JR東日本は4日、山手線E235系を使用したATO(自動列車運転装置)等の走行試験について発表した。12月29・30日と1月5・6日の終電後に山手線全線(34.5km)で走行試験を行い、あわせてヘッドアップディスプレイの試験も実施。評価および課題の抽出を行う。

  • 山手線E235系を使用したATO(自動列車運転装置)等の走行試験を年末年始に実施

  • JR東日本はドライバレス運転の実現に必須となる高性能なATOの開発を進めている

ATO(Automatic Train Operation / 自動列車運転装置)は列車の加速・減速・定位置停止制御などを行う装置。同社はグループ経営ビジョン「変革 2027」で掲げる「ドライバレス運転」の実現に向け、一般的なATO機能に加え、運行条件(列車の遅れや急遽の徐行など)を反映し、最適な運転を行う高性能なATOの開発を進めている。一般的なATOにおける走行パターンは運行条件にかかわらず一定だが、JR東日本が開発するATOは地上の運行管理装置と連携し、運行条件に応じた走行パターンを作成するという。

その開発の一環で、E235系1編成(11両編成)を使用した走行試験が山手線全線で実施される。試験内容としてATO試験・ヘッドアップディスプレイ視認性試験を予定しており、ATO試験では加速・惰行・減速など車両の制御機能の乗り心地の確認、想定されるさまざまな走行パターンを用いた試験を行う。

運転士が運転に関するさまざまな情報をより安全に得られるようにするため、ヘッドアップディスプレイ視認性試験も実施。運転台前方にヘッドアップディスプレイを搭載し、運転に必要な情報が直接投影される。「加減速表示」「速度・ドア開扉方向」「停止精度」「徐行速度」「エアセクション(隣り合う変電所からの電気を区分する装置)情報」などが表示されるという。

  • ヘッドアップディスプレイの運転台への搭載イメージ

  • 運転士から見たヘッドアップディスプレイのイメージ

  • ヘッドアップディスプレイの表示内容イメージ

山手線E235系を使用したATO試験・ヘッドアップディスプレイ視認性試験は年末年始に実施され、それぞれ評価および課題の抽出を行う。「今後も、最新技術を活用して仕事の機械化・システム化を進めることにより、お客さまによりご満足いただける安全・快適な移動空間の提供を目指します」とJR東日本は発表している。