引っ越し前後にはやらなければならない手続きや準備が山のようにあふれています。チェックリストをつくるなどして一つひとつ着実にクリアできる人であればまったく問題はありませんが、そううまくはいかないのが現実です。
それならば、重要度の高いことだけでも確実にクリアしたいもの。特に気を付けたいのが「住所変更」です。なぜなら、住所変更をしないと、新住所に届く予定の郵便物が旧住所に届いてしまった……などのトラブルが起きてしまうのです。
これにより引っ越し後に行う予定だったその他の手続きが滞ってしまったり、既に旧住所に新しい居住者がいた場合、個人情報が漏れてしまうという危険性も出てきます。
こうならないためにも正しい手続きを踏んで、郵便物のトラブルを未然に防ぎましょう。
住所変更は早めに
引っ越しの日取りが決まってからやるべきこととして、役所での「転出届」があります。しかし郵便物の住所変更とは異なる手続きなので注意が必要です。役所での手続きとは別に、郵便のことは郵便局で手続きをしなければなりません。
申し込みを済ませれば、旧住所宛ての郵便物等を1年間無料で新住所に転送してくれます。なお、新住所へ引っ越してから手続きをすることも可能です。
郵便局の転居・転送サービス
手続きは、近くの郵便局の窓口に行くほかスマートフォンやパソコンを使ってインターネットからも「e転居」というサービスを使用して行うことができます。転送期間は、転送開始希望日ではなく届出日から1年間となります。
郵便局の窓口
窓口では、本人確認のできるもの(運転免許証、各種健康保険証など)と、旧住所が確認できるもの(運転免許証、パスポート、住民基本台帳カードまたは住民票など官公庁が発行した住所の記載があるもの)が必要です。
e転居
利用の際には、電話番号とメールアドレス(PCサイトから利用する際は携帯電話のメールアドレスは不可)が必要になります。
郵便以外の住所変更も忘れずに引っ越しをするにあたり、郵便物以外の住所変更も同様に必要です。役所での住所変更が済めば公的機関から届く書類の一部には住所変更が反映されますが、自宅に届く書類や宅配物はそれだけではありません。
宅配サービスの住所変更
主要な宅配サービスの住所変更もしておきましょう。郵便局と同様に、インターネットから手続きが可能なサービスもあります。詳しい方法は各サービス会社に問い合わせてみましょう。
カード会社の住所変更
利用明細のように定期的に届く書類もあれば、規約改定の案内など不定期で届く書類もあります。いずれにせよクレジットカード会社から届く書類には重要な情報が記載されていることが多いです。カード会社の案内にそって住所変更の手続きを忘れずに済ませましょう。
ネット通販販売元の住所変更
引っ越してから初めて利用するタイミングに合わせて変更すれば問題ありません。とはいえ、もし住所変更を忘れたまま購入してしまうと、旧住所に新しく住み始めた人にも迷惑をかけてしまいます。引っ越し先の住所と日時が確定した時点で早めに住所変更を済ませるのが無難です。
そのほかにも引っ越しの前後で住所変更の届出をすべきところはたくさんあります。インターネットプロバイダ・電話などの通信サービス、運転免許証の書き換え、また各種ポイントカードの登録住所も変更したほうがよいでしょう。
自分宛ての郵便物が届かないと気付いたら
新居に引っ越してからしばらくして、「届くはずの郵便物(あるいは宅配物)が届いていない……」と気付くことがあるかもしれません。そんなときはどうすればよいのでしょうか。
住所変更をしたか確認
まずは上述のように住所変更の手続きを済ませたのか確認しましょう。引っ越しの慌ただしさで、忘れしてしまったり済ませたと勘違いしていたりすることがあるかもしれません。インターネットで手続きを済ませたのであれば、各社からの確認メールをチェックするのがたしかです。もし郵便局と主要な宅配サービスの住所変更手続きがまちがいなく済んでいるのであれば、具体的に対処しなければなりません。
配送業者がわかっている場合の対処方法
