としても活動中。
著書に「オロビアンコの奇跡」「LIKABLE GUY STYLING FILE」共に繊研新聞社刊「一流に見える服装術」日本実業出版社他。