今年で3度目となる日米ポップカルチャーの祭典『TOKYO COMIC CON2018(東京コミコン2018)』が11月30日、12月1日、2日の3日間にわたり千葉・幕張メッセにて開催され、初日の11月30日には「ウルトラマンスペシャルステージ」と銘打たれたトークコーナーがコミコンステージで行われた。
「ウルトラマンスペシャルステージ」は前半の『ウルトラマンR/B(ルーブ)』の"映画版"『劇場版ウルトラマンR/B(ルーブ) セレクト! 絆のクリスタル』制作発表会と、後半の『TDG(ティガ・ダイナ・ガイア)プロジェクト』のトークショーで構成された。ここでは、後半の「TDGプロジェクト」についてのトークの模様を詳しくお伝えしよう。
「TDGプロジェクト」とは、1996年放送の『ウルトラマンティガ』、1997年放送の『ウルトラマンダイナ』、1998年放送の『ウルトラマンガイア』という、円谷プロダクション制作の"平成ウルトラマンシリーズ"3作の魅力を、20年という月日が経った現在において改めて見つめ直し、出演者トークイベントや商品展開、書籍化といったさまざまな企画を発信して、盛り上げていこうというプロジェクトのことである。
トークゲストとしてステージに現れたのは、今年で放送開始20年という節目を迎えた『ウルトラマンガイア』より、ウルトラマンガイアに変身する高山我夢を演じた吉岡毅志と、ウルトラマンアグルに変身する藤宮博也を演じた高野八誠。吉岡は「みんな、こんにちはーっ! 今日は楽しんでください!!」と、20年前の我夢のイメージそのままに若さとはつらつとした笑顔で挨拶。一方の高野は「はい、みなさんこんにちは……。ぜんぜん(吉岡と)テンションが違いますけれど(笑)よろしくお願いします」と、こちらも藤宮のクールさを意識したかのようなローテンションでの挨拶を行い、この好対照のコンビをひさびさに観たファンから熱い声援を浴びていた。
トークの話題は、『ウルトラマンガイア』放送20年を記念して、今年の8月23日に池袋サンシャインシティ『ウルトラマンフェスティバル2018』内で開催されたイベント「超時空のフェスティバル」の感想から始まった。吉岡はイベントを振り返って「小さいころに『ガイア』を観てくれていた子どもたちが20年後、大きくなってイベントに駆けつけてくれたことがうれしかった」と、放送当時のファンがふたたび応援に来てくれたことに感激したと語った。高野は「渡辺裕之さんや平泉成さんとひさびさにお会いできて、なんか同窓会のようで楽しかったです」と、当時の共演者と再会できたことについて喜びを見せていた。
そして「超時空のフェスティバル」が今回、大阪のひらかたパークで催される「ウルトラマンフェスティバル」内で12月27日19:00より行なわれることが決定。吉岡はこれについて「関西でもウルトラマンフェスティバルをやっていたのは知っていましたが、僕たちが行くのは初めて。楽しみにしています!」と、大阪の『ガイア』ファンに会えることに大きな期待を抱いている様子を見せた。
また、東京コミコン会場内の「円谷プロブース」では、『ウルトラマンガイア』をはじめとするウルトラマンシリーズのキャラクター展示やアイテム販売が行なわれているが、ステージ上の吉岡と高野が着ているTシャツもまた、物販コーナーにて販売されているものであった。2人はそれぞれのTシャツの柄を客席に向かって見せ、円谷プロブースを改めてアピールしていた。
『ウルトラマンティガ』『ウルトラマンダイナ』『ウルトラマンガイア』の"平成ウルトラマンシリーズ"3作を改めて盛り上げていこうという趣旨で立ち上げられた「TDGプロジェクト」のイメージビジュアルは、3作においてヒーローや怪獣のデザインワークを手がけた丸山浩氏の描きおろしによるもの。これを見た高野は「ここにはアグルが入ってないんだよね」と残念がっているため、吉岡がフォローの意味を込めて「TDGの"T"は"高野"ってことで(笑)」と発言し、ステージに笑いを誘っていた。
ここで、「ちょいちょいちょい! 呼んでもらわないと困るでしょう! せっかくここに"D"がいるんだから!」と叫びながら登場したのは、前半部にて『劇場版ウルトラマンR/B(ルーブ) セレクト! 絆のクリスタル』の主題歌を歌うと発表されたばかりのつるの剛士だった。つるのは『ウルトラマンダイナ』でウルトラマンダイナに変身するスーパーGUTS隊員アスカ・シン役を熱演し、バラエティ番組で大ブレイクした後もたびたびウルトラマンシリーズにアスカとしてゲスト出演を果たしている。吉岡、高野と顔を合わせたつるのは「あれ? 今日は"T"はどうしたの?」と、平成ウルトラマンの第1作『ウルトラマンティガ』でウルトラマンティガに変身するダイゴ隊員役で出演していた長野博(V6)の不在により、3作品の主演俳優が揃わなかったことを惜しんでいた。
つるのは『ウルトラマンR/B(ルーブ)』に出演中の"現役"ウルトラマンである平田雄也、小池亮介たちから「幼いころ観ていました」と言われたことについて「うれしいねえ。21年前にダイナを観てくれた子どもたちが、今は後輩ウルトラマンになって同じステージに立てるとは!」と感激しつつコメントした。