郵便で届く、宅配業者Aから届く、というように配送業者が明確な場合は、窓口や電話で問い合わせてみましょう。郵便物であれば、受取人が不在の場合には7日間の保管期間を経て差出人に返送されます。またハガキなどポストへの投函物についても記録が残っているので確認してもらうことができます。
すでにポスト投函された場合の対処方法
郵便局で旧住所のポストにすでに投函されたという事実確認が取れた場合は、郵便局員の指示を仰ぎましょう。場合によっては受取人に連絡を取ってもらえるかもしれません。あるいはご自身で前の大家さんや不動産会社に連絡をして確認してもらうというのも一つの手です。受取人が何かしらの手続きを取ってくれていることもあり得ますが、あまり期待し過ぎないほうがよいでしょう。
配送業者が不明な場合の対処方法
例えば家具や電化製品などを購入したのであれば、販売元に問い合わせるのが一番です。先方の手配に不備があったのかもしれませんし、こちらに書き損じがあったのかもしれません。ほかのケースでも同様に、配送業者が不明の場合は販売元や差出人に確認しましょう。
引っ越し前なのに郵便物が届かない……
いっぽうで、引っ越しの直前に届くはずの郵便が届かないということもあるかもしれません。これは転送開始希望日をまちがえている可能性が高いです。この場合、新住所のポストに投函されていることが考えられます。まずは手元の確認メールや控えをチェックして、必要であれば申し込みをし直しましょう。
知らない人宛ての郵便物が届いたら
ご自身宛ての郵便物が旧住所に届いてしまうことがあるように、引っ越し直後には知らない人宛ての郵便物や宅配物が届いてしまうというトラブルが少なくありません。
無視してはいけません!
法律により郵便物の誤配達を受けた人は、しかるべき対処をしなければなりません。無視したり勝手に処分したりしてしまうと、最悪の場合、罪に問われる可能性があります。面倒だとは思いますが、持ちつ持たれつの関係だと割り切って、しかるべき対処をしておきましょう。
誤配郵便物への対応
対応方法としては2つあります。1つ目は、郵便物の表面に誤配である旨を記載した付せん等を貼って郵便ポストに投函するという方法。そしてもう1つは、郵便物の誤配があった旨を最寄りの郵便局、あるいはお客様サービス相談センターに連絡する方法です。いずれの場合も郵便局が配達した郵便物にかぎります。
誤配宅配物への対応
宅配をおこなった業者に連絡して指示を仰ぎましょう。なお誤配の宅配物を開封してしまうと問題が大きくなります。特に故意に開封した場合は罪となりますので絶対にしないようにしましょう。
トラブルを最小限に抑えるためには、宅配物を開封する前に差出人と宛名をしっかりと確認する習慣をつけることが大事です。ご自身が玄関で直接受け取る時は配達員と一緒に確認してからサイン(押印)しましょう。宅配ボックスの場合でも同様に、開封前にしっかりと確認すればトラブルを未然に防ぐことができます。
表札をつけましょう!
自身で簡単にできる、誤配を未然に防ぐための対策方法は表札をつけることです。昨今では、一人暮らし、かつ賃貸契約の人の多くが表札をつけていません。個人情報の観点からいえば、住居を特定されないための手段として有効ですし、表札をつけるのに抵抗感があるという人も多くいるでしょう。
無理してつける必要はありませんが、「名字だけの記載にする」「誤配が比較的多い引っ越し直後のみつける」というように、両方をうまく合わせた手段を取ってみるのもよいのではないでしょうか。立派な表札をつける必要はないので、状況をみながら適宜判断してみてください。
郵便のトラブルを回避するために
ご自身の引っ越し日時が確定したら、なるべく早めに郵便局や宅配サービスの住所変更を済ませましょう。その際のポイントは、転送を開始する希望日をまちがえないことです。また、もし郵便トラブルにあってしまった場合、どうすればいいのかわからない時や困ってしまった時は、ひとまず郵便局(あるいは宅配業者)に相談してみるのが最善の方法だといえるでしょう。
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