それまでの「ウルトラマンシリーズ(実写作品)」では、M78星雲・光の国から地球にやってきたウルトラマンたちが、人々を脅かす怪獣や宇宙人を相手に戦うという設定が主であったが、長いブランクを経てひさびさに"復活"した『ウルトラマンティガ』では、ウルトラマン世界の刷新を図り、「3000万年もの"超古代"から現代に甦った光の巨人」といった、過去のウルトラマンとは接点を持たない新設定が作り出され、平成時代に入っての新作(国産)テレビシリーズ第1弾ということで「平成ウルトラマン」という呼び名で親しまれた。『ティガ』の続編として作られた『ダイナ』、そして前2作とは別な世界観でSF性を高めた『ガイア』の3作は、平成ウルトラマンシリーズの基礎を築き上げ、人気を高めた作品群ということで、放送から20年以上を経た現在、ふたたびその面白さ、内容の濃さを観直す時期に来ているといえるだろう。
MCから「撮影当時、20年後(つまり現在)の状況をどのように想像していた?」という質問が飛ぶと、吉岡は「当時は10代だったので、先のことなんてまったく考えていなかった」と、当時19歳という若さで主役を務めていたころを振り返って語った。高野は「車が空を飛んでいると思った」と、90年代に空想されていた「21世紀の未来社会」をイメージしてコメント。そこですかさず、つるのが「今日、コミコン会場に"デロリアン"が来てるんだよ!」と、映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』で80年代から21世紀の未来へ向かうスーパーカー型タイムマシン「デロリアン」が展示されていることを興奮気味に高野に伝える場面があった。つるのは未来の想像について「子どもが5人いて、幸せな家庭を築いている」と発言。吉岡が「じゃあ、夢は叶っているってことですね!」と、実際に5人もの子宝に恵まれ、よきパパぶりを発揮しているつるのに優しい言葉をかけた。
これからの「TDGプロジェクト」にどんな期待をかけるか?という問いに、つるのは「今でも『ダイナ』を観ていましたといろいろな人から声をかけられる。今回だけでなく、これから40年、60年と節目の時期にはこういう企画をやって盛り上げてほしい」と、遥かな将来を見据えて盛り上がりたいと語った。高野は「当時のキャストを集めて、本編(映画)を作りたいですね」と、イベントだけでなく作品の制作にも意欲を見せた。吉岡は「当時、生まれていなかった子どもたちもTDGを観てくれるってことがうれしい」と世代を越えたファンの登場に感激しながら、このプロジェクトによって今までTDGを知らなかった人にもどんどん視聴の機会が増えていくことを願った。
ここで、せっかく3人のウルトラマンがそろったということで、つるの、吉岡、高野それぞれが変身アイテムを手にして、「変身ポーズ」を披露する流れとなった。つるのはリーフラッシャーを高くかかげ「ダイナーーッ!」と、吉岡はエスプレンダーを正面に突き出して「ガイア~~ッ!」と、高野はアグレイターを構えて「アグル~~ッ!」と叫び、見事に変身ポーズを決めた。その直後、ウルトラマンティガ、ウルトラマンダイナ、ウルトラマンガイア(V2)、ウルトラマンアグル(V2)がさっそうとかけつけ、ファン歓喜のビジュアルが実現した。
最後に、「TDGプロジェクト」の今後の展開がスクリーン上に表示された。書籍「小説 ティガ・ダイナ&ウルトラマンガイア 超時空のアドベンチャー」(著:長谷川圭一)が講談社より、「丸山浩 ウルトラデザイン画集」が洋泉社より発売中。そして2019年2月には、切通理作氏による濃密インタビュー本の増補改訂版「地球はウルトラマンの星」(ティガ編/ダイナ・ガイア編)が徳間書店より刊行される予定である。
また、通販サイト「プレミアムバンダイ」では「ウルトラリバイブ」シリーズとして、『ウルトラマンティガ』で活躍した特捜チームGUTSのライドメカ「ガッツウイング1号」が発売決定し、ただいま予約受付中である。
「東京コミコン2018」の円谷プロブースでは、サタンビゾーを相手に戦うウルトラマンガイア(V2)とウルトラマンアグル(V2)の迫力満点のディスプレイをはじめ、さまざまな展示物がファンの目を楽しませた。
『ウルトラマンティガ』第16話に登場した宿那鬼(手前)をはじめとする怪獣たちの胸像もズラリと並べられている。
劇中で使われた特撮用ミニチュア・ガッツウイング1号と、プレミアムバンダイの「ウルトラリバイブ」が並べて展示されている。
2018年12月15日より発売されるという「ウルトラマンティガ ライフサイズスタチュー」。全高:約185cm、価格:598,000円(税別)という破格のスケールと、細部にまで気をくばった精密そのもののディテール、実物のスーツそのままというべきプロポーションの良さなど、ある意味究極の「ティガ」フィギュアと呼ぶことができるだろう。
こちらは『ウルトラマン』の人気怪獣である友好珍獣ピグモンの、当時のスーツに忠実に作られた原寸大レプリカ。ピグモンは『ウルトラQ』の電波怪獣ガラモンによく似た姿をしているが、遊星人の電波で操られて市街地を破壊する巨大なガラモンに対して、ピグモンは人間の子どもくらいのサイズであり、人間に対して非常に友好的だという違いがある。
円谷プロブースでは他に、2019年春にNetflixで世界同時配信が決定している連続アニメ作品『ULTRAMAN』(月刊ヒーローズ連載中のコミックをアニメ化)のメインキャラクターである「ウルトラマンスーツ」の等身大モデルも展示され、その研ぎ澄まされたカッコよさがファンの注目を集めていた。
(C)円谷プロ